表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
輪廻眷生  ~53歳からはじまる~  作者: No G(のじー)
第一章 旅立ち
2/11

2話

3人は村の自警団で、朝と夕方見回りをしているらしく、朝の見回りの時にサイクスさんが私を発見したらしい。最初は丘の下からだったので、2人はまったく気づかなかったが、サイクスさんいわく大木の様子がいつもと違っていたみたいだ。

視力もさることながら、勘がいいのか間違い探しが得意なのか、どっちにしても私は感心した。

そしてたいへん救われたのだから感謝しなければならない。


草原から森の中の道を通り抜けた所に村はあるらしい。

丘と森は隣りあっていてすぐだった。あの大木が森の親分なのだろう。

森は木と木の間が空いているらしくあまり光を遮らず明るい雰囲気だった。鳥も生息していて、たまに変な鳴き声の鳥やら見たこともない羽根の色をした鳥も見かけた。まあ夢の中なので、あまり気にしなかったが、クニュークニューと鳴く鳥には面食らった。・・・・・私の想像力ってすごい。

物珍しい光景と尋問のような会話で村までは、思っていたより早く着いた。

村と言うから木でできた柵や門を想像していたのだが、石造りの高い立派な塀と門で、塀の上には人が何人か立っているのが見えた。門の扉はさすがに木で出来ていたがトラックでも入れそうな大きさだ。私は驚きでつぶやいていた。


「へぇー立派だなぁ。これが村なのか」


するとステップさんが


「この辺は陽のあるうちは穏やかだが、夜になると野犬や下等な怪物が畑や家畜を荒らしに来るんだ。だから塀も高めにして村全体をすっぽり囲んで立てられているんだ。」

 「私はよく無事だったなぁ」

「あの辺にも野犬は多いはずだが、御神木が守ってくださったんだろう。」

あの大木が御神木だったのか、まぁ しめ縄もしてなかったしわからんわな。


村の中に入るとそこは大きい広場になっていた。真ん中を横断する小さい川が流れており、噴水のような物まで作られている。思った以上に大きい村のようだ。

広場の周りには店が多く出店まであった。全体的に舗装されているわけではないが、これは村と言うより町に近い。


 「大きい広場ですね。川まで流れてる!」


サイクスさんが足を止めて私に説明してくれた。


「この広場では村中の者が集まって祭や集会が出来るような広さをとってある。中央に川が流れているのは敵が来た時、水術が使えるように。

全体が舗装されてないのは地術が使えるようになってるんだ。考えられてるだろ。」

 「合理的に作られているって事か。すごいなぁ」


ところで水術、地術ってなんだ?魔法みたいなものかな?それとも忍法だったりして。

まぁ今は、話の腰を折るのはやめよう。どうせ目覚めれば忘れてるんだから


「村の事はおいおい教えるので、早くルカさんの肩を診て朝飯にしよう。腹減っただろ。」


サイクスさんの家は門を入って右側の塀づたいに行き、川を渡ってちょっと行った所にあった。

家と家の間に塀などはなく間隔も広くゆったりとした作りのようだ。


「あれが俺の家だ!」

 「大きい家だなぁ」


サイクスさんの家は周りの家の2倍もしくは2.5倍でかかった。


「まあ、3人の作戦準備室と体術師の診療室も兼ねてるからな。あんなもんだ。」

家の前では洗濯物を干している女性がいた。ちょっと遠かったが、綺麗っぽい感じがした。すると

サイクスさんが


「サリスー帰ったぞぉーお客さんだぁ」


とその女性に手を振りながら叫んだとおもうと私に


「妹だ。昼は診療所を手伝ってもらって夜は娼婦をやってる」


「しょっ しょうっ 娼婦ぅ!!」


つい大きな声を出してしまった。そんな朝から道端で言われても・・・私はびっくりしてしまったが

サイクスさんも後ろの2人も落ち着いている。というよりも なんで驚いてんの くらいの顔をしていた。


「その様子を見ると、ルカさんやっぱりこの国の人じゃないね。」

 「えっ・・・・・ええ」

「一つ教えておくと、この国では16歳になると綺麗な顔した娘は国主に連れていかれちまう。

しかも国主に勤めている親族でさえ連れていかれ、その後娘に会えた者もいない。どこにいるのかさえわからない。噂によると拷問された後、殺されるとか、きれいな娘を殺すのが趣味だとか、どっちにしろ死体さえ帰ってきた者はいない。・・・・だが国主様は娼婦はいらないらしい。

だから綺麗でかわいい女は娼婦にする。恐怖をあじわって殺されるよりはマシだ。

この辺の村ではそれが常識だ。」


 「悪かった 大きな声だして」


「いや いいんだ。そのかわり村では娼婦にはやさしく接し子供ができたら村で責任をもって育てる。教育も受けさせ生活にも不自由させないっていう決まりもある。」


 「わかった。教えてくれてありがとう」


これだけ言うのが精いっぱいだった。サイクスさんの顔を見ると、やはり複雑な思いが多少はあるのだろう。

もし自分の娘が生きていてこの国に生まれていたら・・・・・なんて事を私は思ってしまった。

私にはどちらも耐えられそうにない。


しばらくは書き溜めたものを掲載していきますが、マイペースでのんびり書きます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ