第22話 ダンス
サブタイトルを第○話だけじゃなくしてみました。見難いですもんね。ってか、作者が覚えてられないだけですが(笑)ではご報告だけです。本編をどうぞ。
「私と一曲ご一緒頂けますか?」
手を差し出した張本人はにこやかに微笑んでいる。
けれど。
「奏司…嫌がらせ?」
このタイミングでダンスに誘うなんてそれ以外には考えないだろう。
無理矢理と響にダンスの相手をさせられた一曲がやっと終わったのだ。
5分程度の一曲を踊り切るのに何度響の足を踏んだだろう。
小さい頃からダンスだけはどんなに頑張っても上達しない。
リズム感がないわけではないと思うのだが…どうにも――。
「ぷ(笑)嫌がらせならわざわざしないって。どっちかっていうと名誉挽回だな」
そう言い奈美の手を取ると奈美をダンススペースへと導いていく。
奏司に道を譲るように自然に道が空いていく。
奈美でも気付くぐらい奏司に注がれる羨望の視線。
隣に立つ彼を見上げると思っていたよりも長い睫毛が目に入る。
(綺麗な顔してるよなぁ)
きめ細かい肌。
理知的な切れ長の瞳。
引き締まった顎のライン。
ベタ塗りしたような黒髪。
暫く奏司の横顔を観察していると、奈美が彼を見上げたことに気付いたのだろう。
一歩後ろを歩いていた奈美を振り返り、二人の視線が絡まると奏司が微笑む。
あの魅力的な笑みで。
「――恥かいても知らないからねっ…」
顔が赤くなっただろう自覚があった。
奈美は顔を見られたくなくて奏司の一歩前を歩いていく。
奏司の為に開けられたであろう中央のスペースに着くと同時に曲が流れ始める。
余り耳にしない曲だがそのテンポからワルツである事が知れる。
奏司は極自然に奈美の身体を引き寄せ、二人の距離が縮まる。
その時奈美はというとステップを思い出すのに必死でずっと足元を見ていて奏司の視線には気付かない。
曲に合わせてステップを始めるが余程心配なのか足元から目を離せないでいる。
そんな奈美と踊りながら意地悪そうにニタリと笑った顔は一瞬の事。
必要以上に奈美を抱き寄せその耳元に唇を寄せる。
その状態でもまだ顔を上げない奈美は余程ステップに集中しているんだろう。
そんな奈美に奏司の悪戯心はムクムクと大きくなる。
機会を伺うかのようにそのままでいた奏司は人と人の影に隠れた一瞬にそれを決行する。
「奈美」
と耳元で囁かれるのと同時に耳たぶを湿った何かが触れる。
その一瞬の感覚に奈美の身体が身震いをし、勢いよく顔を上げた。
奏司もすぐに体制を正し何気ない顔で奈美の視線と絡ませる。
見上げてくる奈美の顔はごまかせないぐらい真っ赤に染まっていて、その口はパクパクと陸に上げられた魚のように開閉を繰り返している。
あまりの出来事に何かをいいたくても言葉がまとまってくれないのだろう。
そんな奈美を満足気に見ながら、再び顔を寄せる。
ビクリと奈美の身体が強張ったように震える。
「俺に合わせときゃいい。足踏まれるぐらいなんともないからさ」
軽やかなステップは幼い頃から踊っていたその証なのだろう。
奏司の顔には自信が満ちていて、その優しい目が奈美を見つめている。
奏司のリードはとても上手いのだろう。
身体をそのまま奏司に任せるだけでダンスになってしまうのだから。
3拍子のリズムが軽やかに響き渡る。
お互いの顔を見つめる形で踊る何組ものカップルが小声で何か話している。
ここも例外ではなく。
「ど?楽しいだろ?」
しゃべっていても十分に踊れるのだろう。
何もしていないかのようにそう声をかけてくる。
そんな奏司を奈美は疎ましく見上げるが、その目はじっと奏司を見つめている。
「楽しいだろ?」
「…うん」
再度聞かれた問いに渋々答える。
悔しいことに確かに楽しいのだからしょうがない。
足を一度も踏むことなく…というのはさすがに無理だったが、それでもその回数が激減しているのは確かなのだから。
ハイヒールがやや高い音を3拍子のリズムで奏でていく。
それは幼い頃に聞かされた昔話を思い出し、どこか気恥ずかしい。
「どした?」
「ううん。なんでもない」
考えていることが顔に出ていたのかも知れない。
そう思うと余計に顔が赤くなるのだが…それは不可抗力というものだろう。
鳴り止まない音楽――。
普段なら絶対に楽しむことの出来ないその時間を、奈美は今までにないぐらい楽しんだのだった。
ダンス。
もちろんしたことありませんw
こんな所に招待されたこともあるわけがないwww
ってことで作者の妄想で埋まっています。
ちょっと奏司がエロかったですよね。
すいません。
なんかちょっと…あんな場面が書きたかったのです。
【余り耳にしない曲】ってどんな曲でしょうね??
誰か知っていたら教えてください(^_^.)
ではこの辺りで。
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