表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/76

21.王女様



「お、王女様――!?」


 決闘場に現れた“王女様”は、つい先日アルトが森の中でドラゴンから助けた少女だった。


 アルトも助けた少女が高貴な身分だとは思っていたが、まさかこの国の王女様とは思わなかった。


「アルトさん、先日は本当にありがとうございました。そして自己紹介が遅れて申し訳ありません。ローレンス王国王女、シャーロットです」



「まさか王女様とはつゆ知らず、ご無礼をいたしました」


 アルトが驚いて頭を下げると、シャーロットは「とんでもない」と言いながら歩み寄ってくる。


「あなたがいなければ今頃私は死んでいました。本当に感謝しています」


 会話を聞いていたギルマスとエラソー隊長は驚きすぎて、口を開けたまま呆然としていた。

 ――なにやらアルトと王女が知り合いで、しかも王女はアルトに恩があるらしい。

 そんなこと想像さえしていなかったのだ。


「アルト様の実力、再び拝見しました。やはり思った通り、騎士になるにふさわしい実力をお持ちです」


 ――騎士、という言葉を聞いてエラソーたちはビクっと肩を震わせる。

 それは、冒険者ならだれでも憧れる存在。


 そして、この国の王女様は、自分たちではなく目の前の“無能”が騎士に近い存在だと言うのだ。


「我が王室としてはいつでもアルトさんを王立騎士学校に推薦したいと思っています」


「あ、ありがとうございます」


 昨日、いきなり王宮から打診があったのは、どうやら王女様を助けたからだったとアルトは納得する。


「それでは私たちの推薦を受けてくださりますか」


「ぜ、ぜひお願いします」


「そういってくださるとうれしいです。ただ、一応王室といえど、誰にでも推薦を出せるわけではありません。一応実力を証明するために、一つクエストをこなしていただく必要があります。もちろん報酬はお支払いしますが、受けていただけますか?」


「わかりました」


「では、また後日正式に連絡をいたします」


「ありがとうございます」


「――アルトさん。私はあなたにぜひ騎士になってほしい。期待しています」


 王女は笑みを浮かべながら、アルトの腕にそっと手を置く。


 ――と、それから王女の鋭い視線がエラソー隊長たちに向く。


「それにしても、あなたたちは本当に情けないですね」


「――!!」


「完敗したことを認めず、逆に不正だとわめくとは……」


「お、王女様! し、しかし、この者はノースキルの無能なのです……。それがこのSランクパーティの私に勝てるはずがございません。何かしらの不正を行ったに決まっています」


 エラソーの言い分を論理的に否定するのは難しい。

 “不正を行った証拠”はないが、“不正を行っていない証拠”もないのだから。

 だが。


「ばかばかしい」


 王女はそんな風に一刀両断する。


「これ以上愚かさを見せて私を不快な気持ちにさせるなら、不敬罪でそれ相応の罰を与えますよ?」


「――ッ!!」


 不敬罪という言葉が出てきたことで、さすがのエラソー隊長も黙らざるを得ない。


「とにかく、あなた方に王立騎士学校への推薦状を書くつもりはありません。さっさとこの場から立ち去りなさい」


 王女に一喝され、エラソー隊長たちは怒りと恐怖に身体を震わせながらその場を去った。



 †


 ギルド本部に戻ってきたエラソー隊長とギルマス。


「おい、お前があの無能に負けたせいで、私まで恥をかいたじゃないか!!」


 ギルマスはエラソー隊長を怒鳴りつける。


「も、申し訳ありません」


 エラソー隊長はこぶしを強く握りしめながら、そう言った。


「お前のせいで、我がギルドの威信は地に落ちたわ。Bランクダンジョンの攻略に失敗し、今度は王室の反感を買った」


「本当に申し訳ありません」


 ギルマスは顔を真っ赤にして怒っていたが、それと同時にギルドの保身を図る方法を考えていた。


「本来なら今すぐにでもお前をクビするところだ。このままでは私もダメージを負ったままだ。それはならん。だからお前に最後のチャンスをやる」


「……そ、それは?」


「あの無能アルトが、失態を犯すように仕組むのだ」


「――なるほど!! さすがギルマス!! これでアイツが無能だと証明できる!!」


「いいか、もう絶対に失敗は許されないぞ」


「はい!! 必ずアイツを突き落としてやります!」


 †


皆さま、何卒お願いがあります!!




続きが気になると思っていただけたら、


どうか★★★★★の評価をお願いいたします。


★いくつでも、本当に励みになりますので、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] ギルマス馬鹿すぎるよね、成功した時と失敗した時のリターンとリスクが釣り合ってないじゃん
[良い点] 無駄に尺を長くせず、トントンと進むのでとても読みやすい。 [気になる点] ストーリーの作り込み、作品には出てこない裏側の設定が甘い。 だから公爵家の嫡男が王女を知らないなんてストーリーを書…
[気になる点] 主人公公爵家の長男では? 公爵って王族に次ぐ地位のはず。 同年代の王女様の顔知らんとかありうるのでしょうか? [一言] おれつえーものでライトな読み口の作品ですが、主人公や舞台の設定を…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ