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第四話 楽しいお買い物

時間は昼過ぎ。カーベラさんはテレビでバラエティー番組を見て、あやめは食後の昼寝をしていて、俺はリビングのソファーで横になってぼーっとしていた時、ふと思った。


(そういや、カーベラさんとあやめの洋服とかどうしたもんか。それに、食べ物も底を尽きかけてるし・・・。ちょうどいいから買いに行くか)


思ってから約二秒の即決だった。


***


「・・・というわけで、いきなりですが、買い物に行きます」

「「買い物ですか?」」

「そう。買い物です」


ことの発端を言った後からの唐突の発表に、面食らった二人が疑問の声を上げる。

カーベラさんだけなら外出は俺一人で十分だったが、あやめというもう一人の住人が増えたので、食料がすぐに底を尽きてしまう。

なので、ここで二人にはこの世界の買い物のやり方を覚えてもらい、俺の負担を減らすという作戦だ。


「しかし!それにはある問題がくっついてくる!」

「「その問題とは?」」

「二人ともこの世界の洋服を持っていないよね?だからそれを先に買いに行きます」

「確かに私は着るものはあるがこの通り鎧しかにないからな」

「そうです。それで外を出歩くのはやめたほうがいいですね」

「あやめは元々犬だから、服を着るっていうのはあまり好きじゃないなぁー。何ならこのシャツもご主人のじゃなかったら、脱いでるし」

「それはなおのこと必要だな。・・・ていうか犬だったときは普段全裸で過ごしていたのか」

「そうだねー、だから毎晩あやめは裸でご主人と夜をともにしていたというわけだね!」

「その言い方はやめろ」


まぁ、犬なら仕方ないけどさ。でも、そう考えると毎晩裸の子供と、・・・おっと、ポリスメンはお呼びじゃないぜ。さっさと帰りな!


「というわけでまずは、お金の使い方を教えまーす。さぁ、席についてくださーい」

「「はーい!」」

「うむ、元気でよろしい」


とりあえずカーベラさんにそれぞれの貨幣の価値を教えようか。

あくまで分かりやすくするために貨幣は十円玉、百円玉、千円札、一万円札を使う。


「では、あらかじめカーベラさんに持ってきてもらった金貨、銀貨、銅貨、石貨があります。・・・ちなみに、石貨一枚で何が買えますか?」

「ふーむ、まぁ、基本的に安い菓子くらいなら買えるな」

「なるほど。ということは大体一枚十円くらいの価値ですねぇ」


カーベラさんの世界では石貨十枚で銅貨一枚、銅貨十枚で銀貨一枚・・・というように十枚ずつで一つ上の硬貨の価値に値する、という事だ。


「となると、この一万円札というのが金貨一枚なのか!」

「そうです」


ほぉ~・・・っと、まるで子供のように目をキラキラさせながら金貨と一万円札を交互に見ている。

教師ってこんな気分なのかな。


「とまぁ、カーベラさんはこれで大丈夫だな。だが、問題はあやめ、お前だ」

「ふぇ?」


そう。もっと重要なのはこいつ。さっきまで元気よく返事していたくせに、今は自分は関係ないみたいな顔しよって。

カーベラさんは元いた世界の硬貨があったからよかったけど、あやめに関しては教えるにも基準がないからな。どうしたもんか。

少しの間考えていた俺は、いいことを思いつく。


「あやめ、お前の好きな果物は?」

「イチゴ!!」

「そうだ。そのイチゴは、大体一パック五百円から六百円くらいだ。だからイチゴを買うのに必要なお金は、百円玉が六枚必要となるんだ」

「へー」


あっ、こういう反応は。


「・・・正直に言っていいぞ」

「よくわからないっす」

「だよなぁ~・・・」


あやめは見せて覚えさせえるしかないようだ。


「まぁ、ある程度分かっただろうし、早速行きますか。」


***



場所は変わって、近所の大きいスーパーへ。

買い物の基本や常識、どのような食材があるのかを説明しつつ店内を散策する。

ちなみに二人には服を買うまでの間、俺の服を着せている。カーベラさんは長袖のボーダーシャツにジーンズ。あやめには俺が小さい頃着てた古着を着せている。

そうして散策すること約一時間、ようやく回り終えた俺たちは必要な食べ物やアメニティーグッズなどをカゴに入れレジに並んだ。


「この世界には面白いものがたくさんあるんだな!」

「ご主人、また来たーい!」


二人とも楽しかったようではしゃぎっぱなしだ。まぁ、無理もないと思う。自分の認識が広がったわけだし。

レジに通し終わり、レジ袋へ入れて帰路に着く。

帰り道の途中で立ち寄ったコンビニで、


「そういえば耕太。私たちの服はどうするんだ?下着というのは買ったが肝心の外出用の服がないぞ?それが目的で来たのではないのか?」

「・・・!?。・・・それはまた明日買いに行くので、安心してください」


やばい、二人に教えてるうちに完全に忘れてた。建前で分かっている風にしているけど、恥ずかしい。

話題を変えなければ。


「そ、そんなことより今夜は鍋にしますよ」

「鍋って、あの鍋か!?」


食いつきがすごい。そういえば、昼のテレビで特集されてたからか。


「やったー!・・・すまない取り乱した」


両手を上げ、喜びを表すカーベラさん。からの冷静になるカーベラさん。


「ふふ、かわいいですね」

「ううぅ~」


あー弱ってる弱ってる(笑)


「むぅ」

「ん?どうしたんだあやめ。そんなに後ろのほうを睨んで?」

「・・・気のせいかな?」

「ほんとにどうしたの?」

「あっ、何でもないよ!」

「・・・?」


あやめは時々よくわからん。

だがこの時はまだ知らなかった。そんな楽しい帰り道に俺たちを見つめる影があったことを。

最後に何か怪しいのが見えましたねぇ。


次回、「開戦!カーベラ、決死の攻撃!」(大嘘)

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