式の翌日は慌ただしい
翌朝、ジュリアが慌ただしく部屋に入って来た。ジュリアは昨夜のライの行動を他の従者達と見ていたみたい。
従者の1人が陛下へ報告を上げたと言っていたわ。ジュリアはライの事で顔を真っ赤にして怒っていた。
もう、どうでもいいの。
気持ちは重く、鉛の様。私はジュリアに髪を結われている間に陛下付きの従者に呼ばれる。『急ぎ、謁見室に来る様に。』と。
謁見室に到着すると、陛下と王妃、コニー殿下の前に跪くライやその側近達。そして父を含む宰相や大臣達も一堂に集まっていた。
「遅くなり、申し訳ありません。」
私は結婚式翌日の朝から一堂が集まる事態に顔を青くした。私は何かしてしまったのかと。すると陛下から王妃の横へ来るように言われる。
宰相が陛下の前に立ち、話を始める。
「シエナ様もいらっしゃった。早速話に入る。朝から一堂に集まって貰ったのは緊急を要したからだ。昨日、ライリー殿下とシエナ様が国を挙げて結婚式を行ったのは言うまでもない。
そして、その場には沢山の護衛騎士や魔法使いが警備に当たっていたのだが、何故か王宮の出入りが禁止となっているクロエ・パーカーがライリー殿下の執務室へと現れ、花嫁になるのは自分だと騒いでいたそうだ。手引きした者がおる。
そしてクロエ・パーカーを捕まえた騎士達が一様に向きを変え、その女を解放しようとして更に騒ぎとなっていた。駆けつけた魔法使い師団長により、ようやくクロエ・パーカーを取り押さえる事が出来た。これがどういう事かわかるな?」
「つまり、クロエ・パーカーは魔法を使い、殿下の執務室へ侵入した。捕らえようとする騎士達に魔法を掛けたのだな。精神魔法を。」
1人の大臣が発言する。
「そうだ。師団長の話によると魅了魔法だそうだ。詳しく調べて貰ってはいるが、クロエ・パーカーは目的の人物に魔法を掛け、さらに相手に直接触れる事で魔法を重ねて掛けしているらしい。」
宰相のその言葉に周囲がざわつき始める。視線はライや側近達に向けられ、ライ達は動揺している様子。
「現在、クロエ・パーカーは魔法封じの首輪をして牢にいる。昨日、クロエ・パーカーを取り押さえた騎士達は魔法の掛かりが浅かったため師団長の解呪魔法により魔法は解けている。
何度も魅了を重ね掛けされているライリー殿下や側近達は解呪に時間がかかる。そして他にも魅了された者を探し出す事が必要である。」
宰相は皆に一通りの説明をすると陛下に指示を仰いだ。
「こうならんように魔法具を常に着けさせていたのだがな、ライリー。お前の側近達も全て1人の女にやられるとは情け無い。お前達は今から教会へ向かい治療を開始せよ。
その後、再教育だ。魔法使い師団長主導で学院やお茶会、舞踏会で魔法を掛けられた者を探し、解呪の魔法を掛けるように。クロエ・パーカーの処分はそれらが終わった後にする。以上だ。」
私は殿下達が謁見室を出て行くのを見届けてから部屋に戻った。ジュリアは目を赤くしながら良かったですね。と喜んでいたけれど、私には響かない。
もう、どうでもいい事だと思うの。




