-久しぶりだと少し堪えます-
間が空いてしまってすみません。
にもかかわらず、コメント下さった方、読んで下さった方本当にありがとうございます(*T^T)
相変わらずのカメ更新ですが頑張ります。
アカデミーの教会ではエリーシア様達が愚痴を聞いてくれて回復魔法を教えてくれた。
マナー教育ではマーガレット様が母の様に接してくれて、時々顔を出されるシリウス殿下が近況を教えてくれた。
部屋に戻ればメイドさん達とお茶をして落ち着けたし、真っ直ぐ過ぎるほど真面目な護衛さんは移動中も寂しくないように色んな話をしてくれた。
だから、久しぶりにこんな仕打ちだと流石に堪えるなぁ。
*****
ガンッ、ドサッ!
「きゃっ…痛っ!」
その日はサロンに入った途端、いきなりカーリスに髪を捕まれて投げ飛ばされた。
「お前、やってくれたじゃないか!」
カーリスを見てみると、今までに無い程怒りに満ちた顔をしており、言葉遣いも聞いたことのない位崩れている。
「お前アルミダのヤツと出来てやがるのか?教会からイチャイチャ出てきやがって!それとも何時も一緒のあの護衛のヤツか?俺には笑いかけない癖に何だあれは!俺への当て付けか?ふざけるなよ!!このあばずれが!!」
「カ、カーリス様?一体なにを……」
バシッ!
「口を開くんじゃない!しらばっくれるなよ!!お前は俺のモノなんだよ。何他の男に媚び売って誑かしてるんだ?お前は俺の言うことを聞いていれば良いんだ!」
ガッ、ドスッ、バシッ…
掴んだ髪をそのままに、お腹を蹴られて頬を叩かれる。
一体何が起きているのか、全く理解出来ないがカーリスは私がユート司祭や護衛さんと話すのが気にくわないらしい。
「や、めて……グッ」
「最近良い子にしていたと思っていたらとんと騙されたよ。罰として王宮舞踏会までアカデミーでの祈りもマナー教育も無しだ。」
「そ、そんな、私はただ……」
バシッ
「勝手に話すな。これはもう決定だ。ああ、そうだ、ついでに教えてあげるけどアルミダはアカデミーから外した。後あの護衛もだ。もう一生会うことは無いかもな。可哀想だなぁ、お前の言動1つで2人の男が職を喪ったぞ?どうする?次はメイドにするか?女だからまだ我慢してやってるけど泣きついたりしたらまた職を喪うヤツが出るかもなぁ?」
何が起きているのだろう。
カーリスにエリーシア様達の事がバレた訳では無さそうだが、いきなりの怒りと暴力に思考がついていけない。
あ、ボイスレコーダーつけなきゃ……
ドスドス蹴られて未だ罵られている中、何故かボイスレコーダーの事を思い出してこっそりスイッチを入れた私はそのまま意識を手放した。
*****
「ん、……いたっ、」
「聖女様、お目覚めにごさいますか?お加減は如何でしょう。直ぐに医師を呼んで参りますのでお待ち下さいませ。」
パタン
目を覚ますと自室の様だった。
だけどさっき見たメイドさんはいつものメイドさんじゃない。
あれ……?
私どうしたんだっけ………??
頭が良く回らず、ぼーっとしていると先程の侍女さんと医師の先生が入ってきた。
「聖女様、お加減は如何ですか?いきなり倒れられたと伺いました。何処にも異常はありませんので疲れが出たのでしょう。何でも此方の世界に来られてからまだ半年、アカデミーに通われてから3ヵ月程だと伺いました。丁度体調を崩しやすい時期なのかもしれませんね。2~3日ゆっくりお休みになられれば大丈夫でしょう。」
「あ、」
「先生、ありがとうございました。それでは聖女様に軽食をお持ち致しますのでここら辺で…聖女様も暫くお待ち下さいませ。」
パタン
私が言葉を発する暇を与えないようなタイミングでメイドさんが先生を連れて外にでた。
きっと私が暴力を受けた事を先生に伝えないようにしたのだろう。
と言うことはあの人はカーリスの付けた監視役という所だろうか。
……段々と意識がはっきりしてきた。
身体を起こして殴られた所を確認してみる。
身体に痛みはあるが傷痕の様なものは一切無い。
コニックが回復魔法を掛けたのだろう。
相変わらず痛みは取れていないので腕は上達していない様だ。
「ヒール」
目を閉じてメイルーシェ様達に教わった通り回復をかける。
身体がポウッと温かくなって痛みが退いていくのが分かった。
「あっ!レコーダー!!」
急いで服の胸ポケットを確認する。
そこにはペンの形をしたレコーダーがちゃんと刺さっていた。
底がほんのりと光っているのでしっかり録音ボタンは押せていたらしい。
「良かった、抜かれてない。どうにかしてこれをエリーシア様に届けなきゃ。日記も避難させたいし、どうしよう。」
カーリスの言うことが本当ならば明日からアカデミーの教会には行けない。
と言うことはエリーシア達に会えない。
マナー講座も無いならシリウス様が変装して来てくれる事も無い。
………恐い。
またあの恐ろしい日々に戻ってしまうのだろうか。
明日からまたカーリス達のモラハラ暴力に耐えなければならないのだろうか。
一度希望を知った後にどん底に落とされるとこんなにも辛くて怖いのか。
何か方法を考えなければならないのに身体が震えて涙が勝手に溢れて止まらない。
「助けて……」
王宮舞踏会まで後5日。
私は耐えることが出来るだろうか。