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4/12

-事実確認はしっかりと-

引き続きエリーシアさん達のターンです。


聖女様の『たすけて』事件から更に1週間、エリーシア達は深刻な顔で再び集結していた。


「やあ、皆集まってくれてありがとう。早速だけど各々調べた事を報告してくれる?まずは僕から報告しよう。」


そう言うと、前置きも早々にシリウスは報告を始めた。


「王宮の護衛とメイドに接触して聖女の様子を聞いてきた。やはりアカデミーに通い始めてから元気が無いようだよ。どうかしたのかと聞いても何かに怯えているような素振りをして語ってくれないと。食も細くなって来ているようだ。」


次にリリーが報告を始めた。


「私はティーサロンでの控え執事に我が家の手の者を紛れ込ませましたの。まず、サロンの中には聖女様とカーリス様達以外の者を入室禁止にする徹底ぶりだそうですわ。最近は扉の前に護衛を置く程で、中でどんな会話があるかは伺えませんでした。しかし聖女様達がご退出後、片付けに入室した際に回復薬の空瓶と回復魔法を使った形跡があったそうですわ。」


「何だと!しかし回復魔法と回復薬とはどれ程のケガだったのだ……」


「あ、いえ、コールマン様。コニック様は回復魔法が使えますのできっと彼が魔法を使ったのだと思われますわ。ですが回復魔法が使えるだけで上手くはないので良く回復薬を併用されるのです。ですから案外ケガの程度は低い場合もごさいます。」


「そうか……ややこしいヤツだな。それは置いておいて、まさか聖女様に暴力を振るっているというのか…?」


「流石にそこまで愚かな事はしていないと思いたいのですが何とも言えません。ご退出される際の聖女様は俯かれていて詳しい表情は窺えなかったようですので…」


「そうか…。メイルーシェ嬢は如何だったかな?」


「はい。お父様とお話をして司祭様の所にお伺いして参りました。」


「どうだったかい?協力してくれそうかい?」


「はい。司祭様も最近の聖女様のご様子に疑問を持たれていたようでして。アカデミーに通われるまでは最初こそ故郷に想いを馳せて泣いておられる事もあったそうですが皆に分け隔てなく優しく接しておられて人見知りなど無かったそうなのです。それがアカデミーに通われてから人を避けるようになってしまわれたと…。そして側には必ずカーリス様が居られるようになった為お声を掛けることも難しくなったと……。」


「何ということだ……もうカーリス殿下達が聖女様を虐げているのはほぼクロではないか。私達はとんでもない思い違いをして更に聖女様を傷付ける所であったのか。」


コールマン伯爵の言葉に皆一応に表情を曇らせる。


「お父様、気落ちする暇はごさいませんわ。こうしている間も聖女様は苦しんで居られるのです。一刻も速くお救いしませんと。」


「そうだな。エリーシア嬢の言う通りだ。まさかここまでカーリス(兄上)が愚かだとは思ってもみなかったがこれは我々にとって償いにもチャンスにもなるだろう。」


「そうだな。それでは今後の計画だが……」


「コールマン様、それに関して私からご提案させて下さいませ。」


「シャーリー嬢、何か良い案があるのかい?」


「はい。私の父がアカデミー長と旧友の仲でして、お話しさせて頂く機会がございましたの。そうしましたらアカデミー長が『学内の教会でも祈祷をして貰いたい』と王様にご依頼されたようで早速来週より週に3日聖女様がお祈りを捧げられるそうですわ。カーリス様達は祈祷中サロンでお待ちになるでしょうからそこを狙って接触するのは如何でしょうか?」


「成る程、確かに上手く接触出来れば邪魔も入らなさそうだな。アカデミーの教会の神父は確かユート・アルミダ司祭だったな。彼なら協力してくれそうだ。私から話をしてみよう。」


「それでしたら私もお供させて下さいませ。聖女様が助けを求められたのは私です。私の顔を見られたら少しは警戒も解いてくださるかも知れません。」


「そうだね。ならコールマン伯爵とエリーシア嬢にお願いしよう。他の皆も更に証拠集めをするからより徹底的に調べて欲しい。余り時間は無いから無茶をさせるがこれは国の結界維持にも関わる事案だからね。愚か者の兄のせいで申し訳ない。」


「いいえ、シリウス様が謝る事は何もございませんわ。何て言ったって結界維持には聖女様の祈りが必要不可欠ですもの。しかも祈りの度合いは聖女様の幸福度に比例すると言われているのは周知の事実。それですのに聖女様を虐げる等……本当、カーリス様達は何をお考えなのでしょう。反逆者と言われてもおかしくありませんわ。」


「あの、本当に時間が無いかもしれません。シリウス様、結界について魔法省に務める私の兄から気になる情報がありまして……。私達の話を聞いて急いで調査をしたところ結界の強度が40%にまで減少していたそうですわ。」


「40%だと!何ということだ。」


「リリー嬢ありがとう。引き続き兄上殿から結界の状態を仕入れて欲しい。聖女様の対応もアカデミーにいる女性陣に負担をかけてしまうが何とか頑張ってくれ。」


「勿論ですわ。」


「お任せ下さい。」





各々が席を立ち、すぐさま家の者に指示を出す。

聖女様の心が折れてしまう前に、結界が破れてしまう前に…

時間との闘いが始まった。


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