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第15話 守られている側

異変は、

「減り方」から始まった。


「……数が、減らない」


《オーバーサイト》の声が、

少しだけ低い。


レッサードラゴンの反応数。

前線の赤点。


倒している。

確実に、倒している。


それなのに――

全体の数が、思ったほど減っていない。


「補充、じゃないな」


俺は、地図を拡大する。


「配置が変わってる」


前線。


いつもなら、

レッサーが散開して動くはずの空域。


だが今日は――

中心に、大きな影がある。


「……大型だ」


誰かが呟く。


「まだ完全体じゃないが、

 サイズが一段違う」


問題は、

その“位置”だった。


大型ドラゴンが、

拠点間の中心にいる。


しかも――

円を描くように。


L

L L


[ 大型 ]


L L

L



L=レッサードラゴン


「……盾、か」


誰かが言った。


違う。


「陣形だ」


大型が、

正面から射線を受け止める。


レッサーは、

その内側で動く。


突っ込まない。

逃げない。


ただ、

守られている。


「……学習、完了してるな」


俺は、

静かに言った。


「俺たちが、

 何を狙ってるか」


撃てば、倒せる。


だが――

大型は硬い。


レッサーほど、

簡単には落ちない。


「倒せなくは、ない」


《オーバーサイト》代表が言う。


「でも……」


「コスパが悪い」


俺が、続きを言う。


「時間も、

 弾も、

 拠点の消耗も」


全部、

想定以上だ。


一体のレッサーが、

盾の内側から出ようとする。


だが、

すぐに大型が位置をずらす。


射線を切る。


「……完全に、

 守備役を理解してる」


誰かが、

息を呑む。


これは偶然じゃない。


命令だ。


「……撤退判断は?」


代表が聞く。


俺は、

数秒考える。


倒せば、

成果は出る。


だが――

時間がかかる。


その間に、

他の前線で

レッサーが育つ。


「……引く」


即断。


「これは、

 消耗戦に誘われてる」


「乗らない」


射線を外す。


追撃しない。


大型は、

それ以上前に出ない。


レッサーも、

無理に来ない。


代わりに――

配置を維持したまま、後退する。


「……逃げ方まで、

 綺麗だな」


誰かが呟く。


ああ。


龍は、

もう“敵”じゃない。


戦争相手だ。


安全圏。


拠点に戻る。


空気が、

重い。


「……勝てない、わけじゃない」


誰かが、

言い訳のように言う。


「分かってる」


俺は、

地図を消しながら答える。


「でも――

 勝ち方を変えられた」


それが、

一番厄介だ。


端末に、

新しいメモを書く。


《敵行動変化》

・重点目標を理解

・大型による防御陣形

・時間稼ぎ戦術

・拠点消耗を狙っている


最後に、

一行足す。


《結論》

レッサー単体狩りは、

 もう効率が出ない


俺は、

仮面を外さないまま、

天井を見上げる。


「……やっぱりな」


「龍は、

 待ってくれない」


ここから先は――

構造を、

もう一段上げる必要がある。


レッサーを狩る戦いは、

終わった。


次は――

陣形を壊す戦いだ。


遠く。


ダンジョンの奥。


誰かが、

この動きを“見ている”。


不滅王か。

それとも――

別の王か。


どちらでもいい。


構造は、

まだ折れていない。


だが――

時間は、確実に削られている。


(第15話・了)

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