第15話 響(キョウ)
遅くなってしまいましたΣ(>д<;)週に一度ぐらい更新できるように頑張ろうと思いますので…責っ付いて下さいネo(*^▽^*)o~♪
「足はえ〜…」
乱れた息そのままに、自分を抱き留めている人物を見上げる。
奏司とは違う茶色い髪。
茶色い瞳。
身長は奏司と同じぐらいだろうか?
息遣いの荒さから触れている胸板が激しく上下し、額にはうっすらと汗が滲んでいる。
「よくそんなんであれだけ走れるな?まともに走ったら俺負けるんじゃね?」
指差す先を見ると自分が今掃いている靴をさしていた。
5センチほどのピンヒール。
「いくら呼び止めても聞かないんだもんな。危ないぜ?この先崖だから」
「崖?」
「そ。海に真っ逆さま。下は切り立った岩石多数。そっから見る景色はめちゃめちゃいいんだけどな」
歳は同じぐらいだと思うのだが、笑うと何処か幼く見える。
そんな人懐っこい笑み。
奈美があたりを見回すと随分と走って来たらしく、少し先では雑木林が開け、海が見える。
その景色にも惹かれる。
「ありがとう、私は奈美。あなたは?」
「ナミ?俺は響」
「キョウ?」
「そ、響くって書くんだ。兄貴は奏でるって入るんだぜ?」
「奏でる?」
同じく音の関わる名前だからだろうか。
奏司の名前が浮かぶのは。
「奏司っていうんだ」
「奏司の……弟?」
「あれ?兄貴の知り合い?」
「そうみたい(笑)」
「あ〜考えてみりゃ当たり前か、ここ私有地だしなぁ」
私有地という言葉に呆然とする。
先程の建物やその調度品を見ながら豪華だなぁ〜とは思っていたが…。
あとで奏司に聞いてみよ。
「え〜とナミは兄貴の彼女?」
「ううん、ただの友達だよ」
「そっか、よかったぁ。兄貴とタメ?」
「一個下」
「んじゃ俺とタメじゃん」
とても嬉しそうに笑うから、先程感じた違和感をすぐに忘れてしまう。
大切な違和感であったのに。
「奈美?」
「ぁ、奏兄、おひさー」
「響?」
「奏司」
雑木林の間から顔を覗かせたのは先程まで機嫌が悪そうにしていた張本人であり、今噂していた奏司だった。
奏司は私達二人を交互に見比べ、その眉間に皺を寄せて響を睨む。
「何した?」
「へ?」
「奈美に何したんだっ!」
今にも掴みかからんばかりの奏司に二人とも皆目見当がつかない。
そんな響の様子に更に腹をたてたらしい奏司は響の襟首を掴み上げる。
「ちょっ…、奏司待っ…」
「なんで奈美が泣いてるんだ!」
「泣いて…?」
多分今まで気付かなかったであろう響は改めて奈美を見つめ、その目が若干赤い事に気付く。
「え、あ…もしかして倒した時!?どっかぶつけた!?」
と傍目にみてもわかるほど激しく動揺する。
そんな響を今だ離す事なく襟元を掴み上げる奏司。
泣いた気はしなかったがどうやら目が赤いのは間違いないらしい。
「待って二人とも。別に響のせいで泣いた訳じゃないよ」
「え?」
「へ?」
「ほら〜奏司その手離して」
「――響。わりぃ…つぃ」
「別にいいよ、奏兄。あの状況ならそう思われてもしょうがないし」
すぐにお互いに言葉が出るところをみると二人とも大人だなぁと思う。
もともといい関係を築いているんだろう。
お互いの気が済んだのであろう二人はそのまま奈美に向き直る。
言葉を投げ掛けて来たのは奏司。
「んでもならなんで泣いてたんだ?」
「ん〜言わなきゃダメ?」
首を傾げるようにして奏司を見上げると一瞬だけ奏司は眉間を厳しくした。
けれど私が言いたくないと言った事でだいたいなんの話しだか見当はついたのだろう。
それ以上何かを聞く気はないらしく、しょうがないなとでも言いたそうな顔を刹那の間だけ奈美に向けると、それを隠して響の頭にポンっと手を置く。
「聞きたいけど言いたくないならいいよ、なぁ響」
「あぁ、なんかあったら言ってくれよな」
「なんで奈美がお前にいうんだよ?」
「俺のがタメだしいいやすそうじゃん?」
「バカいうな」
「ぷっ。二人に言うよ♪」
「え〜!奈美〜俺だけじゃないのかよ〜」
非難の視線を奈美に送る響だが、笑うだけで交わされてしまう。
奈美と奏司の間で幾度かアイコンタクトが行われていたが、響は気付かない。
「ほら、帰るぞ」
「こらっ兄貴襟持つなって!!」襟首を奏司に引きずられるようにして歩く響はなかなかぶざまで、ついつい奈美は笑ってしまう。
木々の間から覗く空は、赤とオレンジ、紫と青の見事なグラデーションを奏でていた。
出る予定のなかった響君が何処からか出演してきました。
……いつの間にっ!!
あんまり全体構成を考えながら書いてないので、矛盾点がいっぱいあるかもしれません。
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