アグレッシブなシノビさん
侵入完了。
門番的なのはいなかった。
セキュリティどーなってんだ、田舎の家かよ。
『……暇』
ずぅぅっと一本道。松明がついてて真っ暗でもないし、意外と簡単に攻略できるかもね。
カチッ、ボッ。
『うぇあっつ!?』
なんか踏んじまったらしい。唐突に松明倒れかかってきた。
『びっくりさせんでくれや…。』
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HP・145/150(160)
MP・320/320
効果・炎上
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状態異常ついてんねぇ。よく見るやつだね、多分スリップダメージかな?あっ3減ったわ。確定だわ。
多分死ぬことはないんだろうけどさ?さすがに怖いよね。
『ゴブリンさんや出ておいで〜?』
よっしやっと一匹発見。ブスっとな。
『さてさて次は…』わぁおY字路。どっちいこうかな。
『こういうときは…。「自切」』
右に行きましょうか。
『なんか明るくね?』もうちょい進んでみようか。
『おぉ太陽光』なんか外に出たようですね。
「「「ーーー!!!」」」
「「ーー!!!」」
「「「「「ーー!ーーーーー!」」」」」
『うるっっせえええ!』
鼓膜無くなるかと思ったわ!元から無いけど!
ふう取り直して。そこにいるのはゴブリンいっぱい。
やっぱここは巣で間違いなさそうだね。
ってことは…『どっかに王とかいる!?』
いるとしてどこにいるだろうか。大群の先とかいそうだな。
『突破しますか。「空竹干渉」!「自切」!「自切」「自切」「自切」!「空竹干渉」、「自切」「自切」!「自快」からの「自切」!』
私の動きを説明しよう。まず最初に上へと上がり、そっから調整しつつ小さい竹槍を降らしまくる。
これで6体撃破。
やりすぎてこれ以上は切り刻めないとこまで来たので自切で伸ばしながら「伸びる槍」みたいにして2体撃破。
自分でも訳わからんくなってきた。
これを十数回繰り返した現状がこちらです。惨状と言ったほうが良いかもね。
『さて、そろそろ挑ませてもらおうかな』
多分さっき逃げてったやつの上司?大将?みたいなやつだね。
さっきの刺したときに悲鳴みたいなのあげてたし。まあまあ愛されてたのかなあいつ。
俺の場合あのクソ上司が…やめだやめ、集中しよ。
『さっきからクナイかなんかずぅぅっとブン投げて来やがってさぁ!意外と毒ウザかったんだからね!?』
「ーー!ーーー。ーー!?…ーー!!!」
おぉっと危ねぇ。掠るだけでも毒入るんだから怖いよね。おっ二発目と三発目同時に来た。
『ただ流石に見切れるんだよなぁ!』
こんだけ同じ攻撃出されるとこっちも適応できるというもの。最小限の動きでクナイの間をすり抜けるって
『あれぇホーミング!?』二本のクナイがクリティカルに入る。毒ももちろん入るし。
『まあ俺今体力自動回復状態だし…大丈夫か』
まだ「生水吸収」が途切れていないため、微量ずつだが回復するようになっている。
ただ、短期決戦は避けられないだろう。だってモンス倒した直後にしか発動してないし。
『とりあえず攻撃してみようか!』
正面から刺突…と見せかけ、横を通り過ぎて後ろから刺す。
カツン。
なんの音かって?刀みたいなので防がれたんすよ。
そのまま断面に何かを詰められ、直後爆風が舞う。
畜生炎上入るし欠損できるし、HPは…19!?やばすぎやろ。
『とりあえず「自快」!』欠損だけなら直せたしまあいいや。
『空高くから落とすか。上がって…「自切」「自切」「自切」!』
3本の槍が少しずつ違うタイミングで降る。こんだけ早けりゃ避けられんでしょ!
あっ白い霧。とはいえ実体あるだろうし出てきたとこに追い打ちかけりゃいいか。
えっ一瞬黄色の光?みたいなものが。霧は晴れて…いないんですけど。
『えっ…透明化みたいな?』
攻撃も通り抜けるとかだったら流石に手に負えないよ?あっ出てきた。俺の真横やんけ。
おい待て何その深緑色の炎上がってるナイフ!?
『やっばぁあ…!?絶対避けなきゃいけないやつだよこれぇ!』
あっ両手に一本ずつ持ってすごい速度で接近してきた!
一旦退避退避退避!あっ投げるの?まだあるんだ、もう予備出して来たけどそれただの包丁じゃない?
あぁ自分で炎つけられるんか。今回は紅色してますね。
『どうしろって言うんだこれさぁ…!』
もう一本投げるの?そんで補充して、火を付け…られてませんね。
確かに火起こしってむずいよね、って何でですかね?
『どういうことかわからんがとりあえず好機!』
「ーー!?ーーー、ーー。ーーーーー!ーーーー」
あぁすごい焦ってるような。
『「自切」、「自切」「自切」「自切」「自切」「自切」!!』
最初の2回で自分の体の三分の一くらいを縦に切る。
そんでそいつらを残りで切っていくと、ほっそい槍が12本!
『「空竹干渉」で全部同じ高さに揃えて、落下!』
「ーー?ーーー!ーーー、ー。ーーーー!」
避けないんだ。迎撃すんのかな?
あと1m,50cm,20cm!
『今かな!「空竹干渉」ォォ!!』
全部渾身の速さで押し出し、その内三本程度は横にずらして斜めに降らせる。
こんな近くで動かれちゃたまったもんじゃないでしょ流石に!
「ーーー!?ーーー!ーー!」
あっ上からの四本が既に切り刻まれた。あっ斜めの三本も。えっもしや全部斬られる?
『本当にこれで終わってくれ…!』
回復にあたってた輪切りと自分から取れるだけ取った分を全面展開。
球状に覆いかぶさり、全方向から豪速で動く。
『そろそろ死んでくれぇぇえ!!』
「ーーーー!ーーー!ー!ー!!」
……ふぅ。滅多刺しになってますね。でもまさか七割斬られるのは想定外だった。
流石に死んだかな?
「ーー……!」
『えっ生きてた!?』
とりあえず突撃!刺す!貫く!
「ー!ー、ー………。」
あぁやっとか。まじできつかった。
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技能・ゴブリン-エドラーテ語(新獲得)
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『………は?』
敵倒した後にくれるスキル、これで終わらせるの?
まじで?流石に泣きそうだけど。
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ちなみにY字路の反対側には王がいた。腹いせでワンパンしたよ。
そんでもってさらに奥には…本の山が。
休憩がてらさっきのスキル使って読めたら良いんだけどねぇ。
……読めませんね。
まじでどうなってやがる。
あいつクッソ倒しにくかったんだけど。何回か死にかけたし。
『まあ絵とかから判断するしかねぇか…。これが…「火」?』
唐突に文字が光りだした。火と思われる単語からだんだん広がり、本全体が輝く。
数秒で収まったかと思いきや、すべての文字が日本語になっていた。
『えっ…どういうこと?わかんね。まあ読んでみますか。』
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この世界には「魔術」があり、「火魔術」「水魔術」「木魔術」が基本魔術とされています。
魔術には1~10までのレベルと技があり、自身のレベルアップと同時に魔術のレベルも上がります。
最高レベルまで到達すると火魔術からは「爆炎魔術」、水魔術からは「氷霜魔術」、木魔術からは「花果魔術」が使えるようになります。
これらは上位魔術と呼ばれており、上位魔術を獲得した後にも基本魔術は使用することができます。
また、一定のレベル以上かつ基本魔術を複数所持しレベルを最大まで上げていた際、火魔術と水魔術からは「風気魔術」、水魔術と木魔術からは「大地魔術」、火魔術と木魔術からは「生命魔術」が獲得できます。
三種類の複合は「森羅魔術」と言われていますが、「大戦」時から森羅魔術を持っていたとされる人は0に等しく、またそのころの正確な文献がないため謎が多く残っています。―――
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うわぁテルースさんやってくれたな。