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王子妃の失った記憶の先に  作者: まるねこ


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13/15

やはり私はお飾り妃

 ライリー殿下と婚姻してもうすぐ2年になる。


 いつものようにお茶をしようとライリー殿下と2人で中庭に出ようとしたその時、前からきた令嬢がライリー殿下の前で倒れかかり、慌ててライリー殿下が抱き抱えた。


「大丈夫か。」


令嬢は頬を染め上げ、ライリー殿下に


「すみません。少しフラついてしまいました。このまま医務室まで送って貰えませんか?」


令嬢のその言葉に私の後ろにいたジュリアが冷たい視線を向けている。令嬢は抱きつくようにライリー殿下の首に手を回した。


私の壊れた心の欠片が震えている。


「ライリー殿下。そちらの御令嬢は、とても嬉しそうに見えますが、私に構わず、彼女を医務室へお連れ下さい。私は執務室へ戻りますわ。本日のお茶会は中止で構いません。では失礼しますわ。」


ライリー殿下は驚いていたようだが、令嬢を離す事はしなかった。



 私は執務室へ引き返し、執務を再開しようと書類に目を通し始める。ジュリアは執務室の扉を閉めた途端にライリー殿下と御令嬢の事を怒って口に出していた。


ジュリアは私の代わりに怒ってくれている。それだけで私は救われているわ。その日、結局ライリー殿下は私の執務室へは来なかったし、連絡もなかった。




 後日、おしゃべりな文官がまた私に話してくれたの。倒れた令嬢を騎士のように抱き上げライリー殿下は令嬢に愛を囁いたと噂がありますと。


その御令嬢はライリー殿下の新たな側妃候補だったらしい。降って湧いたような側妃の話。


最近は側妃の話で貴族令嬢達は盛り上がっているようで『私も側妃に』と王宮に令嬢達が登城し、ライリー殿下に群がるようになった。


 この騒ぎで私とのお茶会も孤児院訪問も取り止めとなる。廊下ですれ違う令嬢達は私をお飾り妃と呼びクスクス笑い、その中でも過激な令嬢達にはライリー殿下の前から消えろ、と物を投げられる事や押されて転ぶ事も増えてきている。護衛騎士も物を当てられたりと不安や被害が彼等にも広がっていた。


そんな過激な令嬢達は他にも騒ぎを起こして回っているらしい。ライリー殿下と会わないままひと月が過ぎた頃、陛下の執務室へ来る様に指示がある。


「シエナ、ライリーと結婚してもうすぐ2年だ。子供が出来ないのなら側妃を充てがうべきだと貴族達は騒いでいる。」


現実は何処までも残酷に私を切りつける。


私を石女とでも言いたいの?


もういい。


皆自分勝手よ。


私の話なんて誰も聞かないじゃない。


「陛下、もう、いいです。初夜も迎えていない私に子供は産めませんわ。このまま白い結婚として離縁させて下さい。


そうすれば新たな妃も側妃も同時に選ぶ事ができ、子供も沢山生まれてきますわ。私自身、体調が悪くなる一方。私は療養を理由に領地に帰るのも良いと思います。


陛下。私、婚約破棄を願い出た時、陛下も父も利益ばかりを考え頷いて下さりませんでした。人生で一番幸せとなる日でさえ、夫に笑顔を向けられる事は無かったのです。


初夜では『お前を愛する事はないし、お前とは公務以外関わる事はない。』と言われ、部屋から出て行かれた時に私はどうすれば良かったでしょうか。


ライリー殿下達の治療の時も私1人で殿下と側近達の執務を肩代わりしておりました。ライリー殿下と会う機会も数ヶ月無く、少しずつ公務で会うようになり、最近お茶をするようになったばかり。


お飾り妃と令嬢達から蔑まれ、嫌がらせに遭う日々。ライリー殿下が令嬢に愛を乞うたと言われる噂が出た時から私、ライリー殿下と一度も会ってもいません。


婚姻する前からも、した後もずっと私1人でした。


最初から誰にも信用されていない、味方のいない中で私1人が奮闘した所で貴族を抑えこむ事は無理ですわ。」


気づけば私の頬は濡れていた。


最後だと思い、言う事は言った。


陛下はすまなかったと一言。



 陛下の執務室を出てから私は自分の執務室の片付けを始める。涙の理由も言わずに目を赤くしながら片付ける様子を見たジュリアは泣きながら手伝ってくれている。


いつも書類を取りに来ていた文官は部屋に入って驚いた様子で固まっていた。泣きながら書類を片付けている正妃と侍女。文官に私と関わった文官達を呼んで来てほしいと指示を出す。


「ジュリア、それと私を補佐してくれた文官の皆様。短い間でしたが執務を手伝ってくれて有難う。私、この度療養を理由に領地に帰る事になりました。」


「療養を終えたらまた王宮に戻るのですよね。」


文官の1人が聞いてきた。


「まだ内密でお願いしたいのですが、私はもう戻る事はありません。陛下の指示で婚姻しましたが、陛下の指示で新たな妃と側妃をお迎えになるようです。


混乱はあるかと思いますが、後の方を宜しくお願いしますね。」


文官達は騒めく。まるで使い捨てではないかと。文官達は憤然としながらも書類整理を手伝ってくれて二日程で私の仕事は終わった。


私を見てくれている人はここにいたのかと心が温かくなる。



領地に帰る日、ライリー殿下に会おうと連絡を入れていたが、返答は無く私とジュリアは護衛の人達と共に領地へ向かった。

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