太陽の神官と月のケンタウロス
安定のデータ破損シリーズ。
冒頭2000文字しか残りませんでした…。
レイバートが『天使』を連れ帰って二日。
いつも通りレイバートが薪を拾い集め家に戻ると、今朝家を出るまで大人しく横たわっていた天使の姿は無く、代わりに子ども達の騒ぎ立てる声が村の方から聞えて来た。
薪を玄関脇に投げ置き、泥だらけになった蹄をぐりぐりと地面に擦りつけ、レイバートは家を後にする。
小高い丘の上の家を一歩出れば小さな村どころかその先も山をも一望出来る。わざわざ尋ね人を探し回る事もない。
まず最初に目に入って来たのは村へ下る坂道に点々と咲く花。
先程坂道とは反対側の、山道から戻って来たレイバートは気付かなかったが、ぬかるんだ道に小さな人間の足跡が点々と残り、その足跡を隠すように花や草が生えている。
小さな足跡を追うように坂を下り始めると、途中で所々寄り道をしたらしく、脇に咲いている花に寄って行った跡や、盛大に滑って転んだ跡がしっかりと残っていて、レイバートは不覚にも一人吹き出しそうになった。
そして転んだであろう跡のすぐ側に、小さな蹄の跡がいくつも集まっている。
そのまま集まって来た小さな蹄達に引き摺られて行ったのか、ずるずると線状の跡と小さな蹄の跡が坂を下り、村の中央の学校まで続いているのが遠目で確認出来た。
ぬかるむ坂を駆け下り尻尾や足に跳ねた泥をふるい落とす。
一度水浴びに行っても良いが、いつも以上に村中に響き渡る子ども達の声を聞く限り、早めに回収してやった方が良いとレイバートは判断し、適当な草をむしり泥をこそぎ落しながら歩を進める。
途中、家の脇で井戸端会議をしていたであろう大人達がちらちらと学校の方を伺っていた。
大人達でこの様だ。
どうにも、拾った天使はこれと言って代わり映えのしない生活を送る村人達の興味を引くには十分過ぎたらしい。
レイバートが学校、と言っても村の中央付近にある他の建物よりも少しだけ大きな建物を覗き込むと、案の定お目当ての人物は床に組み敷かれ子ども達にもみくちゃにされていた。
「こら乗っかるな。ケンタウロスと違って人間は脆いって教わっただろ? お前達とは違うんだ、はい退いた退いた」
レイバートが子ども達を掻き分けお目当ての人物をひょいっと持ち上げると、子ども達から一斉に不満の声が上がる。
レイバードは、自身の尻尾や後ろ足に飛びつく子ども達を持っていた草で泥を掃うかの様にぺしぺしと叩き、子供たちに水浴びをし、泥だらけになった部屋の掃除を言いつける。
するとはっと顔を見合わせた子ども達は、学校の入り口で眉間に青筋を浮かべ満面の笑みで泥だらけになった床を見つめる先生の存在に気付き、一目散に学校脇の川に向かい走って行った。
「全く。大丈夫か? レミリア」
走り去って行く子ども達を見送りため息をつき、レイバートは肩に担いだままだった天使――レミリアに声をかける。
「うん、ありがとレイバートさん。でも……汚れちゃうよ?」
「……もう遅い」
坂で滑って転んだ挙句子ども達に引き摺りまわされたレミリアの体は泥だらけ。
足首まである真っ白な祭服はべったりと体に貼り付き、双肩に下げていたはずの帯と被っていたはずの司教冠は部屋の端で泥の塊と化していた。
そしてそんなレミリアを肩に担いでいるレイバートも、もれなく泥だらけになったのは言うまでもない。
困ったように眉を下げ笑うレミリアを担いだまま、レイバートは子ども達の後を追う様に学校脇の川に向かう。
体を洗っているのか水遊びをしているのか分からない子ども達を尻目に、川辺を滑り降りたレイバートはそのままレミリアを川の中に下ろす。
「待って待って溺れるっ!」
下ろされた瞬間どぼっと顎まで川に沈んだレミリアは、慌ててレイバートの背中に掴る。
人間のレミリアの身長はケンタウロスのレイバートの腹にも届かない程。
ケンタウロスの中でも大柄なレイバードと同じ深さの水域に下ろされたらひとたまりも無い。
「レイバートさんの背中つるつるで滑るっ! 泥が目に入った痛いー!」
「ちょっと落ち着けお前神官だろ!? 手が届かないからもうちょっとこっち来いって!」
レミリアを支えたくても自分の背中に手が届かないレイバートと、目が見えないので必死にレイバートにしがみ付いてる事しか出来ないレミリア。
結局思い出した様にレイバートが川から上がり事なきを得たが、余計に二人の服はどろどろになってしまった。
「レイバートさん、後ろ足の蹄洗おうか? 届かない、よね?」
気を取り直してたレイバートが再び川に入って行くと、川に沈めた子ども用の踏み台の上に座るレミリアが遠慮がちに声を掛けた。
本来は、太陽神殿から捨てられたが太陽神殿に咲く花以外食べれないレミリアが、月の神の世界のケンタウロス、レイバートに拾われ、太陽神殿からの追っ手と何やかんやあり、月の神殿で衰弱死
寸前に~で、最後は何やかんや恋愛に発展する話でした(あらすじ完)




