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第18話 奈美の家柄

段々作者が暴走しています。どうか温かな気持ちで見ていてやって下さいm(._.)m

「え?響?」

「早く乗って?」

「え?あ、うん」


急かされた事もあり、奈美は目の前に停車した車に乗る。

運転席には響。

助手席には奈美。

何故こんな状況になっているのかを整理してみよう。

今日は金曜日。

いつも通りに仕事の山を残業2時間で片付け帰路に着こうと会社を出た所だ。

一台の車が真横を並列して走っているかと思っていたら、窓から顔を覗かせたのは何故ここにいるかもわからない奏司の弟の響。

何故彼がここにいるのかわからないまま急かされて彼の車に乗っている。

車は爽快な速度で何処かへ向かっているようだ。

やたら楽しそうな響と、ボケーとした奈美を乗せて。


「――…何処行くの?」

「内緒」

「なんで会社知ってたの?」

「企業秘密♪」


そんな一方的な問答を幾度か繰り返したが、奈美は幾度目かの質問で響に答える気がないことを悟ると問答を諦める。


「他には?」

「はぁ〜答える気なんてない癖に〜」

「あはは、バレてた(笑)」


悪気なんてないかのように響は爽やかに笑う。

それでも憎めないのだから得な人柄だと思えるのだろう。

奏司といい響といい兄弟揃って奈美に警戒を抱かせない。

それでいいかはまた別の話だが。


「奈美さぁ、いつもスーツパンツルックなの?」

「ん?そうだけど」

「スカートの方は着ないんだ?」

「そだね、持ってないから」

「へぇ…って持ってねぇの!?」

「うん」

「なんで?似合うだろうに」

「気分かなぁ〜」

「勿体ないって。あ、今から服でも買いに行く?」

「その前にドコ行こうとしてるのさ」

「ん?兄貴のトコ」

「奏司の?」


先程までいくら問いかけても決して答えなかった響だが、次は自棄にあっさりと肯定する。

その理由を考えながらも奏司の所という一言に不安が和らぐ。


「話変わるけど奈美って実は御令嬢だろ?」

「………調べたの?」


和らいだ途端に不躾にも取れる質問に奈美は今までにないぐらい警戒を強める。

そんな奈美に響は落ち着けよ的な視線を投げた。


「ちょぃっとね。奈美に会ったときにどっかで会ったことがあるような気がして気になったんだよ」


響の脳裏に桃色のドレスを着た髪の長い女の子が浮かぶ。

幼くて詳しくは覚えてないけど何かのパーティーだろう。

背筋のピンと伸びたお爺さんの横に立つ愛らしい女の子。

親父に連れられて挨拶に行った記憶があった。


「奈美が颯会長の孫だったとはねぇ〜」

「奏司も…知ってるの?」


好奇の視線に曝されたあの時の記憶が背筋を冷やす。


「いや、知らないんじゃね?あの時は確か兄貴パーティー出てなかったし」

「……」

「気にすんなよ。俺も兄貴も御令嬢に惹かれたわけじゃねぇから」


目に映るきらびやかさとは別に、人の裏にある醜さを幾度も見ることになったのが幼少期だった。

大好きな祖父に人の見方を教わりながら、同時に人がとても怖くなった。

人の余りの醜悪さに心を閉じた奈美を祖父は責めなかった。

逆に優しい子だと褒めてすらくれた。

祖父の意思で私はその後あのきらびやかな世界には踏み入っていない。

長女であり一人娘である私はいつか必ずまたあの世界に戻らなければならないことも覚悟している。

その為に仕事の傍ら経営学から始まり、語学、法学などありとあらゆるものを吸収し勉強している。

その為今の会社に入ることは全く苦ではなかったほどに…。

翻訳から何から殆どの業務がこちらに回ってくる事が些か厄介ではあるけれど。

「俺も奏司も家柄に惚れた訳じゃない。奈美自身を欲しいと思ったんだから」


響の顔を見、奏司の顔を思い浮かべると、先程まで浮かんでいた不快感が綺麗に払拭される。


「ん、わかってる」

「よし、ちょうど着いたし。降りて」


外を見るとあれだけ爽快に走っていた車が綺麗に駐車されている。


「何処?」

「ま、いいからいいから」

「ちょっ!ちょっと」


尻込みする奈美を無視して響は厳かな建物の扉を潜る。


「いらっしゃぃませ」

「あぁ、祥子さん呼んでくれる?」

「はいただ今」


奈美は響のどうみても初めてとは思えないその対応に眉根を寄せる。


「あら?響さんが三芳ミヨシさん以外とご来店下さるなんて初めてですね」


奥からパリッとしたスーツを着こなした女性――多分彼女が祥子さんなのだろう――が歩み寄ってくる。


「連絡はしただろう?」

「ふふ、そうでしたね。ではこちらが?」

「あぁ」

「私この店のオーナーを勤めさせて頂いております折野祥子オリノショウコです。以後い見知り置きを」


妖艶と言えそうな艶めいた笑みが大人の色香を滲み出させる。

そんな彼女が奈美の回りをゆっくりと回り始める。

たまに腰回りに手を寄せたり、遠くから眺めたりしながら。

まるで店頭に置かれた花にでもなったかのようだ。

奈美の周りをぐるりと一周終えるととても真剣な顔で奈美の目を見据える。


「奈美様……タキシード着せてもいいかしら?」

「ぇ?」

「祥子さん…今日はちょっと……」

「響さん、いけません?とても似合うと思いますのに…」

「祥子さんあの…急いで貰っていいですか?」

「まぁしょうがないわねぇ。では奈美様奥のお部屋へ」


促したまま歩きだす彼女と響を見比べているといつのまにか彼女が奈美の手を取る。

店の奥へ奥へと。

響の姿が見えなくなり仕方なく行く先を見定める。

連れていかれた部屋には色とりどりのドレス。


「奈美さん好きな色はあって?」

「…水色――」

「水色…ふふ、確かに似合いそう」


彼女は居並ぶドレスを一つずつ掴むとデザインを確認していく。


「颯…奈美さんですよね?」

「はい」

「ふふ、あの小さかった貴方がこんな素敵な女性になるのだから、私が歳を取ったわけだわ」



ドレスを選ぶのを止めもせずに彼女はそんなことを言う。


「覚えていて?真也シンヤ様と小さい頃はよくいらしていたのだけど」


真也とは祖父の名前だ。

確かに小さい時は事あるごとにドレスを選びに出掛けていた気がする。


「あ、コレがいいわ」


彼女の手にあったのは身体の線がハッキリ出てしまうであろう、肩の出るデザインの一着だ。

フリルは多くはなくシンプルと言えるものではあったけれど。

抗議の声を上げようとした奈美だったが、上機嫌で振り返った彼女の目を見て抵抗する気をなくす。

諦めにも似た心地で、奈美はされるがままに時を過ごすのだった。


奈美…なんでそうなったのでしょう?

作者も不明です( ̄д ̄;)

手のかかる子供達です...( = =)

そろそろ一回収集付けようかと模索中です。

感想メッセージ栄養になりますm(._.)m

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