出会い
梅雨時の6月中旬。
普通はこんな中途半端な時に転校生なんて来ないはずだ。
そう・・・普通は来ないはずだ。
なのに・・・なんで・・・。
僕は、古坂琴希(コサカ コトキ)。
女顔で身長だって小さいし、小柄すぎて困る。
体力だって平均、ごくごく普通の中学1年だ。
特技はピアノ。
困ってることが1つ・・・
この世のものじゃないものが見える。
俗に言う”幽霊”がみえる。
けれど、それでは何人か身の回りには居る。
僕は”幽霊”以外に妖(アヤカシ)と言われるものが見える。
妖は、人の嫉妬、恨み、悲しみ、怒り・・・。
人の感情のせいで生まれてしまう。
この妖のせいで、僕の友達や母さんは死んだ。
こんな考え事をしていたら急に背中を叩かれた。
[前、前を見なさい!!]
後ろの席の浅地が小さな声で呼びかけてきた。
[う、うん・・・。]
「今日は休みはいないよな?よし!いきなりだが転入生を紹介する。」
野太い声で怒鳴ってるのは、真田先生。
女子からは”ダサ先”と言われているらしい。
まぁ、僕は興味ないけど。
”転入生”って聞くとみんなテンションが上がるのか
なぜか盛り上がっている。
そこまで盛り上がる・・・?
「おい!入れ!」
入ってきたのは、髪の長い美少女と僕と同じ女顔の美少年。
「ほれ!自己紹介!」
美少女は渋々と低い声で自己紹介を始めた。
「えぇ〜と・・・初めまして。霧冥疾風です。よろしくお願いします・・・。」
霧冥疾風(キリミョウハヤテ)・・・。
変わった名前だな・・・。
次は美少年が声変わりをしてない高い声で自己紹介を始めた。
「初めまして。霧冥飛鳥です。よろしくお願いします。」
最後に満面の笑みを浮かべた。
霧冥飛鳥(キリミョウアスカ)と霧冥疾風(キリミョウハヤテ)・・・。
これが僕と飛鳥と疾風の出会いだった・・・。