47.坑道
アルトとフランキーは魔物が巣くうという坑道にたどり着く。
中に入ると、じめじめとした空気が漂っていた。
「魔物はどこから飛び出してくるかわからねぇからな。気をつけろよ」
フランキーはアルトにそう呼びかける。
アルトは言われるまでもなく、探索魔法を多重発動しながら進んでいたが、仮にも先輩にたいして、口答えするようなことはしなかった。反抗的な態度をとっても、自分が得することはない。
「しかし、こりゃ本当にダンジョンみてぇだな」
――坑道は、今でこそ廃墟になっているがもともとは人間がいた場所。
だが今はそこに魔物たちが大量に住み着いていた。
「おかしいですね……人為的に魔物を住み着かせたとしか思えません……」
アルトはそんな感想を持った。
アルトたちはそれを片っ端から倒していく。
そして一時間ほど坑道を進んでいく。すると、アルトの探索スキルに敵の存在がひっかかった。
「フランキーさん。この先にモンスターが複数……かなり強そうです」
アルトが言うと、フランキーは「ちっとは使えるやつだな」とアルトの探索を褒めた。
「まぁ見てろ。俺があっという間に倒してやるぜ」
二人がそのまま先に進んでいくと、坑道の中に少し空間が空いていた。
そして、アルトの宣言通り敵がいた。
――キング・リザードマン。
Sランクの強敵である。
しかも、質の悪いことに、それが1,2、3……全部で7体もいる。
「こいつは簡単じゃねぇな。新人、気を抜くんじゃねぇぞ」
フランキーがそう言うと、剣を取ってキング・リザードマンに斬りかかっていく。
アルトもそれに従う。
「うぉおおおおおッ!」
フランキーは上級スキル“アイス・ハンド”で、一体のキング・リザードマンの身動きを止める。そしてその間に、別の個体に斬りかかる。
「“ドラゴンブレス”!」
剣に上級スキルを込めた強烈な一撃を食らわせる。
フランキーの攻撃でキング・リザードマンの結界は大きく削り取られた。
「まだまだぁッ!!」
フランキーは休むことなく連続攻撃を浴びせ、一体目を倒す。
そして同じく、“アイス・ハンド”で拘束していたキング・リザードマンにも同様に切りかかる。
二体目も手早く処理する。
「まぁ、俺の手にかかればこんなもんだぜ」
強敵を倒すことができて、ご満悦のフランキー。
だが、そこで辺りが静かになっていることに気が付く。
そうだ。キング・リザードマンは七体いた。まだ五体も残っているはず。
「アルト、だいじょ――」
そう聞こうとして、フランキーがアルトの方に振り返ると――
そこにはちょうど5体目のキング・リザードマンにとどめの一撃を食らわせるアルトの姿があった。
「な、なにぃ!?」
フランキーは驚きすぎて口をポカんと開けた。
自分が敵を2体倒している間に、アルトは5体を倒していたのだ。
「これで全部ですかね」
アルトはフランキーの戦果など気にする風もなく、そう話しかけた。
それが、フランキーの自尊心をさらに傷つける。
「(こ、こいつ何者なんだ!?)」
決闘で負け、実戦でも負けた。騎士としてエリート街道を歩いてきたフランキーはその事実に驚愕してしまったのだ。
「フランキーさん、あの先にまだモンスターがいます。いきましょう」
と、アルトは先輩がまさか自分に嫉妬心を抱いているなどつゆ知らず、淡々とそう報告した。
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