欠けているもの
あの人は、何が欠けていると言いたかったのだろうか?
この闇の中で一体何を見つけろと言うのだ。
私がここ来た理由は、
私に欠けたモノを探すため。
あの人は私に言った。
お前は壊れ物。
割れた鏡だ。
壊れた鏡は直すことは出来ない。
だがせめて破片を集めろ。
落とした欠片を拾ってこい。
私は歩き出した。
そして、探す場所は
真っ暗な闇の中。
何も見えない。
これじゃあ、目を瞑っていたって
同じ事じゃないか。
私は歩く。
何処へ向かっているのかも
何処に向かっているのかも
分からないけど
あの人が言った鏡は
ただの例え。
欠けた鏡の破片。
もしその落とした破片を踏んだなら
とても危険なものだろう。
それと同じように、
落としてはいけないモノを
私は落としたんだろうか。
それほど大切なモノを――…
そしてそれは
この闇の中で
見つかるのだろうか…?
私に欠けているものとは一体何なのだろうか?
私は、歩き続けている。