表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
初代勇者は休めない  作者: 宵咲 栞
一章 邂逅、再び
4/13

第03話 始まりの日

大変遅れました……申し訳ないです。

今回は説明回になります。

気を取り直しまして、最新話をどうぞお楽しみください!!

みんなが起き出した時も、俺達はこんな事をしていた。


お互い笑いあってからしばらくして……何か思い付いたのか、恭華姉が真面目な顔で俺に話しかけてきた。


大事な話だと思い、身構える。


「ねぇ祐、あっち向いてホイしない?」


転びそうになった上に、耳を疑った俺はおかしくないと思う。


いきなり何を言うんだこの姉は!?



何故そんなことを言ったのか考えたその時、一つの予測が頭をよぎった。


……まさか!?異世界に来たせいで、頭がおかしくなったのか!?




そんな現象があるのか分からないが、あるなら大問題な為、治療をしようとして気付く。



元々こんなだったよ、この姉は。



思い出すと同時に、ここで断るとねるのを知っているので、やることにする。



「まあ……いいけどさ」



返答を聞いた恭華姉は顔を輝かせ、嬉しそうに掛け声をかける。

なんていうか……子供だな。


「じゃあ行くわよ~?」


そんなことを考えていたら、勝手に始められていた。


……あれ?


「えっ?ちょっと!!」


最初からこのつもりだったのか!?


止めようにも手遅れな状況に、慌てながらも指の方向を見極めようとしたその時。




「ん……ここは……?」


何かの音、というよりは人の声。


そんな声が聞こえた気がしたので、俺達以外の人である……クラスメイト達を見るが、動いている様子はない。


風とかは吹くわけがないし……となると気のせいか?


いや、しかしな……



俺達はクラスメイト達を起こさないように端っこで会話していた為か、上手く聞こえなかった。

もし誰かが起きていたのなら……そう思い、集中して声を聞こうとする。



「あっち向いて……どうしたの祐?」



恭華姉はそんな俺に気付き、掛け声を中断して聞いてくる。



「……何か聞こえた。多分だけど、誰か起きたみたいだな」

「ホントなの?」

「ああ、ホントだ。一旦静かにしてくれ」


遊んでる場合じゃないのを理解したみたいだ。


「分かったわ」


返事をした後、静かにしてくれた。


助かる、こうじゃないと使えないからな。


「……『感覚強化センスアップ』」


魔導を発動して聴覚を上げ、確実に声を聞こえるようにしておく。


「私、教室に……いたんじゃ」


聞こえた……やっぱり起きてるみたいだな。



声が聞こえたのを確認し、起きていることを伝える。


「聞こえた。ちょっと呼び掛けてみようと思う」


俺がそう言うと、恭華姉はこう言ってきた。


「……それは私に任せて」


それを聞き、少し悩む俺。


体の状態とか確認したいが……恭華姉なら安心出来るからここはお願いしよう。

それに確認なら何時でも出来ると気付き、任せることにした。


「分かった、みんなは状況が分からないから混乱させないように頼む……」


念のため、気をつけて欲しいことを伝えておく。


「大丈夫よ、任せておきなさい」


そう言ってクラスメイトに近づいていき、声をかける恭華姉。



「大丈夫?何処か痛む場所とかはない?」

「恭華……お姉ちゃん?」


ん?この声は……



ずっと聞いてきた声が聞こえてきたので、視力を強化して恭華姉のいる方を見る。


起きたのは……由紀乃か。


「……祐くんもいる」


俺にも気付いたようだし、行くとしよう。

そう思い、声をかけつつ近いていく。



「よう由紀乃。体は大丈夫か?」


由紀乃はこめかみの辺りを押さえながら答える。


「うん、ちょっと頭が痛いけど……他は大丈夫。そんなことより、祐くんに聞きたい事があるんだけど……」



「答えられる範囲ならいいぞ」



一体どんな事を聞いてくるんだか……


頭の中で予想をしていると由紀乃が口を開くのが見えたので、意識をそちらに向ける。


「なんで祐くんは泣いてたの?」


「それは……」


言える訳がない。


予想だにしなかった質問のせいで言葉に詰まる。


そう言えば……教室で言い終わる前にこっちに来たの、恭華姉とのゴタゴタですっかり忘れてた。


「祐くん大丈夫……?」


「……そうだ!!」


「わっ!?」


由紀乃の心配そうな声に気付かずに頭を抱えていると、突然名案が浮かぶ。



こうして?こうで、こうすれば……!!

イメージ通りならいける筈だ、たぶん。



由紀乃が驚いているみたいだが……気にせず作戦を実行する。


「由紀乃!!」


まずは由紀乃に話しかける。


「ど、どうしたの祐くん、大きな声出して」


「驚かせてすまん。さっきの質問の答えなんだが……」


「うん……」


俺の次の言葉を静かに待つ由紀乃に告げる。



「それは事情を知ってる恭華姉に聞いてくれ。俺はみんなが起き出したから様子を見に行くよ」


同時に、後を頼むという意味合いを込め、恭華姉に目配せをしておく。



「分かった!……って、え?ちょっと!!答えになってないよ、祐くん!!」


返事をした後、俺の返答が答えになっていない事に気付き、怒る由紀乃。


怒るのも無理はないが……説明出来ないからしょうがない。




恭華姉は……少しの間呆け正気に戻り、俺を凄い睨んでくる。


「祐!?」


聞いてないわよ、って顔しているが……まあいっか。


真面目に答えたとしても……召喚陣を見た時の懐かしさで泣いた、としか言えないのでどうしようもないし。



だが……みんなが起き出したのは事実なので、急いで向かう。


「頭痛い……」

「ところで……ここ何処?」


ここは異世界だな。


「分からない……けど綺麗だよね!」

「ホントホント!テレビで見た宮殿とかこんな感じだった!」

「外国なのかな?でも……私達って教室にいなかった?」


意外と落ち着いていた。ていうか雑談してるし……スゴいな。


恐怖や不安はないのか逆に心配になるが……表情や声にそういう感情は出ていた、当然か。


そんな感情を少しでも和らげるように、俺は動く。



この中で唯一の経験者だしな。



「みんな、起きてるか?起きてたら手を挙げてくれ。後……頭が痛いのはすぐに治るから我慢して欲しい」


周りを見渡し、全員の手が挙がっている事を確認してから、続ける。


「ありがとう、降ろしてくれ。俺と恭華姉……鶴見先生はみんなより早く起きれたから色々と調べてみたが……ここが何処なのか全く分からない」


ごめんなさい、何処か知ってます。


「まさか……誘拐とか?」

「教室に居た俺達をどうやって?」

「分からんな」



みんなでうなっていると、一人が声を発した。


「あっ」


『どうしたの?』


みんなの視線が、まとめた髪を横に流し、親しみやすい笑顔が特徴の――浅川あさかわ恵美えみに集まる。


浅川は確認をするように言葉を発していく。


「私の間違いかもしれないんだけど……教室の床、変じゃなかった?」


覚えてたのか、珍しいな。

大抵は記憶が無くて気付いたら、って感じらしい。

何処で聞いたんだこれ……


浅川の言葉にさっきの出来事を思い出すみんな。


『そう言えば……眩しかった』


皆覚えてるじゃないか。


「なんか模様もなかった?」


『あった!!』


「分かった!!」


全員が召喚陣を思い出した時、叫ぶように声を上げる奴が一人。


そいつは田霧たぎり康一郎こういちろう



知的な顔に似合わず子供みたいなところがある、所謂いわゆるオタクな奴だ。


康一郎は、はしゃぎながら喋る。

テンションが上がってるのは分かるが落ち着けよ?


「光、模様、見知らぬ場所……分かったよ、みんな!!」



『ホント!?』


本当です。


「僕の予想が正しいならここは異世界だ!!本とかでこういう展開があったんだ!!」


お前、異世界物そんな読んでたっけ?


『そんな事、ありえ――』



『その少年の言うことは正しいぞ』


否定をしようした瞬間、威厳を感じる声に遮られる。


「遅くなってすまない、色々と準備があったものでな」


ん、この声……まさか?


聞き覚えのある声に汗が止まらない俺。

そして声の主を見て騒ぎだすみんな。


「何あの人……凄いイケメン!!」

「眩しくて直視出来ねぇ!?」


「オーラが見える……」


クラスメイトの反応で誰なのか確信してしまう俺。

最後のは別のが見えてないか!?



やっぱりか……見たくねぇな……


しかし、俺だけ向かないのも変なので、諦めて声のした方へ向く。


そこには……薄い緑を基調に黄色が混じる短髪と青色の目、少し尖った耳、穏やかさを感じさせ柔らかな笑みを浮かべる青年が、そこに居た。


青年はゆっくりと口を開く。


「ワシはエレトア国、20代目国王、ヴォルゼス・デルク・エレトアだ。唐突で申し訳ないが……この世界、フォストーラを救う為に皆様をここに召喚させてもらった。」



ヴォルゼスは名前の通りセレフィールの父親で、俺の戦友でもある。

見た目とは逆にじいさんみたいな口調をしておる。だがそれは、外用の口調らしいのだ。


ヤベっ、移っちまった。

しかしそこがいい!と言う人達もいるが……俺には分からん。



『……えっ?』


だよなぁ……


そんなヴォルゼスの冗談としか思えない発言に時が止まる。

俺は諦め、みんなは驚きで、唖然とする事しか出来なかった。



「質問なのですが、私達が今すぐ帰ることは出来ないのですか?」


一番知りたいであろう恭華姉の質問にゼストは。


「すまないがそれは無理だ……お主等を帰らせる為に必要な物が足りない」


「そう……ですか、分かりました」


苦しげな表情を隠さずに言葉を返す恭華姉。



帰るのが無理と聞かされて呆然としているみんな。



しょうがない、か。昔の俺はあんな感じだったしな……パニックにならないだけ凄いよ。



「……世界を救うって具体的にはどうしたら?」


みんなより早く復帰した恭華姉が、質問を投げかける。



「魔王を倒していただきたいのだ……災厄を止める為に」


……はっ?


『魔王?ってゲームとかで出てくる?それに災厄って?』


みんなは聞き返しているが俺はそれどころではなかった。



嘘だろ……!?魔王は俺が……何故だ?



ヴォルゼスの言葉に驚愕に包まれ、呆然とする俺。

当然、そんな状態の俺に気付く訳もなく……話は続けられる。




「今から説明させてもらう。魔王――つまり、魔の王がいる事によって世界中で様々な出来事が起こるのだ」

「その出来事とは?」



「魔物――闇に染まった生物や、魔物が進化したり、人が闇に染まる事で誕生する、魔族という者達が連携や統率をとるようになる。更には強さも上昇し、凶暴になる。そして……魔王の上には魔神と呼ばれる者がいるらしく、儀式をして魔神を降臨させるらしい。これが魔王がいることにより起こる主な出来事じゃ」



聞いた記憶のない言葉が聞こえてきたおかげか、立ち直ることが出来た。


"魔神"……普通に考えると魔王の上の存在だろうが……やっぱり知らな――いや、何処かで聞いたような……


気のせいだと思い、続きを聞く。



「分かりました。では私達を呼んだ理由は?その魔王とやらを私達が倒す必要があるのは何故ですか?」


さすがだ恭華姉、質問責めにしてやがる。


俺は建物とか、獣人に耳を触らせてもらったりしたから全く聞いてなくて、後でセレフィールに全部教えてもらってたんだよな。


そう言えば、なんでヴォルゼスしかいないんだ?他の人が居てもおかしくない筈なんだが……



「それは……この世界の者では完全に殺すことが出来ないからじゃよ」



「……どういうことなんですか?」



「これまでも、各国の精鋭や名うての傭兵を集結し作った同盟軍や英雄、果てには生きる伝説とまで呼ばれた者が魔王と戦い勝利したが……完全に殺すことだけは出来なかった。それは――」


続きを言おうとしたヴォルゼスを遮って、質問を挟む恭華姉。


「これまで、と言われましたが……その魔王というのは、頻繁に出現するものなのですか?」



それって確か――

思い出そうとした瞬間、ヴォルゼスが質問の答えを言い始める。



「そうじゃな。そもそも魔王というのは、二百年に一度現れる存在なんじゃよ。ワシらが倒さなくても、同胞に殺されたり、病気にかかったりで死ぬこともある。これでいいかの?」


そんなことも言ってたな……久しぶりだし、しっかり聞くか。


「大丈夫です、話の途中に申し訳ありませんでした」


謝罪をする恭華姉に笑いながら言葉を返す。


「ククッ、気にするでない。分からないから質問する……それは当然の事じゃ。ワシはその程度の事で腹など立てぬ。……話を続けるがよいか?」


「問題ないです」



「あいわかった。何処まで話したんじゃったか……魔王を完全に殺す事が出来なかった理由じゃよな?その理由はな――魂まで消滅させることが出来ないからなのじゃよ」



「魂……ですか……?」



疑いの表情をしながら聞き返す恭華姉。


「そう言えば、お主達の世界にはないんじゃったな、失礼。まず、この世界には魂というものがある。それがどういうものか説明させていただくと……魂とは全て」



「全て……ですか?」


「うむ。魂が消えた者は、世界から消え――世界に還る。そして、世界に還るその時に記憶や経験を忘れさり、何も無かった最初に戻って新たな生を受ける。つまり!戦いの経験や魔王としての記憶を消し、再び現れた時、少しでも不利を無くし魔神の復活をさせない為に、魂を消さなければいかん!!ということなんじゃ。少し分かりづらかったかの?」



要は、魂消さないとヤバイ!ってことだろ?

……そのまんまだよこれ。


「いえ……魂というものを消す必要がある事は分かりました。結局のところ、私達でないといけない理由はどうしてなのですか?」


そう、恭華姉が聞くとヴォルゼスは頬を掻きつつ、苦笑いを浮かべ答える。


ん?もしかして?


「あっ……忘れておった、すまんの」


予想は大当たりで、やっぱり忘れてやがった、あのアホ……


「その理由とはな……お主達が異世界の人間だからじゃ。召喚された者が使える特別な技能、それがあることによって魔王の魂に傷をつけ、消滅させる事が出来る。異世界の人間でなく、それがないワシ等には出来ない、故にお主達を召喚させてもらった。頼む!!どうかこの世界を……フォストーラに生きる者達を救ってくれ!!」


ヴォルゼスは床に膝をつき、頭を下げ頼み込む。


所謂、土下座の状態だ。

俺の時はもっと人数が多くて怖かったな……さて、みんなはどうするんだろうな?


「ボクはやるかな」


『えっ……』


「そりゃあ、いきなり喚ばれて世界を救ってくれ、なんて冗談にしても笑えないし正直に言うと帰りたいけど……帰る方法は分からない。でもさ……ボクは思ったんだ。普通に生きていたらこんな事は起きない、なら体験してみようって。この世界を何も分からない、分からないからこそ、ここで生きてみたい‼そう思ったんだ……みんなもそうじゃない?」


まさか燕がそう言うとはなぁ……ちょっと意外だ。


「俺も帰りたい……!!けど、この世界を見てみたい」

「本当に異世界に来たんだ……僕の夢が叶う……!!」


康一郎はとりあえず落ち着け。


「確かに、帰る方法分からないんだし、アリかな?」


燕の言葉にみんなも頷いたりしている。


俺が思う以上にクラスメイト達は強かった、普通なら泣き出したり帰りたいと騒ぎだしてもおかしくないのに……抑えているんだろうな、おそらくは。


今自分が騒ぐ訳にはいかない、と。



尊敬するよ、こんな状況で周囲の事を考えられるなんてな……なら俺が出来ること、それは。



みんなを安全に帰す、その為に一肌脱ぎますか!!俺は残るつもりだけど。



もちろんバレない範囲でね?



「燕がやるって言ってんだ、俺もやるぜ?」


そう言って燕の肩に手を置きながら言った時、俺の肩にも手が置かれ、声が聞こえる。


「祐眞と燕がやるんだ、俺だってやるに決まってるだろ?」




慎也も同じ気持ちのようで頼もしいよ、ホント。


「祐眞、慎也……ありがとう」


「気にすんな燕。まあ……お前がやるって言ったのは意外だったけど」

「確かにな。だが、祐眞も俺も燕を手伝うぞ?なんせ切っても切れない縁だからな」


「慎也……祐眞も改めてありがとう」



二度目の燕の礼が気恥ずかしくなってきた……しかし、礼なんぞいらない。


何故なら――


「こんなん今更だしな、なあ慎也?」

「ああ、祐眞の言う通りだな」



「二人とも……なら、これ以上は言わないよ。みんなはどうなの?この先どんな危険が待ってるか分からないし、もしかしたら死ぬかもしれない……それでもいいのかい?」


燕が声を張り上げみんなに尋ねたが、帰って来た答えは一つだった。




『帰れないなら好都合!!勉強、疲れたし遊びたい!!』




「軽過ぎるわお前等の理由!!ていうか遊びじゃねぇぞ!?」


全力でツッコミをしたよホント……俺の想像の斜め上どころか、明後日の方向に行きやがった……凄いよお前らは。



とはいえ、やるかやらないかは決まった。後はこれを伝えるだけ。


行動に移そうとした瞬間、阿修羅が見えた……気のせいか?


「あんた達……教師の前で面白い事言うわね~?私にもう一度聞かせてくれるかしら?」



どうやら気のせいじゃなかった。恭華姉……技能でも使ってんのかな?

なんか恭華姉の周りだけ景色が歪んでるんだけど……


恭華姉の言葉に、みんなは声を揃えてこう言った。



『勉強疲れました!!ここ楽しそうだし、遊びたいです!!』



お前等……もう充分、勇者だよ。

ちょっと感動した。


「言い度胸ね~?とりあえずそこに正座しなさい」


『でもここ床じゃ……』



「いいから」


『はい……』



本人は優しく言っているつもりなんだろうが……めちゃくちゃ怖い。

笑顔って怖いわ、あまりの迫力にみんな正座しちゃったし……




さて、頭を下げ続けてるヴォルゼスが可哀想だし起こしてやりますか!




聞きたいこともあるし。





ヴォルゼスに近付き、そっと耳打ちをする。


「このままで聞いてくれ……ゼスト」

「……ッ!?その声にその呼び方……まさか!?お前……ユウマなのか?」


驚き過ぎて言葉が途切れ途切れになってやがる。大丈夫か?


「驚き過ぎだゼスト……その通り俺だ。久しぶりだな、元気にしてたか?」

「ああ、元気だったさ勿論……しかしなんでお前がここに……?お前も喚ばれたのか!?」


分かってて呼んだんじゃないのか!?


「正解だ。この後はアレをやって今日は終わりだろ?」

「そうだな、アレの後は休息をとってもらうだけだ」



アレか……懐かしいが今はそれどころじゃない。



「その後で時間は作れるよな?」


どうしても聞きたいんだ。


「ああ、問題ないが……どうしてだ?」

「色々と聞きたいことがあるんだよ。ゼストお前……全部・・・言ってないだろ」

「……気づいていたか」



やっぱりか……仕方ない部分もあるにはあるが。


「俺だけでも知っておく必要がある。この世界で誰よりも一番危険な目に遭っている俺ならな。そしてクラスメイトを危険には遭わせたくない、全部話してくれよ?」


「ああ、分かった……本当にすまない」


「気にすんなよ、お前の気持ちも分かる。とりあえずみんなを呼んでくるけど、俺がここに来ていた事とかは内緒だからな?」


そう言うと、心外だとでも言わんばかりの表情で言い返された。


「当たり前だ、誰が言うか阿呆」

「阿呆ってなんだオイ!!」


ゼストと軽口を叩き合う、久しぶりだな。


「じゃあ、また後でな」

「ああ、後でな」


そう言って恭華姉達の元へ向かう。



「鶴見先生!!説教よりあっち!!あの人ほっといていいの?ずっとあの状態だけど……」


「しまったー!?ひとまず、お説教は後にしてあの人の所に行くわよ!」


『まだ説教するの!?』


「もちろんじゃない、まだ足りないわ!」


『えー!?』


少し、気持ちが楽になったみたいでみんなの表情が柔らかい。



大変だろうけど、残りのお説教も頑張れ!みんな!



心の中でエールを送り、改めてゼストの元へ向かう。

お読みいただきありがとうございました‼

設定は分かりやすかったでしょうか?

その辺りも含め、ご意見ご感想お待ちしてます!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ