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第6話

 高校に入学して数日のこと。お姉ちゃんと一緒の通学路のワクワク感は覚めることなく、むしろ高まる一方だけど、離れ離れになるクラスでの生活は慣れてきちゃった。


 感情が表に出にくいお姉ちゃん相手に磨いてきたあたしの話術で言葉巧みに相手の心の隙間に入り込み、クラスの影のボス的な存在になるまでに一日。


 そこから暗躍して同学年の中で隠れた支配者になるのにさらに一日。


 ……とはいえ、支配するのは同じ一年生のみ。上級生はみんなお姉ちゃんのファンだったり信者だったりするからあまり手を広げると逆にお姉ちゃんと敵対してしまうかもしれないからね。


 お姉ちゃんだったら、あたしが勝負を仕掛けても絶対に応じたりはしないしけど、困らせたくないもん。


 そうしてクラスで一人だけ豪華な椅子に座り、装飾の凝った机で勉学に励むあたし。


 いやまぁ、正直こんな一人だけ目立つ行動は「影の支配者」としてどーなの? って思わなくもないけどさ。なんかお姉ちゃんが先生たちに手を回してあたしだけ机と椅子を良いものを用意させたんだって。


 お姉ちゃんが言うには「レサルの可愛いお尻や胸が安物の机と椅子で形が崩れるのは嫌だから」とのこと。


 勿論、おっぱいのデカさならあたし以上のお姉ちゃんは同じように高級な椅子と机を使っているそうな。


 これもまた、美しい妹に相応しい姉でいるための努力の表れだと、真顔で言われたので冗談なのか本気なのかは分からないけどね。


 お姉ちゃんだから仕方がない。


 あたしにも信者とも呼べるような連中が出来てきたけど、どーにもあたしの背が低いからか子ども扱いされちゃうんだよねー。


 お姉ちゃんは背が高いから大人びて見えるけど、あたしは癖っ毛でチビ。胸は順調に育ってるけどそれが逆にアンバランスに思えるからコンプレックスだったりする。


 お姉ちゃんはあたしの全てを長所だて言ってくれているけど、やっぱりあたしはお姉ちゃんみたいに格好の良い美人になりたいのになー。


 でも無いものねだりもよくないし、高校での三年間で成長することを期待しよっかな。


 あ~あ、学校の中ではお姉ちゃんとクラス離れ離れだけど、今ごろは何をしているんだろう?


 でもまっ、死がふたりを分かつまで? お姉ちゃんとはこれから一生一緒に生きていくんだから、こうやって離れている時間も晩年の思い出話とかにはいいのかもね♪



 ◆ ◆ ◆



 どうも、愛しのレサルのお姉ちゃんをしているヘリルです。なんて誰に言うでもなく、心の言い訳として「お姉ちゃんなら許される!」と思いながら今日も妹を見守っているのよね。


 今日も今日とて可愛い妹と手を繋いで登校したものの、学年が違うというだけの理由で離れ離れになったことを悔しく思っています。


 ある程度のわがままならば、私が頼めば先生方からPTAの方々まで動いてくれますが、流石に妹と学校でもずっと一緒だと変な目で見られても困りますからね。


 ある意味、世間の目をごまかすためにも離れる時間というのは必要なのかもしれません。


 それもこれも、私の感情が表に出にくい性質のおかげ♪


 あぁ……、今日もふにふにすべすべのレサルの手は柔らかくて温かかったわ~♪


 それで現在の私ですが、妹の教室の天井裏に潜んでいます。


 自分の教室には私の分身が代わりに授業を受けているので問題はありません。そもそも出席日数さえ気にしないのならば、全教科一夜漬けでテストも満点取れる私には必要すらないんですけどね。


 妹を眺める時間よりも優先する事柄があるはずありませんわ!


 ……おっと、妹と一緒に何かをする時間というのもたいせつですね。眺めるのもいいけれど、一緒に何かをしたい。


 具体的には裸で肌と肌を重ね合わせて粘液と粘液がこう、交差する的な? んふ♪


 そんな風に妄想に浸っていたけれど、ふと、妹から思念のようなものを感じる。


 「一生一緒に生きていくんだから離れている時間も思い出になる。だからお姉ちゃん大好き♪ 愛してる♪」……的なことを考えている気がするわ。


 ……そうね。確かに私たちは姉妹として愛し合い、いずれは女同士で愛し合う。だったら離れている時間だって大切に思えるようにならないとダメよね。


 教室の天井裏から見守るのはちょっと変かもしれないと思うようになった。うん、やっぱりお姉ちゃん、あなたの見守り方をちょっと普通にしましょう。


 そういえば神様は魂を分けても平気みたいだし、教室に残してきた私の分身にも私の魂を分けてどちらも本物にしようかしら?


 うん、それがいいわね! お姉ちゃん、これからもっと頑張って分身の術を極めてあらゆる場面でレサルを守れる立派なお姉ちゃんになるから!


 これからも愛し合いましょうね♪



 ~おわり~

 これにて完結!

 色々とルート分岐を楽しむ作風にしようかと思ってモブも出さずに二人の心を描写ばかりしていましたが、あえてこの先は読む人の数だけ存在するというオチもいいかな? と考えております。


 まぁ、そういうノリなもんで、もしかしたらその「色々なルート分岐」を思いつくままに書くかもしれませんが、それはそれで蛇足になりそうなのでここまでとしました。


 ここまでお読みいただき、ありがとうございました。どうか読者の皆様の良きネット小説ライフの一助になればと思います。

 書き手としても読み手としても、善でも悪でも、心に届く作品こそが良作という信念ものとにこれからも気ままに書いていこうと思います♪

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