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オレと呪いと幼女と青春  作者: 碧空澄
第二幕 記憶
9/22

寒い。寒い。

 跳躍。

 少女は緑色の瞳をギラつかせ、目の前にいる獲物を狩りに行く。

 バキゴキボキン! 骨が折れる音がした。

 ドサリ、と。少女より数倍の図体を持つ男が、膝から崩れ落ちる。これで、少女は全ての人間の命を『奪った』ことになる。

 その日は、夏だというのにとても寒かった。

 血で全てが赤く彩られた部屋。僕は、震えていた。

 怖かったんじゃない。とても……寒かったんだ。

 寒い。寒い。腕で自分の身体を抱こうとして……そこで僕は、自分の腕が無いということに気がついた。

 ──どこだろう、僕の腕は。

 周りを見渡したけれど、僕みたいに四肢の裂かれた人間は他にも沢山いて、従って腕や足も沢山転がっている。僕の腕は、どれだ。

 部屋の中心には、一人の少女がいた。

 右手の指にはどす黒く輝く指輪。左手には、どす黒い血で染まったナイフ。

 僕に背を向けて立っている少女は、肩を上下させていた。どうやら息を切らしているらしい。

 少女は振り返る。どうやら左目を失っているらしく、そこから滝のように血が流れでていた。

 そして──血まみれの顔で、少女は笑う。

「疲れた」

 そう言って、少女は僕に近づく。

「これで、終わりよ」

 僕の目の前に来た。少女はしゃがむと、僕の頬に手を添える。

「感謝してよね」そう──少女は言い放つ。

 僕は、何も言えなかった。それだけの気力が無くて。

「これからアンタを──」

 眩く光る指輪。それを見ながら。

 僕は……

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