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ヒト拾った。

作者: 一人 千幸
掲載日:2020/08/24

読了目安時間 3分

「お母さん、このヒト死んでるのかなぁ?」


「う〜ん、まだ生きてると思うけど、この様子じゃもうすぐ死んじゃうと思うよ」



「……!……それなら早く病院に連れて行こうよ!」


「…………そうね」










「身長165cm体重47kg、性別は雄。毛や肌、顔のしわを見る限り、断定はできませんがおそらく生後30年ほどですね」


「それと、栄養状態が非常に悪いです。きっと数ヶ月、あるいは数年はまともな物を食べてないですね。痩せているのもそのせいでしょう」


「一般家庭でも飼育できる状態になるまではうちで面倒見ますので、また数日したらお越し下さい」









「お母さん、あのヒト助かるのかな?」


「お医者さんが看てくれるんだし、大丈夫じゃない?」



「…………ねぇお母さん、僕あのヒト飼いたい」


「はぁ……言うと思った。ヒトの世話は自分でしなさいよ」


「……!……やったぁ!ありがとう!」
















……………………。





「…………!!……お母さん、タローが起きた!!」



「お母さん、タローが鳴いてるよ!なんて言ってるのかな!」


「お腹でも空いてるんじゃない?」


「そっか、餌持って来る!」








「ほらタロー、お食べ」




「…………お母さーん、タロー食べないよ?」


「タローは野良ヒトだったから、警戒してるんじゃない?しばらくほっといたらそのうち食べると思うよ」




「……そうだ。今のうちにトイレシートを近くに置いたら?その辺にしっこされたら困るし」


「うん!」







「見て、お母さん!餌なくなってる!」


「お腹いっぱい食べて眠たくなったのかな?今は寝てるよ」


「早く元気になるんだぞ、タロー」






「ああっ!お母さん、タローが小屋の隅にうんちしてる!」



「あー、ちゃんとトイレトレーニングしないといけないね」


「そのうんちをトイレシートに置いときなさい」



「はーい。ほら、タロー。トイレはここでするんだぞ」








「あっ!お母さん、タローが机の上で寝てる!コラッ降りなさい、タロー!」


「そういう時は大きな音を立てて怖がらせて、机の上はダメって教えるのよ。こんな風に……」




ドンッ!!




「タロー!降りなさい!」




「あっ!タローが降りた!」


「動物はこうやって躾するのよ」









「いただきまーす!」



「お母さん、タローが僕のご飯を見てるよ。やっぱりヒトの餌より美味しそうに見えるのかな」


「あげちゃダメよ。太るし、ヒトの毒になる食べ物もあるから」




ドンッ!!




「タロー!ダメだよ!」


「あっ……タローが隠れちゃった」


「そのくらいがちょうどいいのよ」










「よしよし、タロー。お前はかわいいなぁ」


「あっコラ!爪を噛むのやめなさい!」




ドンッ!!




「そうだよー。爪は噛んじゃいけないよー、タロー。よしよし」


「お前はお利口な良い子だねー、よしよし」









「お母さーん、タローがうんちしてるよー。臭いから取ってー」


「はぁ……結局、お母さんがタローの世話をするのね」






「タロー、お母さんの方に懐いてるね」


「そりゃ、いっつもトイレシート換えたり餌あげてたら勝手に懐いてくるよ」



「……タロー、おいで!」


「あっ……お母さんの方に行った……」



「………………」


「……喰らえタロー!よしよし攻撃だ!」


「よーしよしよし、よしよしよしよしよしよしよーしよし」


「あっ……逃げた」







「………………」


「……タロー、おいで!」



「………………」


「タロー、おいで!」



「…………タロー、来なさい!」


「………………」




ドンッ!!




「タロー、来なさい!!」



「んー、良い子だねーお前は。よしよし」


「タローはかわいいなぁ」








「見てて、お母さん!タローが僕にも懐いたよ!」


「タロー、おいで!」



「ほら、駆け寄って来た!」


「ホントだねー、あんたのこと大好きなのかもねー」




「……ねぇ、タローは今幸せかな?」


「そうじゃない?あの時拾ってなかったら死んでたし」


「……そっか」





「良かった」

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