被験者との出会い
「早速初めての仕事がきたみたいよ」
サキはすでに気持ちを切り替えているようだった。
忠司の目の前にウィンドウらしきものが表示され、その中に氏名、性別、年齢などが表示されていく。
水瀬アンナ 女性 21歳 ストレス許容量200 ストレス値250 ストレス許容値を超えた為対象となりました。 東京都杉並区〇ー〇ー▽ 転送を開始しますか?
目の前のウィンドウに はい いいえ の二択が表示されている。
これが言っていた権限譲渡の影響か・・。忠司は思いながらサキに問いかける。
「転送するかどうか出てきたんだけど・・」
「まだ待って。こうなってしまった以上私と一緒に行動するしか選択肢はないわ、不本意ではあるのだけれど。今あなたの目の前に出ている情報は私にも共有されている、でもいくつかの能力に関してはあなたにしかできないものができてしまった、基本的には出てきた選択肢はすべて頭の中で思えば選択できる。ほかのことに関しては共に行動していく中で教えていくわ。」
「習うより慣れろってことか」
「そういうことね」
サキはそういうと黙ってしまった。
「早くしないと被験者が勝手に死んじゃうわ、サキ早くして」
シキが口を開いた。
「わかっているけど・・。転送権限がもう私にはないの」
どうやら転送をすることは忠司にしかできなくなったらしい。
「じゃあいくぞ」
「良い選択を・・」
シキが私たちを見て微笑む
忠司が転送ボタンを脳内で選択した瞬間視界が真っ白になった。
数秒後には街中の歩道に立っていた。昼間である、太陽は真上にいる。
周りには絶え間なく人が流れている。
そういえば時間軸とかもどうなっているのだろう。
自分が変わってしまって間もないと思うのだがすでに現実世界では昼夜逆転している。
「あなたが私と会ってから3日後ね」
心を読んだかのようにサキが答えた。
まさかとは思ったがとんでもない勢いで時間が過ぎて行っている。
忠司は自分の寿命がとてつもない速度で短くなっていっている気がした。
「大丈夫よナビゲータは年はとらなくなる・・と思う」
サキの答えはぎこちない。例外という言葉の通り忠司は自分に関しては不透明な部分が多いのだろうと思った。
「あの子よ」
サキは視線だけで忠司に指示した。同じ方向に顔を向けると一人だけ上に●マークの表示された女性が立ってこちらを凝視している。お世辞にも幸福そうには見えない。
「初めまして、水瀬アンナさん」
サキは水瀬アンナに向かってうやうやしくお辞儀をした。




