第24話 空白の時間に
――『何故こんな事になっているんだろう』――と、もう何度思ったか知れない疑問を奈美は浮かべた。
仰向けに寝転がるのは普通サイズではないだろう大きなベッドの上。
もっと可笑しいのはそんな奈美の顔の横に縫い付けられた自分の手首。
そしてそんな奈美に覆いかぶさって奈美の目を見つめる奏司の姿。
緊迫した空気を肌に感じる。
奈美は思い出す。
『何を間違えたのだろう?』かと。
叔母と挨拶を交わした後の奏司には、今ほどの緊張感はなかった。
その後両親にも挨拶しとくといって奏司とは別れた。
そしてその後合流した時には何故かピリピリした空気で、真っ直ぐにこの部屋まで連れて来られた。
多分彼の自室だった部屋だろう。
数回行った奏司の部屋と同じ淡い緑で統一されているから。
「あいつ――誰?」
数分ぶりに聞いた彼の声は今までにないほど不機嫌そうだったが、それを知っていながらも奈美は眉根を寄せる。
誰の事を言っているのか見当がつかないからだ。
「言えないような相手なんだ?」
沈黙をどう受け取ったのか、彼の声に異質なものが混じる。
この感情は苛立ちだろうか?
それとも悲しみだろうか?
奈美も昔に感じたことがあるはずなのに何故かその感情がなんだったのかは出てこない。
ただ一つ判別しがたい感情が彼を支配したであろう事は理解る。
「奏…――っ!」
名を呼びかけたその口を荒々しく塞がれる。
今までに何回かされてしまった優しいキスではない。
こちらの気持ちは無視したであろう乱暴なそれに恐怖が浮かぶ。
ビクリと一度大きく奈美が震えたことに奏司は気付いただろう。
けれどそれでも奏司が塞いだ口を開放することはなかった。
払いのけようと腕に力を入れるが、体重をかけて押さえられた腕が自由に動く訳もななく、奈美は早々に諦めざるを得なくなった。
そのままどれくらいの時が経っただろう。
5分にも10分にも感じたが実際はとても短いのだろうとこんな状況でも冷静でいられる頭の片隅で考える。
少しずつ少しずつ腕を押さえる力は弱まり、今では力を入れれば簡単に払いのけることが出来る。
けれど奈美はそれをしなかった――否、出来なかった。
気付いてしまったから。
(あーそうだったんだ)
頭に浮かんだ一つの結論に至るのと同時にあれほど感じていた恐怖が霞みのように消えていく。
奏司から痛いほど感じていた感情。
それは――焦り――だったんだと理解したから。
あれだけ切羽詰まっていたのも、奏司を焦らせる何かがあったのだろう。
それが何だったのか思い付くものはなかったけれど。
「………」
耳元で何か囁くと奏司はゆっくりと身体を離した。
囁いた声は諦めたような悲しみが込められて聞こえた。
――『ゴメン』――と。
その一言でしかない言葉はとても深々と奈美の心に突き刺さった。
別れの象徴のように聞こえたから――。
背を向けた奏司の姿がなんだかとても小さく見える。
それは――無意識の行動だった。
その悲しげな後ろ姿を抱きしめた事は――。
触れた瞬間に奏司の身体がビクリと震える。
それをあやすように頭を撫でる。
奏司の目に涙はなかったけれど…彼は泣いていたんだと思う。
その理由を奈美は知らなかったけれど…。
悲しいような、それでいてとても優しいような……そんな雰囲気がこの部屋を満たしていた――。
急展開っす!!
急展開っすよ!!(キャラ違っ
なんでこうなったんか――聞いてみょーじゃねぇですかっ(ぉ
奏ちゃーん!!!
奏司「―――…」
(奏司登場!しかしダンマリ)
作者「うっわーテンション低過ぎっ」
奏司「――…お前が高過ぎるだけだから(怒」
作者「あり?額に血管が…何怒っとるんょ☆いやぁーしかし今回は思いがけず急展開しましたねー」
奏司「―――――(怒」
作者「―――――………ヒッ」
(奏司の目が憎しみが篭られたように作者に向けられ――作者ようやっと事態の深刻さに気付く)
作者「ご、ごめん――」
奏司「――謝って済むなら犯罪は起こんねぇよ…」
「――――っ!?」
(作者の背中を冷や汗が流れる)
奏司「―――」
作者「―――」
(蛇に睨まれた蛙に成り下がる作者――)
「――…まぁ皆様次も読みに来て下さいまし〜」
(作者逃亡を計る――が照明の落ちた部屋からは不気味な音が鳴り続けていた――)
声も出せない作者に変わりまして……、『感想・メッセージ・評価頂けたら今以上に頑張ります』――だそうです。
ではまた後日。