17.レアアイテムを独り占めしちゃっていいんですか?
アルトは、Dランクのライセンスを取得したことで、Bランクまでのクエストを受注することができるようになっていた。
「それではこちらのクエストはいかがでしょうか」
アルトはクエスト紹介ギルドで、Bランクダンジョンのクエストを紹介してもらう。
「アシル鉱山のダンジョン! いいですね」
アルトが望んでいた通りのダンジョンを見つけられた。
「こちらは攻略済ですが、モンスターはまだまだおります。その討伐のクエストです。一応二日間の討伐許可を出しますね。戦利品は自由に持ち帰ってくださってかまいません」
「ありがとうございます」
†
さっそくアルトはアシル鉱山へと向かった。
鉱山は街から一時間ほどのところにあった。
アルトが鉱山を攻略対象に選んだのにはちゃんと理由があった。
今までパーティの一員としてダンジョンで探索をしてきた。
アルトは自動魔法のおかげで探索の効率が相当よく、かなりのレアアイテムを収集をしてきたのだが、その分け前を得ることはほとんどなかった。
理由は単純で、アルトは単独でモンスターを倒すことができなかったからだ。
高価なマジックアイテムがある場所には、強いモンスターがいる。
その強いモンスターを倒せてこそ、収集を行うことができる。
だから探索スキルだけあっても、アイテム収集の利益は享受できなかったのである。
――しかし、今のアルトは違う。
探索のスキルだけでなく、Bランクボスを楽々倒せる戦闘能力も身に着けた。
だから改めてダンジョンを探索すれば、レアアイテムを独り占めできるのだ。
「……<常時探索>起動」
アルトは探索用の自動魔法を発動させる。
対象は魔法石である。
「重たいものは運べないから……探索対象は見つけにくいけど価値が高いものに限定して……よし」
アルトは意気揚々と歩き出す。
当然途中、モンスターに出くわす。
多いのは、Bランクレベルのモンスター、トロールだ。
並の冒険者にとっては倒すのが難しい相手である。
しかし、今のアルトにとっては楽勝な相手だ。
「<ファイヤーボール(特大)>起動!」
渾身のファイヤーボールをお見舞いする。
トロールは業火に焼き尽くされて灰となる。
「よし、問題なく倒せる」
アルトは灰の中から魔石を拾い上げて、探索に戻る。
暗がりの道を歩いていくと。
【――通知。“魔耀石”を発見しました】
オートマジックの探索に希少アイテムがひっかかったことを教えてくれる。
「お、魔耀石か!!!」
ウィンドウを開き、魔耀石の場所を確認する。そこに示されていた場所で洞窟の壁のところを少し掘ると、黒く輝く魔石が出てくる。
「これ、一個で1週間はいい宿に泊まれるんだよな!!」
ギルドの任務で発見した時は一銭にもならなかったが、今は全部ひとり占めだ。
ものすごくありがたかった
【――通知。“竜眼石”を発見しました】
と、息つく間もなく通知が鳴る。
地図に示されたところを掘ると、またしても希少なアイテム“竜眼石”が現れる。
「これも金貨と交換できるレアアイテムだ!!」
――そしてまた通知が鳴る。
歩けば歩くほど、レアアイテムが見つかる。
しかも今日は一人でモンスターを倒して、探索しているから、収集した成果は全部ひとり占めできる――――
†
――一日の探索を終え、アルトは仕事紹介ギルドに向かった。
「アルトさん、おかえりなさい。どうでしたか?」
受付のお姉さんが笑顔でアルトのことを出迎える。
「ええ、モンスターは結構倒したんですけど、アイテムもたくさんとれたので換金もお願いできますか?」
「それはよかった……って、これ全部!?」
お姉さんは驚いて小さく飛び跳ねる。
「だって、これって、魔耀石!? こっちは竜眼石!? ……ちゃんと鑑定はしないとですが、めちゃくちゃ高価なものばかりじゃないですか!? それをこんなにたくさん、一人で?」
「もともと探索は得意で……」
アルトは頭を掻きながらそう答えた。
それからお姉さんは必死に鑑定を頑張ってくれる。
そして、その結果を驚きながら口にした。
「金貨10枚……ですね」
「そ、そんなに!?」
アルトはその金額に驚いた。
ギルドでも、レアアイテムを収集はしていたが、アルトがするのは倉庫で整理するまでで、換金は別の人間が行っていたので、収集していたものが実際どれくらいの金額になるのかは知らなかったのだ。
「モンスターが強いBランクのダンジョンで、これだけの収集をしようと思ったら、普通は10人がかりになります。それを一人でやるなんて……アルトさん、どれだけ強いんですか!!」
「いや、モンスターは割とスムーズに倒せたんですけど……まさか金貨がこんなに稼げるとは……」
誰よりアルト自身がその結果に驚いていた。
別にアルトはお金をすごく稼ぎたいという欲はなかったが、実際問題助かることはある。
「(……こんな感じで稼いでいけば、騎士学校への入学金もすぐ溜まる……!)」
――ノースキルだけど、騎士になる。
アルトはその夢に自分が少し近づいている実感を得たのだった。
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