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フリージア王国備忘録<第三部>  作者: 天壱
侵攻侍女とサーカス

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〈コミカライズTTS2巻発売‼︎・感謝話〉姉妹の愛情

時間軸は第一部の「惨酷王女と罪人 」になります。


「お姉様可愛い!可愛い!!可愛過ぎますっ!!!」


「ティアラっティアラ!落ち着いて……!!」

きゃああああああああっ!と黄色い悲鳴が屋敷に響く。満面の笑顔で抱き着く妹に、プライドも無碍にはできずにただひたすらに呼びかける。

殲滅戦を終え、騎士達への感謝の言葉を最後に瞬間移動で帰還したプライド達は、今ジルベールの屋敷にいた。一人屋敷の中で、ジルベールの侍女達と共にプライドの帰りを待っていたティアラに迎えられ、ひと息ついたのも束の間だった。

本来の衣服は着替えを行った城の隠し部屋にある為、今はまだ下級層の恰好のままだ。しかしそれでも、今すぐ隠し部屋に戻ることもできない理由があった。


「ティアラ、あまり騒ぐな。ステラを起こしたらどうする」

「!ごめんなさいっ」

離れた位置でイスに掛けたステイルからの注意に、ティアラは我に返り両手で口を覆った。居間にいる自分達と違い、寝室ではマリアンヌと侍女が赤子を寝かしつけている。

プライドにべったりに抱き着くティアラを、本来ならば兄である自分が間に立ちたかったステイルだが、今は動けなかった。ジルベールの侍女に特殊能力で怪我を治癒してもらっている最中である。

怪我をしても騒ぎにはならないアーサーや無傷のプライドと違い、ステイルは全身に火傷も負った為、先に治療を受ける必要があった。本来の衣服では隠れてしまう位置にも火傷ができてしまった為、薄い布一枚の下級層の衣装のままの方が怪我の具合も確認しやすい。


せめて目立つ火傷だけでもなんとかしたいステイルには、ジルベールの屋敷に怪我を癒やす特殊能力者がいてくれたことは本当に幸いだった。皮一枚分焼けた程度で痛みは大したことはないが、この姿を城の侍女に見られれば間違いなく上層部の両親にも怪しまれてしまう。


渡された鏡で自分の姿を見たときも少し驚いたものの、いっそ傷の一つくらいは記念に残しておいても良いくらいの気分のステイルだったが、やはり治す方向に決めた。

怪我治療の特殊能力であれば充分癒やせる軽度である以上、できる限り城の誰にも気付かれずに隠し通したい。自分より遙かに重傷者を後回しにしてしまっていることには気が咎めつつも、ここは最後まで治療を受けることを選ぶ。


ステイルの一瞬の視線も拾うジルベールも、今は子どもの姿のままソファーに休んでいた。

銃傷とはいえ、騎士により止血処理だけはされた為、切迫もしていないジルベールもまたステイルの治療を優先することを望んだ。宰相とはいえ、怪我などいくらでも服で隠せる自分と王族のステイル達は違う。なにより、一刻でも早くステイルに治療を受けて欲しい気持ちが強かった。

しかし治療を受けてから何度もチラチラと盗み見るように自分を方に振り返るステイルを見ると、気を遣わせてしまっているようで逆に肩を竦めてしまう。

しかし心配してくれているのだろうかと思えば僅かに笑みがこぼれてしまった。できることなら、この怪我の理由はステイルには気付かれないままでありたいと願う。


「兄様もジルベール宰相もアーサーもゆっくり治療してくださいねっ!お姉様は私にお任せください!」

「いやっ……俺はこのままで。それより早く騎士団に説明に行かねぇと……」

むぎゅううっとプライドをぬいぐるみのように抱きしめたまま顔を引き締めてみせるティアラをよそに、アーサーは時計を確認する。

同じく外傷が受けたアーサーだが、ジルベールほどの重傷でもなければステイルのように痕が残って困る立場でもない。

形式上はプライド達の近衛騎士として屋敷に同行しているアーサーだが、その嘘もバレてしまったいる以上、一刻も早く事情を説明にいくことの方が優先だった。


ジルベールの屋敷の家具を汚すことも躊躇い、一人どこにも座らず起立するアーサーは、侍女やジルベールに勧められてもやはり腰を下ろす気にはならなかった。

今もどこに居れば良いかわからず、ティアラに抱き着かれるプライドの傍に控えている。

瞬間移動できるステイルは治療中で年齢操作できるジルベールも怪我人である以上、今は二人のどちらかを待つしかない。そしてそれはプライドも一緒だった。


「ティアラ、そんなにくっついちゃったら顔も汚れちゃうからっ……!ほらもうドレスが!」

「大丈夫ですっ!ドレスは替えがありますけどお姉様のこの瞬間は今だけですからっ!!」

洞穴で裏家業相手に戦闘や崩壊の中も走り回ったプライドは、頭から砂埃も被り酷く汚れている。だからこそティアラにあまりくっついて欲しくないが、王女のティアラにとってはドレスよりも遙かに今の方が価値がある。

自分よりも小さいプライドが可愛くて仕方ない。ヴァルも子ども達も奴隷被害者達も無事に救い出せたという報告も聞けた以上、今はもう小さい姉を存分に抱きしめることが先決だった。

ただでさえ、同じ小さくて可愛い兄とジルベールは怪我人の為、抱きしめて良い対象は姉しかいない。

最初こそ純粋に全員が帰ってきたことを喜んだティアラだが、今はもう安心よりも至福で顔に赤みが差す。可愛い可愛いと、繰り返してはプライドを抱きしめ頬ずりをするティアラはもうずっとこのままの姿でも良いのにと半ば本気で思う。とうとう抱きしめるだけでは飽き足らず、姉の汚れもドレスの皺も気にせず姉の背に合わせて膝をついてしまう。


「お姉様はずっとお綺麗で素敵でしたけどっ!こんなに可愛かったんですね!」

「あっありがとう……あのね、ティアラ。小さい子ども相手だからわかるけれど、中身は残念ながら私のままで変わらないから……」

「だからもっと可愛いんですっっ!!」

きゃあっ!とまた細い腕で力の限り抱きしめる。何を言っても通じないで嬉しそうに抱きしめてくれるティアラに、プライドは戸惑いつつも不思議と抗えない。

妹にこんな可愛がられることはど初めてにもかかわらず、どこか懐かしい感覚が余計にどうすれば良いかわからなくさせた。

可愛い可愛い可愛すぎますっ!!とハートを振りまくかのように声を弾ませるティアラに、アーサーも苦笑しステイルも若干呆れる中、……ジルベール一人は切れ長な目を細めた。


─ まるで在りし日のローザ様だ。


「お姉様みたいな妹が欲しいですっ!もうこのまま連れ帰っちゃいたくなりますっっ!!」

「ティアラ??私達一緒に城に帰るから……」

ジルベールも当時のプライドに対して接触は多くない。プライドに会いに行く時もアルバートは単身が多く、自分は彼がプライドや妻に会いに行っている間に公務を任されることの方が多かった。

しかし、アルバートと共に今よりも幼いプライドを溺愛するローザを目撃したことはある。可愛い可愛いと繰り返し抱きしめ頬ずりするティアラの姿は、まさに母親のローザそのものだった。


やはり親子だと思いつつ、むしろティアラの方にはローザも会う回数こそ多かったものの落ち着いた態度で接していたと想起する。

乳母に任せていたこともあるが、ティアラ自身はここまでローザに容赦なく溺愛されたことは逆になかっただろうと考えれば、モデルケースを知らないティアラがここまで似てしまうのはもう血としか言いようがない。

もし本当に生まれる順番が違い、ティアラがプライドの姉であれば、少なくともプライドは一時期のように我が儘な姫様と呼ばれる期間はなかったのではないかと、今のティアラとプライドを見てジルベールは考える。そうなった場合プライドやティアラがどんな人物に成長していたか、なかなか興味深い。


「お姉様っ!今のうちに可愛いドレスとか着ませんか?!せっかく可愛いのにドレス着ないのもったいないです……!」

「ティアラ。城に帰れば当時の姉君の姿絵全てドレスを着ているから落ち着け」

ハァ。とあまりの妹の興奮にステイルも重い溜息を吐く。今のプライドの姿は十一歳、自分もティアラも共に育った時の年齢である。

しかし兄からの僅かに低めた声でもティアラは止まらない。一回落ち着けとソファーを進めるアーサーの助言に「お膝に乗せて良いですか?!」と、プライドに目をギラギラ輝かせてねだり出す。もうこの状態の可愛い妹にプライドが断れるわけもなかった。


ぼすんとティアラが先に座り、その膝の上にプライドが座れば、再び最初と同じように後ろからぬいぐるみのように抱きしめられた。

十一才の頃から身長に恵まれていたプライドとティアラの身長さは膝に乗せてあげるほど大きく離れているわけではないが、それでもティアラは満足だった。プライドとの年の差がちょうど今は逆転しての二才下。自分はこれくらいの幼く見えたのかと思えば、今回も姉にも兄にも殲滅戦に連れて行ってもらえない理由がティアラははっきりとわかってしまい、小さく胸を痛めた。

自分が弱いだけじゃない、そして成人していない二人にとってもまだ自分は子どもなのだと。やはり兄やアーサーへの羨ましさは未だに拭えない。自分にも、プライドのように年齢を覆すほどの強さがあればと思えば、一瞬だけ表情も曇った。


「私っ、お姉様と兄様と出会えてから寂しいなんて思わなくなりましたけれどっ、でも今……なんだか」

むぎゅううう~と抱きしめ、姉の深紅の髪を優しく何度も撫で降ろす。手櫛を通したかったが、砂埃に何度も巻き上げられた髪はたとえ第一王女の髪でも今は細い指も通らなかった。

髪を編み込むくらいはできないかとやっても小さな束を摘まむだけで他の髪も絡まったまま釣られてしまう。社交界でも式典はまだしもパーティーやお茶会であれば、自分より小さい子どももいる。しかしここまで燥いでしまうのはやはり相手が自分の大好きな姉であるプライドだからだろうと自覚する。第二王女という立場から、正直にはしゃげるわけもないがそれでもこんなに飛びこんでしまいたくなるほど愛おしく思ったことはなかった。今ここが城の中でもない、ジルベールの屋敷で良かったとティアラは思う。そして



「すっっっごく妹が欲しいですっ」



ゴフッ!!

純粋な願望を口にするティアラに、音も溢れるほど噴き出したのは他でもない屋敷の主人であるジルベールだった。

同時に肩の傷が酷く痛み、腕で押さえたがそれでも笑いが引き摺り傷よりも口を覆い隠し必死に笑いを噛み殺した。まさか安静にしなければいけないこの時に、ティアラにとどめを刺されるとは思わず激痛と笑いが混在しジルベールを地味に苦しめる。

プルプルと身体を震わせながら、笑いが収まらず俯きながらティアラからも全員からも顔を逸らした。その台詞を、自分の友人に聞かせた場合一体どうなるかと想像するだけで腹まで苦しくなる。


「そ、そうね……?ティアラにそっくりの妹だったら私も嬉しいわ。弟でもきっと美少年ね」

「お姉様にそっくりが良いですっ!もしくは兄様にそっくりの妹とか!」

「残念だがそれは不可能だ」

プライドが「良いわね?!」と乗りかける直前に、ステイルのはっきりとした声がうわ塗った。

今はティアラの兄であるステイルだが、両親とも違うのだからそれだけは不可能である。プライド似でもティアラ似でも妹でも弟でもいれば当然大事にすると確信はステイルにもあるが、自分そっくりでは寧ろ大問題だと冷静な頭でも思う。

眼鏡の黒縁を押さえる仕草をし、今は眼鏡をかけていないのだとそこで思い出す。優秀な侍女のお陰でようやく傷が表面上は消えたところで「もう大丈夫です」と感謝を伝えた。

夢を壊すステイルにぷんぷんと頬を膨らませるティアラをよそに、改めて鏡も使い自分の傷跡が消えたことを確認するステイルはそこで改めて侍女に向き直った。


「ありがとうございました、トリクシーさん。どうぞ次はソファーの上で死にかける屋敷の主人を延命してください」

にこやかに笑いながら、人差し指で真っ直ぐ指す先ではジルベールはソファーに倒れたまま肩を押さえ背中を丸めていた。

ジルベール宰相?!と、ステイルの言葉にそこで初めてジルベールの状況に気付いたプライドとティアラ、アーサーも振り返る。

チラチラとジルベールの様子を気にしていたステイルと違い、ぱっと見れば肩を痛めて堪えているようにしか見えないジルベールだ。

侍女のトリクシーも「大丈夫ですか?!」と真っ青な顔で慌て出す。周囲が騒然としたところで、ジルベールも流石に笑いが引っ込んだ。「いえ、大丈夫です」と柔らかに笑んでみせながら、慌てて丸めていた背中を伸ばし、また傷が痛んだ。まさかこの国の王配の顔色を想像しておかしくなったとは言えない。

これでも「ならば陛下方にご希望なさってみればいかがでしょう」と言わなかっただけ自重した方だ。アルバートにならまだしも、子どもといっても教育を受けた十五才と十三才の王女にそんなことは冗談でも言えない。

トリクシーから治療を受けながら、最後の最後に悪化させた肩の傷から痛みが引くのを待った。


「兄様っ!お怪我治ったなら私の隣に座ってください!!」

「悪いが断る。今全員の着替えを持ってくるから、そろそろ姉君も解放して差し上げろ。顔の汚れも拭け」

気合いいっぱいに自分の隣をポンポン!と叩くティアラに、ステイルは溜息交じりに立ち上がる。自分の見えない箇所の傷を確認する為に借りた鏡を、そのままティアラに手渡した。

今はプライドを膝に乗せているからこそ動きが封じられているティアラだが、これが隣に座れば間違いなく自分ももみくちゃにされると確信する。


潜入前は隠し部屋から扉の外に一度全員出て、順番に着替えとジルベールの特殊能力を同時に受けたが、今回もわざわざ全員狭い部屋に戻る必要はない。ジルベールの屋敷の方が部屋の数も多く、侍女もいる。

ジルベール本人の特殊能力も解くのには直接触れなくて良い以上、屋敷で全て済ませる方が早いと考える。


もうっ!とティアラが頬を膨らませる中、早速ステイルは瞬間移動で姿を消した。直後にはポンポンとそれぞれの手元に着替えが瞬間移動で表出してくる。

アーサーも待ちに待った着替えの団服と剣が目の前に表出すれば、構わず瞬時に両手で受け止めた。自分だけ空中に着替えを出されたことよりも、大事な団服と剣が手元に戻ってきたことにそれだけでほっと胸が降りた。

侍女の案内で着替え用の別室を案内され、早足で着替えに向かう。プライドを一秒でも堪能したいティアラと治療中のジルベールがいる今、自分も今のうちに着替えてきた方が良い。

「失礼します!」と挨拶するアーサーをプライドと共に手を振って見送ったところで、ちょうどステイルも戻ってきた。


「おつかれさまステイル」

「いえ。俺も早速着替えようと思います。特殊能力もそろそろ切れる頃だと思いますので?」

不自然にならない程度に声をはっきりと響かせるステイルは、今度は目配せもしない。

自分の着替えを抱えたままジルベールに聞こえるように告げるとそこで再び姿を消した。隠し部屋に戻り、あとはジルベールが特殊能力を解いてくれるのを待つ。

ステイルの意図にすぐ理解したジルベールも、トリクシーの治療を受けながら顔色一つ変えずにそれを実行した。

ステイルとアーサーが同時に着替えに出てしまったところで、ティアラは今だけでも自分が守ると言わんばかりにプライドを抱きしめる腕をまた強めた。もう、あと少しで魔法も解けてしまう。


「……お姉様、今この年齢は確か十一才でしたよね?」

「?ええそうよ」

ぽつりと、さっきまでの燥いだ声ではないティアラの声色にプライドも視線を上げる。年齢については既にティアラにも伝えたが、何故今それを尋ねるのかも不思議に思った。

自分を見上げるプライドがやはり可愛いと思いつつ、ティアラはこそこそと独り言のような声で言葉を続ける。


「私っ、今になって〝あの時〟騎士団長がとっても怒ったのがわかりますっ」


どきりと、ティアラの言葉にプライドも心臓が鳴った。当時の詳細を知らないジルベールや侍女もいる以上下手に話せないティアラが、敢えて言葉を伏せてくれていることも理解する。その上で、いつの、どの時のことを指しているのかも。

十一才、その年齢は子どもと言われる年齢であり、そしてプライドが騎士団奇襲事件に関わった年齢でもある。当時、プライドが裏家業相手に戦ったことまでは目にはしていないティアラだが、後日の謁見の間では騎士団長とプライドとのやり取りも全てステイルと共に同席している。


「だって、こんなに小さくて可愛い可愛い女の子ですよっ?私だって今ならすっごく怒っちゃいます!」

見てくださいっ!とティアラはステイルから渡された鏡をプライドへと掲げて見せる。

子どもの頃から自分の顔が好きではないプライドも、妹からの鏡に丸くした目で直視した。そこにいるのは今はもう懐かしい子ども時代の自分の顔だ。

前世の記憶を思い出してから自分の姿をしっかり「子ども」として認識して見えていたつもりのプライドだが、それでもティアラがみせてくれた鏡の向こうの自分は幼いと素直に思った。


「こんなに柔らかくて細くて今の私よりも小さくて可愛い女の子が、あんなことしたらお姉様平気でいられます??」

「…………そうね」

声を潜め、言葉も伏せるティアラに、それでもプライドはザクザクと胸が痛んだ。

こんな年齢の子どもが、しかも王女が崩落する崖に訪れ裏家業相手に剣や銃を振るうなど、普通に考えて見逃せない。

そう思うと、当時の騎士団長はあれでも王女相手に言葉も選び、冷静に対応してくれたものだと思い知る。今の自分がもし逆の立場ならこんな子どもが一人で飛び出したら、無事で帰ってきても泣いて怒る自信がある。

今更ながらに騎士団長への申し訳なさが再び肩へとのし掛かった。しかも今日もまた、その騎士団を巻き込み迷惑をかけた後だ。


「本当に。…………今回もきちんと騎士団長にお詫びしないと」

「大賛成ですっ!!」

力なく溢すプライドの頭を、よく出来ましたと言わんばかりにくるくる撫でる。

本当に自分が今だけはお姉さんになった気分になってしまいながら、ティアラはちょっとだけ鼻も高くなった。自分がもし当時のプライドに、この姿で姉として心配したんですよと抱きしめて怒ってあげることができたらとこっそり思



「ありがとう。……ティアラ、()()()?」



フフッ、と柔らかく笑みを溢しながら上目に顔を上げたプライドの言葉に、一瞬でティアラは固まった。

ぶわぁああ!と一気に血流が増し、顔がふやけたままどんな表情をすれば良いかわからなくなる。妹みたいな姿の姉にお姉様呼びされたことに、急激にまた気持ちが跳ね上がった。

しかも悪戯っぽく言われたのが余計に可愛くて嬉しくて仕方ない。



「~~~っっ!!お姉様もうちょっとこの姿でいて欲しいですっっ!!!!」



今日で何度目かもわからない抱き着きと同時の叫びに、直後にはステラの起床の泣き声が屋敷に響き渡った。


本日ラス為コミカライズ2巻が発売中です!

ヴァル編完結です!!


ラス為TTSコミカライズ2巻の特典でかわのあきこ先生に描き下ろして頂いたペーパーから、勝手に構想し書かせて頂きました。


こちらは、TSUTAYA BOOKS様特典の描き下ろしペーパーを元に書かせて頂きました。


※書店ではなく、イラストで作者が勝手に選んで書かせて頂いています。

お楽しみ頂ければ幸いです。


活動報告も更新致しました。宜しければ是非、宜しくお願い致します。


本日更新分月曜日は更新お休み致します。

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