ニハヤ様(仮) 2
ファランが聖都プロメイア、所謂『中央』に着いて一日、ようやく中央特有の気が抜けるような春の陽気にも慣れた。
海の上に大輪の花が咲いた様な形をしたウルカ聖国。
聖都プロメイアは五枚の花弁に包まれた中央に位置し、ファランの住む鍛冶の街イスハークは南東の花弁に位置する。
ウルカ聖国はその形状の他に、場所により気候が異なるのも特徴となっているが、最大の特徴は『精霊の住む国』である事。
精霊は当たり前の様に存在し、さらに国民は十歳になると一人につき一人の精霊をその身に降ろす事となっている。
敬虔な精霊信仰の国である為、その身に降ろした精霊によりその後の職業や住む街が決まる事になり、更に専門的な技術や才能を持った精霊を降ろした者は、その後専門職に就くべく所定の学校にて学ぶ事となる。
かく言うファランもまた、彫金や工芸に向いた精霊ラナをその身に降ろし彫金師となった。
ファランとラナは、今年中央に献上される指輪作成の候補者の一人として昨日中央入りをし、これから最終結果を聞きに行く所だ。
「じゃあ行って来るけど、本当について来ないのか?」
着慣れない上衣の襟元をしきりに気にしながら、ファランは扉を開けもう一度確かめる様に振り返る。
部屋の奥の寝台には、ゆったりとしたワンピースに身を包んだ、愛らしい女性がごろごろと寝そべりながら、これから出かけようとするファランにひらひらと手を振っていた。
寝台の女性、ラナはぱっと見た限りでは普通の女性に見えるが、首に一対の小さな羽が生えている。
更に首の後ろから背中、腰にかけて鱗の様に体に貼り付いた色鮮やかな羽毛が生え、他にも肩や二の腕にも飾り羽が生えている。
人の姿をしているが彼女は立派な精霊。ここまで人の姿に近い精霊はそう多くない。
そしてラナが『彫金師向きの精霊』と判断された理由が、ラナの右肩付近に宝石が生えると言う特殊な才能を持っていたからであり、今もごろりと寝そべるラナの肩には鮮やかな羽に劣らない色とりどりな石が貼り付いている。
どうやらラナはもう一眠りするらしい。ファランが再度誘っても横たわったまま笑顔で手を振っている。
安定の、大昔のデータ破損シリーズ☆




