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きみをさがして  作者: 佐倉 美南
2.カズキとアサト
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 福岡2days、長崎、熊本、宮崎のライブを終えて久しぶりに東京に戻ってきた。

 久しぶりの自宅だった。鍵を取り出しそのままドアに手をかけたら抵抗なく開き、苦笑しながら中に入ると、リビングからジャズが聞こえてきた。

「カズキ、おかえり」

「ただいま」

 満面の笑顔を浮かべてアサトが迎えてくれた。

 

 昔から仲のよかったオレ達だが、ここ1年は特に親密になり、アサトは頻繁に俺の家を訪れて、俺が留守の時は先に上がって寛いでいることもあった。

 もちろん、事前に連絡して俺の了承を得てからだが。

「1週間会わなかっただけなのに、随分会ってない気がするね」

「そうだな。その間、俺、九州だったからな」

「福岡で1日だけライブの日程重なってたから、夜一緒に飲もうと思って電話したのに気がつかなったでしょ?」

 俺の福岡初日のライブとアサトがいる『KIRIO』のライブが1日だけ同じ県で重なった。

 暇があったら、福岡で1杯やるか、とは話していたものの。

「悪い。初日だったし、いろいろ忙しかったんだ」

 一晩中さまよっていたとは言えない。

 アサトは、もう、と呟きながら少しふくれっつらをして軽く睨んでくる。

 そんな子供みたいな彼を見ておどけたように笑って見せた。

 

 アサトとはもう8年ぐらい友人関係が続いている。

 俺がデビューした時からの友達だった。

 多分、親友といっても言い過ぎではない間柄だろう。

 

 アサトもミュージシャンで、超人気ビジュアル系バンド、『KIRIO』のヴォーカルを担当している。

 ビジュアル系のバンドにいるだけあって、顔立ちは誰もが見惚れるほど綺麗で、背が高くスタイル抜群の上に歌唱力もあり、その容姿と雰囲気で世間では隙のない多少クールで尖ったイメージが強い。

 彼自身も世間のイメージを自覚してそういう風に意識的に振舞っているが、本当の彼は感情豊かで少しだけ我儘だ。

 でも、その我儘さも甘えたがりの裏返しからくるものらしい。現に俺を本当に困らせるようなことを言ったりしない。

 そして、そんな我儘を見せるのは彼が心から信頼している人だけだという事実を知っているのは数少ない。

 

 何か飲もうと冷蔵庫を開けてペットボトルのお茶を取り出しコップに注いだ。

 その間、アサトが流していた音楽を止めたらしく、部屋が静かになる。

 自分とアサトの分のコップを持ってリビングに入った途端、デッキからピアノの不協和音が響いてきた。

 

 その瞬間、誰の曲かわかった。

 一音一音叩きつけるようなイントロ。それは俺の曲『LOST』。

 

 美佳が突然消えた時期に作った曲だった。

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