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王子妃の失った記憶の先に  作者: まるねこ
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学生の頃の彼

 また記憶を見ているのね私。学院へ入学してから毎日ライと昼食を摂っていたのね。


あれは誰?黒髪に黒の瞳。ずっとライを見ているわ。クロエ・パーカー男爵令嬢と言うのね。


 クロエ嬢がライにぶつかって来たあの日から異変は起きた。


ライは私と目を合わさなくなった・・・?


いつもクロエ嬢と一緒にいるの。側近もクロエ嬢と腕を組んで歩いているわ。私ははしたないと注意したけれど、皆は知らん顔。


ライの話す内容はクロエ、クロエ。大事なライとのお茶会でも口を開けばクロエ。


 側近達とライの様子がおかしい。妃教育の空きにお父様に相談していたのね、私。けれど、昔から仕事ばかりで私に関心の無かったお父様は冷たかった。


お前のせいだと。


お前が殿下を繋ぎ止めていないからだと。


王妃になるのだから妾や側妃候補を認めるのは当たり前だ、と。



 ライは日に日に行動が怪しくなりクロエ嬢の側を離れなくなっていた。それは側近達も同じように見えた。クロエ嬢を取り巻く者達の行動は異様で他の生徒達もざわついているわ。


 陛下に謁見を申し入れ、学院の状況やライと側近達の行動の不審。行動を監視した方が良いと報告をしている。


が、陛下から父と同じような言葉が返ってきて衝撃を受けた。たかだか男爵令嬢を自分の妾にしたいだけだろう。王子は癒しが必要だ、と。


陛下は耳を傾けてくれる方だと思っていたけれど、それは間違いだった。父も同じように言っていた。男は皆同じでは無いかとさえ感じる。女は言葉を交わしただけで不貞だと言うのに、男の不貞には寛容だ。


父も陛下もライも私の話に耳を傾けない。


私には味方はいないのね。


私とライ達の間には大きな溝が横たわっていると感じる。私は妃として存在していればそれだけで良いのだというのね。



 ふと場面が切り替わり、学院の中庭になる。私がクラスの令嬢達と中庭を通っていると耳に入ってきた言葉。『シエナはいつも俺にべったりで気持ち悪くて仕方がない』と。


『卒業パーティーに婚約破棄を突きつける予定だ』と。私はライにそこまで思われていたのね。その場はなんとか取り繕ったけれど、酷く暗い気持ちになった。


もう、無理よ。


ジュリアに慰められながら毎日過ごしてきたけれど、そこまで嫌われていてはどうしようもないもの。



やはり、卒業パーティー用のドレスは贈られて来なかった。


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