表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/54

新月の夜 9

「どっちの方向から、この町へ向かっているの?」

「えっと、北の街道沿いだから、王都からかしら?」

「王都?」

 なんか、最近、王都がどうとか、よく聞くような・・・・・・

 軍隊みたいに統制が取れている冒険者の大集団?

 そういえば、ジョゼフィーヌが一週間前に、魔女退治のエキスパートの派遣を父親に頼みたいって言っていたけど。でも、だからって、こんな大集団なわけがないだろうし・・・・・・

 そもそも、王都のある北からより、ニハデのある西の方から来るほうが自然だ。

「その集団、この町が目的地みたいなの?」

「う~ん? どうなんだろう? わからないわ。だれも私語とかしてなかったから」

「沈黙の冒険者たちか・・・・・・」

 ますますヘンだ。冒険者といえば、にぎやかで陽気なのがトレードマークみたいなものなのに。

 コレがどこぞの軍隊とでもいうのであれば、不思議ではないのだが。

 軍隊なら統制がとれた一糸乱れぬ動きをするし、100人以上いたとしてもおかしくはない。それに行軍中に私語なんて、普通はしない。

「・・・・・・!?」

「・・・・・・!?」

「って、もしかして、本当に冒険者に化けているどこぞの軍隊なんじゃ?」

「か、かも!?」

「な、なんで、こんな時期に軍隊が!?」

「さ、さあ? 知らないわよ! 大体、アイツらが本当に軍隊かどうかも分からないのだから」

「そ、それはそうだけど・・・・・・」

 この国には、軍隊がいくつかある。

 もちろん、国直属の正規軍がもっとも人数が多く、精鋭ぞろいで、国内最強だといわれている。

 その他に、王家直属の近衛隊、有力貴族や商人たちが所有する私兵などがある。

 最近、特にこれといって反乱が起こったなんて噂を聞いたこともないし、軍事訓練が近くで催されるなんて話もない。

 正規の国軍が動いているのなら、ある程度事前に沿道の町々へ連絡があって、宿舎や食料の拠出などの協力を求められるのが常だけど、そんな要請は最近この町で聞いたことはない。

 ということは、正規軍ではなく、どこかの私兵か?

 でも、有力貴族たちの私兵は反乱を起こさせないために、法律で、それぞれの領地以外への出動が禁止されている。もし無断で領地外で活動していることがバレると、即座に、いかなる理由があろうと反乱とみなされ、国軍を中心に、各有力貴族の私兵団も含めた討伐軍が編成されることになる。

 ん? 待てよ!

 もしかすると、この冒険者集団は、本当に、どこぞの有力貴族の私兵たちか?

 身元がバレないように、冒険者を装っているとか?

 それなら、つじつまが合いそうではある。

 ずい分、リスクの大きい行動だけど、十分にありえるだろう。

 なにはともあれ、この冒険者たちの目的地はどこか、そこで何をしようとしているのか、早急に探り出さないことには、オイラとしては、どうしようもない。

 ここは、シルフさんに、もう一度探ってきてもらわなくちゃ!

「そ、そうね。わかったわ」

 オイラの思考を読んでいて、シルフさん、そういうと、再び、どこかへ飛んでいった。

 一体なんなんだろう? この突然現れた冒険者たちって?

 う~む・・・・・・



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ