第八話 暇つぶしを見つけたい
今回はカーベラ視点で書いています。
耕太の通う学校が始まってそろそろ一週間が経とうとしていた。
いつも一緒にいてくれるから暇な時なんてないけど、来週からは帰ってくるのは三時過ぎになってしまうからな。どうやって耕太がいない時間を過ごすか・・・。
・・・それに耕太がいないと寂しいし・・・。できるものなら、学校行ってほしくないなぁ。
と、そんなわがまま言ってられない。耕太も行かないと将来が大変になると言っていたからな。
「はぁ~・・・」
「ん?珍しいなため息なんて」
思わずため息をついていた私に、心配してるれる耕太。・・・本当にいいやつだ。
こんな明確な好意を抱けたのは初めてだ。だから離れるとなんだか胸がキュッとなる。
「いや、耕太のいない時間をどう過ごそうかな、と思ってね」
「俺がいない時間かぁ~・・・。確かに帰りは遅くなるし」
「ん〜」と、考えてると、なにか思いついたのか、ダンボールとか言う箱の中から何か取り出して見せてきた。
「これはゲームっていうんだけど。これなら丁度いいんじゃないかな?」
「ゲーム?何だそれは?」
「ん〜、なんて言ったらいいのかなぁ・・・。まぁ、とりあえずやってみたらわかるよ」
ふむ。説明出来ないものでどうやって時間を潰せるのだろうか?
そう言ってテレビの周りをガチャガチャと線をつないだりしている。
「・・・これでよしっ!」
そしてゲームのスイッチを押すと『ピッ!』という音とともに、テレビ画面に見慣れない映像が映し出される。
「おぉ〜、なんだこれは!」
「これは去年発売されたPZBOXって言うゲームなんだけど」
「ど、どうやるんだ!?」
「まず、ここをこうして・・・」
コントローラーという操作する物のボタンやらスティックとやらを説明してくれる。
後はゲーム機についてやゲームソフトとかも教えてくれた。
意外と単純なんだな。
「じゃあ、カーベラが好きそうなソフトは、これかな」
「・・・ハンティングモンスター?」
「そう。いろんなモンスターが出てきてそれを倒すっていうゲームなんだけど」
「・・・た・・・楽しそう・・・!!」
「ちょっとやってみようか」
ゲームが始まると自分の分身を作るようで、私そっくりのキャラクターが完成した。
ちなみに耕太が全部やってくれている。
私に似せるために顔を見られるのはなんだかはずかしいかった・・・。
その後、チュートリアルというのをして、晴れて冒険者となった私。
「なんだか駆け出しの頃を思い出すなぁ・・・」
「カーベラにもそういうのがあったんだね」
「当たり前だ。誰もが通る道なのだから」
本当に最初の頃はすぐに死にかけていたなぁ・・・。
昔の思い出を思い出していたら、クエストが始まったようだ。
草原にぽつんと立つ二人。
耕太について行くと何度か景色が変わり、モンスターが現れる。
「お!こいつを倒せばいいのか!」
「そうなんだけど・・・気をつけてね・・・?」
ふっふっふ・・・。ここで私が活躍すれば、耕太が驚いて感心してくれるかもしれない。
完璧な計画・・・!!とか思いながらモンスターに突っ込む。
「あぁ!初期装備で近づくのは・・・」
《YOU DIED》
「・・・へ?」
「あらら〜・・・。やっぱり死んだかー」
「ど、どうゆう事だ!?なぜ私は死んだのだ!?」
「敵がそこそこ強いから、最初の装備じゃあまり太刀打ちできないんだよ」
「どうしたらいいの?」
「実は、強いクエストで俺が倒して、カーベラのレベルを上げようとしてたんだけど」
「・・・耕太が倒して私は何もしなくていいと、そう言っているのか?」
無意識のうちに口調が強くなっていた。
「耕太がそんな事をせずとも、自分自身の力で倒して見せるぞ!!」
いいだろう、やってやろうじゃないか。
人を助ける騎士が助けられてたまるか!・・・あっでも、耕太と初めて会った時は無しで。
このゲームは一回死んだらやり直しになる。
要するに、このモンスターに突っ込まなければいいのだ。
一回目
《YOU DIED》
最初なんだから仕方ない。次!
二回目
《YOU DIED》
まぁ、パターンさえ分かれば。次!
三回目
《YOU DIED》
んー・・・。次・・・。
そして時間が経ち・・・。
数え切れない回数挑み、そして・・・、
《YOU DIED》
・・・・・・・・・。
ダメだ。完全に詰んでしまった。
私はこんな所でつまずいてしまう程度なのか。情けない・・・。
「もう・・・やめとこうな?これ以上は流石に・・・」
「ぐずっ・・・。・・・うん」
私は泣いていないぞ!ただ私が可哀想なだけだ。
「うぅ・・・。つ、次こそは貴様を絶対倒してやる!貴様を倒すために修行を積んで、圧勝してやるからな!!」
テレビの画面に映るモンスターに指をさして、私は宣言した。
初めて耕太以外の人物の視点で全て書いたので、表現をその人物にあったものにしないといけなく、すごい考えながら書いてました(笑)
では、また次の話で!