ヌヌッカとロロッカ 2
飛び出したクアンを追い掛けようと、クンが腰を上げると、母は静かにそれを制し、散らかった食卓を片付け始める。
クンとクアンの父が亡くなり五年。
クアンは時折父の話を持ち出し、こうして母と揉める事がある。
クンは静かに食卓を片し、台所に向かった母の背中を目で追うと、食卓に残ったチチカを口に放り込み、皿を持ち母の背中を追う。
「夕方には戻るよ」
「無理するんじゃないよ。母さんも洗濯したら、薪を拾いに昼位までは海岸沿いに居るから、何かあったら叫びなさい」
母は力無く笑いクンの頭を撫でると、皿を洗い始めた。
クンは家を出ると、はたと思い出したように家の裏を覗き込み、薪を確認する。
母が言っていた通り、数日はもつだろうが、薪は随分と心許なくなっていた。
本来ならクアンに薪拾いをさせるのだが、軽く見渡した限り、近くにクアンの姿は見えない。
またいつも通り海岸の岩陰で貝を採っているか、海岸沿いを意味なくただ歩き続けているかのどちらかだろう。
クアンはいつも、気まずい事があると、一人海岸を歩き途方に暮れている。
クアンの事は母に任せ、クンは網と籠を持つと、ムティの待つ海へと歩き出した。
海に着けば、既にムティは木の皮と板を組み、舟を作っていた。
てっきりまずは材料の木の板探しから始めなくてはならないと思っていたクンは、どこからこれ程しっかりした板を見付けてきたのかと、足を止め唖然とムティを見つめていた。
すると、ムティがクンに気付いたのか、大きく手を振り早く手伝えと声を上げる。
「悪い、遅くなった」
「良いって。材料はそこから失敬したし、一人でも何とかやれてたよ」
木の板と皮を蔓で固定しながら、ムティは海岸の岩場の方を顎でしゃくる。
舟に足をかけ力一杯固定しながら、クンが岩場の方へと視線を移動させると、そこにはもう使わなくなり朽ちていた、木で組んだ舟が無残にうち捨てられていた。
ムティはその舟を解体し、使える物だけ選出したらしい。
こちらも大事にデータ破損し心も破損したやつです。




