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管理者

『願いはかなえられました。管理者権限に抵触しました。一部管理者権限の移行手続きを開始します』


 眩い光に包まれた忠司はしばらく経つと目が慣れてきた。目を開けるとそこは全体が青い上も下も右も左もすべて青い空間に転送されていた。周りの景色だけが変わり。目の前にはサキが立っている。

 「サキ、やってしまったわね」

 振り返ると誰もいなかったはずの後ろに今度は白いワンピースを着たやはりサキと同じくらいの年齢であろう少女が立っていた」

 「誰だ」

 忠司は反射的に問いただした。 

 「私はシキ、サキと同じくナビゲーターをしている者です」

 シキと名乗ったその少女は答えた。

 「シキ、私こんな願いいままで聞いたことが無いわ。この人頭がおかしいとしか言いようがない」

 忠司を挟んでサキはシキに話しかけた。

 「サキ、あなたはAIから人になってしまったけれど管理者権限の一部は残っているの?」

 シキが続けてサキに話しかける。

 「一応残っているみたい、でも一部グレーアウトしてしまって使用できない」

 サキが答える。

 「なんか勝手に話進めてるけど俺はどうなったんだ?この状況はなんなんだ?」

 忠司は誰にともなく話しかける。

 「あなたの願い叶えられました。同時にナビゲーターであるサキに干渉した願いだった為、あなたにもナビゲーターとしての権限が一部譲渡されてしまった。いわばあなたはもう通常の人間ではない。ちなみにここはナビゲーターしか来れない空間よ。」

 口を開いたのはシキだった。

 「どういうことだ?」

 「通常願いというのは私たち以外の誰かを対象者として叶えるもの。だから願いが叶えばあなたのストレスは解消され、対象者にはあなたの願いが叶えられ、それで終了。あなたには私たちの記憶は残らず。私たちは次のストレスボール発生者の元に転送される仕組みなの。しかし今回あなたはサキを対象者に選んでしまった。しかも願いにより人間にしてしまった。よってナビゲーターとしての権限および機能が一部あなたに譲渡されてしまったの」

 シキは淡々と答えた。

 忠司はイマイチよくわからなかった。

 「要はあなたもナビゲーターになってしまったということよ」

 サキは忌々しいといわんばかりに忠司に答えた。

 「なっ!ちょっと待ってくれ。これからの俺の生活はどうなる?帰ることはできないのか?」

 忠司は反射的に質問した。

 「安心していいわ、あなたの願いが叶えられた時点で、あなたに関係のある人達には記憶の修正が入り、あなたのことを覚えている人間はもうこの世にはいなくなっているから」

 「全然安心できない事案なんだが・・」

 シキはまたしても恐ろしいことを淡々と答えた。そして続ける

 「帰るというよりは転生しちゃったに近いかな?まぁ仕事上ほぼ元の世界には行くことになるからあまり寂しくはないんじゃないかしら?生活に関しては一変しちゃうかもだけど、あなたの願いだからまぁ諦めてください」

 シキは表情を変えずにちょっとフランクにそう答えた。

 「俺はこれからどうなるんだ・・・」

 忠司は今さらながらに自分のやってしまった重大さを実感し始めていた。


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