始まりの物語
ご覧になっていただきありがとうございます。拙い文章ではありますが、誠心誠意…とりあえず頑張っていきますのでお願いいたします。
頬を触る風
廊下に跳ねる人の声
解放された昼休み
その廊下を僕は駆ける
君のために…
僕のために…
視界に入る君に、胸の鼓動が速くなる
鳥肌が立った
近づく吐息
自分を奮い立たせる
もう振り向かない
そう…
ー生きるためにー
「死ね~~~!!」
…君からひた逃げるー
☆☆☆
「よく生きてたな…」
「まぁ昔から体は丈夫だからね」
「あそこまで無心に拳を振り下ろす人間が実在することに驚愕するわ。フィクションの世界だろう」
友人の言葉に首をかしげる。
「『わからない』って感じを出すな。惨状とお前の姿見て、先生顔引きつってたぞ?」
すぐに『またですか?』と呆れたようにセリフを吐いて帰っていったけどね。
「でも今回手加減してくれてたよ?今動けてるし」
「血溜まり作って満足げに去っていく奴に抱く感情がそれか?」
そう言った彼はいつもの呆れ顔だ。
「で、今回は?」
「……話し掛けようと近づいたら躓いてスカートの中に…」
「ホント懲りないな。好きなの?」
友人の質問に改めて考えを巡らせる。あの子が好き…いやこれは好意と言うよりは、
「本能かな?」
「・・・」
「…?本能がざわめくんだよ」
「いや聞こえてるよ。変態にかける言葉がなかっただけだ」
「それは冗談として何か気になるって感じかな」
「なんかどうでもよくなってきたな」
少し興味をなくしたように返される。が、ふと何か思いだしたようにこちらに目線を向け
「っていうか、この1か月あんだけやられてるのにまだちゃんと話したこと無いんじゃないか?」
「……がはっ!!!」
事実という名の刃にハートがたえきれなかった。そう、僕は未だにちゃんとした会話をしたことが無い。いくら思い返してみても、暴言と拳を叩きつける彼女しか記憶にないのである。最近は人間扱いされてない気が…
「サンドバックだよなw」
「笑えないよ!!少しくらい慰めてくれても良いんじゃないかな!?」
目元が熱くなる。まだ耐えてみせる!
「そうか姫川くんはやっぱりサンドバッグなんだね」
「やっぱりって!なんで人権を奪おうと……どちら様ですか?」
ツッコミをいれた相手が見知った顔じゃない事に気づく。眼鏡のよく似合う男子がよく似合う笑顔で僕の隣に気配を感じさせず立っていた。若干驚きながらもすぐに思考を巡らせる。どこかで見た事あるような…ネクタイの色から先輩か…なんで僕の名前を知ってるんだろう。
「それは君が有名だからだよ」
「!」
明らか不自然な回答に、警戒心が煽られる。一体何者なんだ。
「申し遅れました。ボクの名前は天王寺 聖。生徒会長なんて分不相応な役職に就いてしまっているから入学式の挨拶で見た事あるんじゃないかな?」
丁寧に疑問に答えてくれる。それなら見た事あって当然か。しかし自分が有名人というのはどいうことだろうか。
「なるほど。理解しました。宜しくお願いします。僕は姫川 翔と…っと知っているんでしたね。ちなみになぜ私の名前を?」
「そりゃ校内で何回も傷害事件おきてれば有名にもなるだろうよ」
「そういうことだね」
正直納得している自分に何とも言えな気分になる。
「で?その生徒会長がこいつに何のご用です?」
「おうそうだった、さすが吉野勇人君だね」
「俺の事まで知ってるのかよ…」
「姫川君」
「何でしょうか?」
「今日の放課後って暇かい?ちょっと君に頼みたいことがあるんだけど」
「あ~…申し訳ありません…ちょっと放課後は空いていませんね。本当に申し訳ありません」
「いや、こちらも急だったからね。用事があるのも仕方ないさ。いつなら空いてそうかな?全然合わせるけども」
「本当に申し上げにくいのですが、基本的に放課後と休みの日は予定が詰まっておりまして…。昼休みくらいなら空いてますけど…」
「そうなのかい?部活はやっていないようだけど、何か理由があるのかい?」
その疑問は最もだろう。どうしよう正直に答えるか?でもちょっと内容的に退学なんて事になったら…ここは無難な感じでー
「…家庭の事情ですね」
「…それは仕方ないね。変な事聞いて申し訳なかったね。」
「いえ」
嘘は言っていない。きちんと家庭の事情だから。
「じゃぁとりあえずわかったよ。もし暇な時間ができそうだったら教えてくれるかい?」
「はい、わざわざ足を運んでもらったのに申し訳ありません」
「いやいや、ボクが勝手にやったことだからね。気にしないで」
来た時と同じような笑顔を見せる会長。なんとも…推し量れない人だな。勇人も何だが微妙な顔をしている。会長を訝しんでるんだろうか。こいつもなかなか読めないやつだから何とも言えないけど。
「用事も終わったしボクは帰るよ。お昼休憩の邪魔してごめんね。またね、姫川君と吉田君」
そういって颯爽と立ち去る会長。…一瞬勇人の方を見た気がしたけど気のせいだろうか?まぁ本当に一瞬だったし気のせいかな?
「なんかお前の次に気持ち悪い先輩だったな」
「僕が気持ち悪い前提で話さないでよ。でも変わった先輩ではあったね」
そう呟きながら会長が去った方を見る。女子生徒たちが黄色い悲鳴を上げているのを見るに、やはりイケメン会長は人気あるんだなぁ…羨ましい…。なんて考えているとチャイムが鳴った。あっという間にお昼休みが終わってしまったようだ。まぁ最初の方は追いかけられたりしてたし仕方ないか。と、ここで大変なことを思い出す。
「お昼食べてないや…」
ご覧いただきましてありがとうございます。最初に書いたのが10年前らしいです。正直タイムスリップした気分です。色々な事が嵐のように襲い、耐え忍んでいたらいつの間にか…。浦島太郎な気分ですw
そんなこんなで書き直し始めましたので、貴重な時間頂けたら幸いです。