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ジャックフロスト牧場

monogatary様の「ドラゴンやペガサス等の牧場の話」と言うお題で短編を書こうと思って即ボツになった残念なやつです。

特殊な飼育環境の中でしか育てられないやつーって思って書き始めたやつがこれでした。

「お前、何でわざわざこんなキツイ現場になんか来たんだよ。ここは俺みたいな落第者しか普通来ないとこだぞ?」


 先輩飼育士は凍りついた餌箱に残った餌を金槌で叩きながら、すぐ後ろで氷片をまとめる後輩に質問だけを投げかける。

 質問しつつも実際はあまり興味が無いのか、先輩はしきりに鼻をすすりながら目の前の餌箱を睨みつけ、半ばやけになりながら金槌を振り下ろしている。

 そのせいで後輩がまとめたそばから細かな氷が容赦なく周囲に飛び散るのだが、そうでもしない限り凍りついた餌箱はびくともしない。

 飛び散った氷が床に貼り付いてしまう前に、後輩はせっせと氷を回収しちりとりの中に放り込んでいく。

 

「だってこいつをもっと繁殖出来たら、もっと遠くまで鮮魚を運べんですよ! 俺、実家が海から遠いし暑い地方だから、海の魚なんて見たこと無かったし」

 

 後輩はちりとりに溜まった氷をバケツに放り込むと、掃除が終わるのを待ちきれず寄って来たジャックフロストを軽く撫でる。

 

 ここ、ジャックフロスト牧場は、ほんの数十年前に確立された新しい牧場であり、人気の無い牧場の一つでもある。

 それまで安定して食品を冷やして運ぶすべが無かった為、海の物は海沿いで、山の物は山でしか味わう事が出来なかった。

 しかし、ジャックフロスト牧場を実働させた事で、鮮度を保ったまま以前より遠くへ運べるようになった。

 氷の精霊であるジャックフロストを積荷と一緒に運ぶだけで、冷凍して運べると言う事だ。

 

 しかし、成体のジャックフロストは火山など相当暑い所でなければ自由に動き回る事が出来るが、幼体は違う。ジャックフロストは成体になるまで、氷点下でしか生きていけないのだ。

 餌や水が凍りつくほどの気温、微生物や菌までも死滅してしまう程の寒さの中で無いと、すぐさま菌などに負けてしまうのだった。

 故に、ジャックフロスト牧場は人気が無く、先程先輩飼育士が言っていたように他の牧場から爪弾きにされた者くらいしか担当する者は居ない。

 

「ずっと暑いところで育ったから寒さに憧れもあったし、猟師町出身のばあちゃんに魚を食わせてあげたいんッス!」


 勢い良く立ち上がり両手にバケツを持ち意気揚々と歩いて行く後輩をぼんやり眺めながら、先輩は金槌を振るう手を止める。

 

「ジャックフロストは荷物と一緒に運ばなきゃ意味が無いからな、効率が悪いんだ。なんならイエティとか霧の巨人とかビッグフットとかよ、冷凍どころか荷運びまで出来るやつが一番なんだよ」

「まじっすか!? じゃあもうそいつらも育てましょうよ!」

 

 元気良く振り返った後輩の鼻先は真っ赤。

 先輩は後輩のそんな姿に爆笑し、凍りつく床に突っ伏してしまった。

 

 二人しか飼育士がいないジャックフロスト牧場に、他の魔獣がやってくるのはもう少し先の話し。

ボツ理由?ジャックフロストって女神〇生のイメージが強すぎてアイツを飼育してるイメージしか湧かなくなったので…。

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