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7/12

-絶望と光明 3-

ブックマーク、評価下さった皆様本当にありがとうございます。


※サブタイトルが間違えていたので訂正しました。

 内容は変化ありません。

 ご指摘本当に助かりました!

 ありがとうございます。

沢山泣いた後、今さら恥ずかしくなって固まっている私にアルミダ司祭が回復魔法をかけてくれた。


「アルミダ司祭、ありがとうございます。」


「俺の事はユートで良い。それにしてもよく耐えたな。コニックって言えばある意味将来有望視されてるあのポンコツ坊っちゃんだろ?あぁ、俺は本来こんな喋り方なんでな、気にしないでくれ。」


「ユート司祭様の喋り方は良いとして、コニック様は何故有望視されておりますの?…あんなにポンコツですのに。」


ユートの台詞にリリー様が食いついた。

というか、リリー様がポンコツって言った…

ユート様の口調もだけどもリリー様も毒舌?


「いや、あいつ回復魔法が下手だろ?見た目は綺麗に治るけど痛みや内面の症状は殆ど治せなくて教会(こっち)では有名なんだよ。普通なら使えないけど拷問にはもってこいだからそう言う意味では将来有望だよなーって言われてるのさ。」


「まあ!と言うことは聖女様のお怪我は殆ど治っていなかったと言うことですか?」


シャーリー様が心配そうな顔でこちらを伺っている。


「あ、いえ、回復薬も頂いてましたので少し痛みが残る位で、ある程度は治っていました。」


「寧ろ回復薬まで使って痛みが取れないとは……嘆かわしいですわ。」


「リ、リリー様…」


「あら、申し訳ありませんわ、つい本音が……。あんなのが私の婚約者だと思うと悲しくて悲しくてつい……」


「ええっ!!こ、婚約者ですか!?」


まさかあのお子様お坊っちゃまに婚約者が居たとは…

いや、待て、そんなことより私は今までこの人の婚約者を独占して囲っているかのように見られていたかもしれないってこと…?

て言うか婚約者がいるのに私の側に置くってカーリスもどういう神経してるの!!

誤解されたらどうするのよ!!


そう思い血の気がサアーーっと引いていると、



「そう言えば申し上げておりませんでしたわね、聖女様。残念ながら私コニック様の婚約者ですの。因みにエリーシア様はカーリス様、シャーリー様はサイラス様、メイルーシェ様はガリオン様の婚約者でいらっしゃいますわ。でも誤解なさらないで下さいませね、私ども婚約破棄をしたい同士ですの。被害者の会みたいなものですわ。愛はございませんのでご安心なさって?」


もっと居た!!

寧ろ全員婚約者!

そしてカーリス、お前もか!!

下手したら私袋叩きコースだったの?


「……愛が無くて本当に良かったデス。」


本当に。



「そんなに固まることございませんわ。私達、本当に聖女様に感謝しておりますのよ。いくら貴族は政略結婚とは言え相手は選びたいものですわ。でも家格だけはありますし、ご両親はまともですし、婚約破棄なんて軽々しく出来ませんから困っておりましたのよ。」


「そうですわ。そこに聖女様が来てくださったお陰で色々と策を練れるようになってきましたの。聖女様を利用してしまうのは心苦しいですが背に腹は変えられませんわ!聖女様、本当にありがとうございます。」


「これでも本当に、本当に!申し訳なく思っておりますの。まさかあの方々がここまで愚かだったとは思いませんでしたので。聖女様を虐げる等反逆罪にも等しい行為ですわ!」


は、反逆罪。

どのご令嬢も私が彼女達の婚約者とずっと一緒に居たこと等気にもせず、私のことを気遣って下さる。

久々に私の存在を認めて貰えたようで心がポカポカしてきた。

口元が少し弛んでしまったのは致し方無いはずだ。


「そう言う事ですわ、聖女様。先程は偉そうに『お救いする』等と申しましたが自分たちの婚約者の尻拭いをして清算をするだけのこと。寧ろ聖女様は紛れもなく巻き込まれただけの被害者ですわ。何も気にすることなく助けられて下さいませ。」



まるでウインクでもされそうな勢いで優しく諭してくださるエリーシア様達。

改めて私はあの地獄の様な生活から助かるのだと実感してまた涙が出そうになった。


「おいおい、聖女様よ、流石に今からもう一回泣いてたら殿下達の迎えまでに目の腫れがひかないぞ。我慢しろ。そしてお嬢様方も、残り時間が少なくなってきたから今のうちに今後のすり合わせをしといた方が良いんでないか?」


「そうですわね、ユート司祭様の言う通りですわ。聖女様、私どもが偉そうにお助けすると申し上げたとは言え相手は王族です。今日から直ぐにあの方達から貴女様を引き離すことは出来ませんの。ですが2週間後の王宮舞踏会で必ず、必ずお助け致しますわ。なので酷なことを申しますがもう少しだけ耐えて下さいませ。」


「私どもは第2王子であられますシリウス様と現在聖女様が虐げられている証拠を徹底的に集めている最中でこざいます。王宮の侍女や聖女様の護衛も味方ですのよ。そうそう、彼女達も心配しておりましたからまた構ってやって下さいまし。」


「今後はこの教会でのお祈りの時間にこうしてお伺い致しますので近況をお話しますわね。」


「あ、私祈ってない……」


「神も赦してくれるさ。こんな状態の聖女の祈りを聞いても神だって悲しいだけだ。それにちゃんと王宮の祭壇では祈って貰うしな。」


「そうですわよ。私どもが言えたことではありませんが聖女様は今は御身を大事になさいませ。次は明後日ですわね。聖女様、何かご要望等ごさいませんか?まだ辛い思いをさせてしまいますし、何でも仰って下さいませ。」


「あの、それでは良ければ2つ程……」


私は2つお願いをしてみた。


1つは証拠集めのお手伝い。

正直一番彼らの近くに居るのは私なので私が一番適任だと思うのだ。

この前欲しいと思っていたボイスレコーダーの事を言ってみたら音を込める魔法を使った魔法具を製作してくれることになった。

次の祈りの日迄に急ピッチで間に合わせてくれるらしい。

エリーシア様達も最初は危険だと反対していたが、カーリス達の肉声が録れるならそれが一番…と納得してくれた。


もう1つは


「私のことは是非アンナと呼んで下さい。そして、本当にお友達になって下さるともっと嬉しくて……皆様と身分が違い過ぎて不敬だったり常識はずれなのは承知の上なんですが、この世界に来て同年代の女性とお話出来たの、今日が初めてなんです。」


切実にお友達が欲しいんです。

皆様とても優しくて、優しさに甘えているのは申し訳ないのだけれど、それでもカーリスとか関係無しにお友達としても仲良くなりたい。

そう切々と訴えてしまった。



「まあアンナ様、まず不敬なんてとんでもない事ですわ。寧ろ身分としては私どもの方が断然下でしてよ。こうやってアンナ様、と私どもがお呼びする方が不敬ですわ。」


「そうですわよ。それに私勝手にもうアンナ様とお友達になった気でおりましたわ。ゴタゴタが落ち着きましたら絶対にお茶会に来てくださいませね。」


「私もですわ。」


「友達になって下さいませ、アンナ様。」



ああ、またユート司祭に怒られてしまう。

カーリス達に言う言い訳を考えなきゃ。

そんな事を考えながら今度こそ涙を止められなかった私は幸せを噛みしめたのだった。




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