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きみをさがして  作者: 佐倉 美南
5.籠の中の鳥
33/47

 不確かな何かをずっと想い続けることは苦しい。


 少なくとも、目の前には確かな存在がある。俺のことを心底好きで体当たりでぶつかってきてキスして。

 マリノは悪い子じゃない。このまま流されてその後はその時考えても……。

 彼女の真剣さに比べて自分は安易に考えていると思ったけれども。


「好きなの。本気で好きなの。だから」

 本気さをあらわすような低い声。


 多分、マリノの真剣さに比べて、自分は安易に考えお手軽な方へ進もうとしたから、運命からしっぺ返しされたのかもしれない。

 続いて出てきたセリフで自分の真実、現実を突きつけられた。




「美佳なんて人に絶対負けない」




 愛しい人の名前。

 真剣な声で言われて余計に心に突き刺さった。



 凍えるような満月の夜に逢った儚い人。

 喪失感に苦しんで、俺に手を伸ばしてきた細い指先。

 時折見せてくれた、冬の陽だまりのような笑顔。

 寒い冬の朝に突然消えた美佳を。




 俺は。




 今でもさがしてる……。




 視界がグルリと大きく回って世界が暗転した。

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