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君がくれた宝物

作者: 三毛猫

君が我が家にやってきた。



パパが念願のマイホームを建てた時に君はやって来たね。



君は他の子より体が大きかったせいか、最後まで売れ残っていた。

お母さんにべったり甘えていた君。



片耳だけ垂れて、尻尾はくるんっと丸まっている姿の君に夢中になったのは、お姉ちゃんと私だった。



でも君は女の子だったから無理かなって話になった。



でも、お姉ちゃんと私は諦めきれなかった。



お姉ちゃんはこっそり、君に会いに行っていた。

私は君の絵を描いた。



私とお姉ちゃんでパパとママにもう一度、会いに行きたいと涙を流して、お願いした。



パパとママはわかったっと言ってくれた。

もう一度、君に会いに行ける事になった。



その時パパは君を初めて抱っこしたね。

暫く君の顔を眺めていたパパ。



そして君をしっかり抱き締めたまま私とお姉ちゃんにお世話をするか?っと訊いてきた。



私とお姉ちゃんは首を縦にふった。



今思うと、君に一番夢中だったのはパパだったね。



一緒に居たママは少し呆れていたけど、直ぐに君に夢中になった。



君は、お母さんとバイバイするのが解っているのか少し悲しそうな顔をしていたね。



皆で君の頭を優しく撫でながら我が家に向かった。



あの日から君は私達の家族の一員になったね。



君は家に馴れるまで少しだけ時間が掛かった。



夜になると不安そうにクゥーン、クゥーンっと鳴いていた。



その度に、皆が君の頭を優しく撫でたね。

大丈夫だよ。大丈夫だよ。っと声をかけながら。



日に日に不安げな表情から明るい表情になったね。



家に馴れてから君は暴れん坊になった。



夜にゲージから抜け出して朝までソファの上で眠ったり。

トイレシートをぐちゃぐちゃにして遊んだり。



イタズラもいっぱいしたね。


春になって君を外に出した時、興味津々に辺りの匂いを嗅いでいた。

外には馴れたけど新しい家に君は、なかなか入らなかった。



新品の臭いがするから嫌なのかな?って思って君の大好きなタオルやおもちゃを家の中に入れてたね。

家族皆、辛抱強く君が入るのを待っていた。



君は新しい家に入ったり、出たりを暫く繰り返していたね。


でも夜になると君は新しい家で眠っていた。

お家、気に入ってくれたねっと家族皆で喜んだ。




初めてのお風呂は大暴れだった。

あと少しだからね。っと君に話しかけながら君の体を洗った。

体が濡れると抗議するようにワンワン鳴いていたね。


お風呂は嫌いだったけど、体を乾かすのは大好きだったね。

ドライヤーの温風を当てると気持ち良さそうな顔をしていた君。


お風呂嫌いでドライヤーの温風が大好きって猫ぽいねっと皆で笑った。



お医者さんもお風呂と同じ位、大嫌いだったね。

初めての注射の時に怖くてオシッコをもらしちゃった君。

担当してくれた獣医さんにパパは謝っていた。

獣医さんはよくある事だっと笑っていた。



初めてのお散歩は色々な匂いが気になって君は大興奮だったね。


あっちに行ったり。

こっちに行ったり。

とても楽しそうに歩いている君。



君が来てから毎日がとても楽しかった。



辛い事や、悲しい事があると君に会いに行った。

君の体を撫でるだけで、とても癒された。



なくてはならない存在だった。


でも………



君は徐々に痩せていった。



君は徐々に散歩に行くのを嫌がった。



君は徐々に眠る時間が多くなっていった。



君は徐々にご飯を食べなくなっていった。



最期は寝たきりになった。



初めて家に来た時の様に、寂しそうにクゥーンクゥーンっと鳴き始めた。



鳴き声が聞こえると優しく君の体を撫でた。


大丈夫だよ。大丈夫だよ。

寂しくないよっと君に話しかけながら。



そして君は虹の橋を渡って行ったね。



家族皆で君の体を撫でながら泣いたよ。

普段、泣かないパパが一番泣いていた。

ママも泣いていた。

お姉ちゃんも泣いていた。

私も泣いた。



君と過ごした時間がとても楽しすぎて、思い出が多すぎて……



とても辛い。

とても悲しい。



でも何時かはお別れが来るんだ。



命あるものは永遠ではない。

その命には必ず終わりが来るんだ。



最後に君はそれを教えてくれた。



まだ、君が近くに居るのなら最後にお礼を伝えたい。



楽しい時間をありがとう。


嬉しい時間をありがとう。


色々な話を聞いてくれて、ありがとう。


いっぱいイタズラして困らせてくれて、ありがとう。



たくさん、ありがとう。


天国でも楽しく過ごしてね。


大好きだよ。




命あるもの何時かは終わりがくる。

頭では理解していても、別れの時はとても悲しく、辛く、別れを受け止められない事もあります。


しかし、私達に沢山のプレゼントしてくれました。


楽しい時間。

嬉しい時間。

辛い時、悲しい時に支えてくれた時間。



他にもプレゼントは沢山あると思います。


それはずっと消えない宝物になるはず。


その宝物を大切にして前を向いて歩いていけたら良いなっと思います。



この話は私の愛犬のお別れをきっかけに書かせていただきました。



最後までお付き合いしていただき、ありがとうございました。


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