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水瀬アンナ1

 水瀬アンナの父との記憶は汗と香水と酒の匂いだった。

 唯一残っている記憶は物心がつくかつかないかごろまでさかのぼらないと出てこない。

 その頃の記憶はぼんやりとしていてあいまいだが、覚えている限り一緒に住んでいた男は昼間は常に寝ていた。

 夜になると出かけ、朝方になると家に帰ってくる、毎日酒気を帯びて帰ってきた男は体臭と香水の混ざったその匂いしかしなかった。それがアンナの父と記憶している男の唯一の思い出だった。

 

 小学生になる頃には母と二人で暮らしていた。父は母とアンナを捨て別の女とどこか遠くへ行ってしまった。シングルマザーの母は毎日パートに出かけ、アンナは学校から帰宅してもいつも一人だった。それでもアンナは寂しくなかった。母は帰ってくると疲れなど見せず料理を作り、家事に手を抜くことはなかったしいつも優しかった。小学校の3,4年生頃にはアンナは料理、洗濯などの家事を自分でこなしていた。ほかの家族に比べれば早い段階で自立していたと思う。

 中学生になる頃から母の束縛を感じ始めた。もともと外で遊ぶことが少なかったアンナだったが、思春期とともに友人と外で遊ぶことの楽しさを覚え、家に友人を招くこともたまにあった。最初におかしい思ったのは友人が家で彼氏ののろけ話しているのを聞いていた時だった。母は珍しく家に帰ってきていて、アンナとその友人の話を聞いていた。だが友人の彼氏の話になると、あから様に態度が悪くなり、席を外し食事の支度をし始めたのだ。少しして友達が家に帰った後「もうあの事付き合うのはやめなさい」と言われた。その後も母は女友達の話は聞くが、男性に関する話題はあからさまに拒否反応を見せた。

 高校に入る頃になると母の男性嫌いはアンナの中で確実なものとなった。そしてそれを娘であるアンナに強要しようとしていることも・・。高校は女子高を勧められそのまま女子高に入った。今考えれば母の為でもあったのかもしれない。女子高に入ると学校では男性の話題はいつも注目の的だった。アンナも興味が沸かないわけではなかった。そして彼氏のいる友人からの異性の紹介話もあった。だが母のことを考えるとどうしても一歩踏み出すことはできなかった。アンナは自分の未来を想像したとき、きっと一人なんだろうと思った。母が一緒にいる限り私は男性とは付き合うことはできない、高校三年になる頃には高校を卒業したら家を出ようと思っていた。

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