甘い飲み物
よろしくお願いします。
部屋に戻ると、あの女が居た。
「契約書に違反されましたね。」
「はい、すみません。私から彼に近づき話しかけました。全て私が善くなかった。」
女は、質問したくせに、聞いているのかいないのか、
さっさと壁を向いて何やらスイッチをいじっていた。
「夕食のお時間でございます。」
「なんだか、腹は減っていないんだ。」
「では、直ぐに夕食をお召し上がり下さい。」
「はいはい。わかったよ。」
テーブルには、何やら泡立った飲み物が注がれたグラスが置かれていた。
「アルコールかな?」
「今夜のお飲み物には、計算された栄養素に加え、安らぎのアロマが調合されています。」
「ほう、いただきます。」
私は、喉が乾いていたので、半分くらいをごくごく飲んだ。
スパイシーなジンの炭酸割りのようで美味かった。
「ああ、私は明日の午後4時迄の滞在ですよね?どんな制裁が有るのかだけでも、聞く事は出来ませんか?」
「その質問について、私の口からお話する事は出来ません。お飲み物を召し上がって、お休み下さい…」
私がグラスを手に取り、二口目を口に含むと、女は消えていた。
「彼も、今同じものを飲んでいるのかな?いや、まさか…。」
「彼の部屋はどの辺りなんだろうか。」
昨日と違って、甘さと酸味の強い泡立つ飲み物は冷たい果物のスープのようで、身体に染み渡る。
自然と眠気を誘う、不思議な液体であった。
残りを一気に飲み干して、私は安楽椅子に横になった。
瞼が重い。
全身の力が抜けていくのを感じた。
額に青い蝶のような影が止まるのを、辛うじて残っている意識のもとに感じた。
「これなのか?」
まだ、続きます。