-聖女様を救う会は真面目にやっているのに何故か笑いが絶えません-
相変わらずのカメ投稿ですが宜しくお願いします。
聖女様とアカデミーの教会で初対面してから1週間、シリウスが杏菜のマナー教育に乗り込んでから5日、そしてXデーまであと1週間となった今日、とある場所で『聖女様を救う会』が開催されていた。
「さて、皆忙しい所ありがとう。早速だけど始めよう。」
シリウスの言葉で早速会議が始まった。
「リリー嬢、今現在の結界状態はどのような感じかな?兄上殿からは聞き出せたかい?」
「はい、今現在はアカデミーにお越しになる前の70%まで回復しております。流石にカーリス様と引き離せていないので完全回復とはいかないようですが危機的状況は脱出したと思って良いかと思われますわ。」
「それは良かった。兄上殿にも引き続き宜しく頼むよ。」
「かしこまりましたわ。」
「エリーシア嬢、アカデミーの教会で会っている時はどうかな?聖女殿は困っていないかい?」
「ええ、殿下。どうしてもカーリス様とのストレスがありますので女子会という名の愚痴大会を開いておりますわ。まあ、ユート司祭様もいらっしゃいますから完全な女子会でもありませんけど。ボイスレコーダーを聞きながら思いっきり不満を吐き出してスッキリして頂いておりますわ。」
「後は、僭越ながら私とユート司祭様で回復魔法をお教えしておりますの。アンナ様は魔力が豊富でいらっしゃいますので適正を調べた所回復魔法に秀でておられましたわ。上達もお早く、既にコニック様を越えそうな勢いですわ。」
クスクスと笑いながら追加で報告したのはメイルーシェである。
「回復魔法か、聖女殿らしい。だがこれで愚兄の虚偽報告の証明が出来るね。聖女殿は魔法に適正無しって報告が上がっているからね。どんどんボロが出てきてくれて助かるなぁ。」
「アンナ様がボイスレコーダーを仕込んで下さっているお陰でカーリス様達の密会内容もバッチリですしね、本当、順調に証拠を揃えられておりますわ。私どもの婚約破棄についてはエリーシア様のお父様が沢山動いて下さっていますし、後は決戦の日を待つのみですわね!」
普段は大人しいメイルーシェが興奮気味に話す。
その横でエリーシアとリリー、シャーリーもうんうんと嬉しそうに頷いている。
「本当に聖女殿には感謝してもしきれないね。事が全て済んだら何かお礼をしないと。個人的にもとっても楽しませて貰ってるしね」
シリウスがニコニコしながら楽しそうにしているのを見てリリーが口を開いた。
「そう言えばシリウス様、とっておきの話題とはなんですの?私気になって仕方ありませんでしたのよ?どんな楽しい事がありましたの?」
キラキラした目でシリウスを見る。
シリウスは少し得意気な表情を見せ『聞きたい?』とリリーを焦らしている。
いつもは自分が焦らされる側だったからだろうか、優位に立てるのが嬉しいらしく12歳らしい、子どもの様な仕草が何とも微笑ましい。
焦れているリリーの様子に満足したのか、少しどや顔でシリウスが話し出した。
「それがね、君たちの婚約者殿もこぞって聖女殿に骨抜きの様なんだよ。ククッ、思い出すだけで笑ってしまうね。でもって、愚兄の時同様聖女殿は全くそれに気付いてないんだ。『あの人達のカーリス様狂いも見事なものですよね。私がカーリス様を取ったと思ってるんですね』だなんて言うんだよ。傑作だと思わない?お陰でうちのエルドが2回も吹き出してたよ」
ククッっと更に笑いながら語られた内容にエリーシア達は一同ポカーンとしてまう。
しばらくして漸くリリーが扇子で机をバシバシ叩きながら口を開いた。
「………もうどこから突っ込めば良いか分からないんですが。あの3バカがいつの間にかアンナ様に惚れて?アンナ様は何時もの様に天然記念物で?挙げ句真面目すぎて仕事中は笑いもしない鉄火面で有名な護衛が吹き出すですって?アンナ様、本当に何者なのかしら……素晴らし過ぎるわっ!!!!」
「リリー様、机に扇子をバシバシしてははしたないですわよ」
「だってシャーリー様、これを笑わずにはいられる?凄すぎるわ!」
「リリー様、言葉が崩れておられますわよ?」
「だってメイルーシェ様、あの3バカもアンナ様にぞっこんてどれだけ泥沼なのよ!!それでお互いに牽制し合って共倒れすれば良いのに!!ああ、どんどんやってもらって婚約破棄の理由に追加したいわ!アンナ様本当に最高!」
「リリー様ったら………。でも確かに上手くいけば私達の婚約破棄に有利な情報が沢山手に入りそうですわね。次のボイスレコーダーの回収が楽しみですわ。」
「でしょ?エリーシア様。あー、早く明日にならないかしら?明日のアカデミーが楽しみ過ぎるわ!」
何だかんだリリーを嗜めつつ、シリウスの話題にキャーキャー盛り上がる女性陣にシリウスも満足そうだ。
「さて、盛り上がっている所悪いが空気になってしまっている私からも報告しても良いかね?」
今まで本当に空気と化していたエリーシアの父、コールマン伯爵がすこし寂しそうに口を挟んだ。
「ああ、コールマン伯爵。ごめんね。報告してほしいな。」
「殿下、ありがとうございます。丁度3バカの話が出たのでエリーシア達にも伝えておこう。カーリス様及びサイラス、コニック、ガリオンが君たちの王宮舞踏会のエスコートを断ってきたよ。皆で慣れていない聖女をエスコートする為らしい。……何とも愚かな事だ。」
コールマン伯爵は嘆かわしそうに話しているが口が嗤っている。
あら、本気で怒っておられますわね。
なんて言いながらエリーシアは優雅な仕草でお茶を飲むが、あまりの迫力に少し沈黙が続いた。
「と言うことで我々は陛下に対して正式に抗議しておいた。『いくら聖女様が王家の後ろ楯とは言えこの仕打ちはなんですか!』ってね。そしたら案の定バカ共の独断だったようでね、今までの所業も事細かに説明して今後の作戦の為にご協力頂く事にしたよ。王宮舞踏会が楽しみだ。ああ、勿論エリーシア達のエスコート相手はこちらでしっかり用意するから安心してくれ。」
ニコニコしながら話してくれるコールマン伯爵だが、眼は全く笑っていない。
普段は外務大臣として王の側近を勤めあげている彼は普段は優しいが国と家族の為ならば一切の妥協はしないと有名な人物である。
また、その為には手段を選ばない冷徹者とも。
しかも正攻法で逃げ場なく徹底的に相手を追い込むため、回りからは一目置かれていた。
あらあら、もう止まりませんわね。
と言いながら今度は優雅にお茶菓子を食べ始めたエリーシアを余所に、他の面々は頼もしくも『敵でなくて本当に良かった』と胸を撫で下ろしたのであった。