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パンラル・ルージュ  作者: 4コマ
一年の夏
9/9

本音

 最近のニュースは物騒な物しかない。

 窃盗に殺人、はたまた強姦に痴漢。

 様々な事件がはびこっている。

 そんな中、一つのニュースに目が行ってしまった。

 

『昨日の事故で、登校中の児童八名が死亡する事故がありました』


 こちらもなかなかひどいニュースですね。

 登校中の小学生にトラックが突撃するとゆう悲しい事件ですね。

 すぐにスマホを取り出し、SNSでニュースの内容を確認すると、沢山の意見や疑問、怒り、悲しみ、不謹慎などの内容が多数あり、「今日も相変わらず平和みたいですね」と言ってしまう。

 口ではそんなことを言っているが、実際はなんとも思っていない人がほとんどだ。

 同情で他の人から共感、好感度をもらおうとしているのだろう。

 

「それにしても、毎日ニュースを見るたんびに死人が出てる気がしますね」


 こうも毎日死人が出ていると、死に対しての気持ちが薄れてくるってもんです。

 それに、どんなにひどいことがあっても、しょせんその瞬間にしか騒がれないのだ。

 結局、私含めてみな他人事なのだ。

 

「ごちそうさまでした……、鍋返しに行かないと」


 今の時間帯は七時ちょうどであり、この時間ならば雛森さんは必ず起きているはず。

 着替えるのもめんどくさいので、パジャマの状態でいいですかね。

 インタホンを押すと、三秒したのちインタホンの方から「どちら様ですか……?」と、少々震えた声が聞こえた。


「夜魅ですけど―—」

「今開けます!」


 すると、すぐに扉が開き、いつも通りの雛森さんが出てくる。

 

「どうしたんですかいきなり!」

「鍋を返しに」

「あ、ありがとうございます! それと……どうでしたか……?」

「いつもより美味しかったですよ。 また食べてみたいです」

「ほ、本当ですか!! ぜ、ぜひ作らせてください!」

「それでは私はこれで」


 目的を果たしたので、自分の部屋に戻ろうとすると、いきなり服の袖を掴まれる。

 後ろを見ると、足を震わせながら「何か……作ってほしい……料理ってありますか……?」と聞いてくる。


「作ってほしい料理ですか……」

「き、聞いてみただけですから、そんな深い理由はありませんから!!」

「鍋とかですかね……」

「わ、分かりました! でも、なんで鍋なんですか?」

「……それは」


 そう言いかけた時、後ろから「夜魅さーーーーんーーーーー!!!!」毎度毎度騒がしいのが読んできた。

 振り向くと、案の定その正体は凛子だった。


「何してるの?」

「お隣さんに食器を返してるとこ」


 そう言うと、凛子は私の横から顔を覗かせながら雛森さんを見る。

 そういえば、凛子と雛森さんは面識なかった気がします。

 

「何この子!! めっちゃ可愛い!!!」


 そう言いながら、雛森さんを抱っこする凛子。

 何が起きているのか理解できていない雛森さんは、怯えた顔になっていた。

 凛子と雛森さんの衝突はまずいかもしれない。

 

「は、話してください……!」

「あ、ごめんね、つい可愛かったから!」


 えへへと、まったくもって反省をしてなさそうな表情を見せる凛子。

 雛森さんは、見ず知らずの凛子を警戒していた。


「じゃなくて! 夜魅さん学校!!! 遅刻しちゃうよ!!」

「そういえばもうそんな時間でしたね。 雛森さん、また今度ゆっくり話しましょう」

「は、はい……、気お付けて言ってきてください……」


 そう言うと、雛森さんは逃げるように自分の部屋に帰っていった。

 予想外のことですから無理もないですね。




 いつものように凛子と一緒に登校する私。

 今の私の当たり前の日常。


「あの子大丈夫かな?」


 何の前触れもなく聴いてくる凛子。

 あの子と言われても、通常誰だか分からないのですが、この場合だよあの子は雛森さんを指しているのだろう。


「大丈夫とは?」

「いや、あの子の挙動がおかしくてね。 まるで人を避けてるような……」

「実際そうですからね」

「そうなんだ……え!? 知ってるの!!」

「知ってる以前に隣人なのであらかじめ調べておきました」

「それはそれでプライバシーが……」


 ドン引きする凛子でした

 

「あの人は私と会った時からあんなでしたよ。 最初は馴れ馴れしかったのですけども……いつからだったでしょうか……」 


 なんだかんだで、雛森さんとの出会いも私からしたらいきなりであり、何の接点もないことでした。

 いつの間にか友達になっており、お互いの秘密を知り合ったなか。

 そんな記憶何一つないのに、彼は私にかまっていました。


「そういえば、夜魅さんが住んでたマンションって、私と組む前にはいたんだよね?」

「居たにはいましたね。 でも……、私は覚えていない……」

「覚えてない?」

「……そういえば言っていなかったですね…………」

「何が?」

「私は本来の自分から逸脱した記憶喪失者」

「…………」


 なんだかんだ凛子にはいっていなかった。

 いや言っていなかったんじゃなくて、言えなかったのだろう。

 これ以上自分を苦しめない為に。

 

「やっと本当のこと言ってくれた」

「え?」

「夜魅さんって、めったに自分の思い出話なんてしないから、てっきりわたし……」

「なんですか。 そんなことですか」

「大事だよ! 私からしたらパートナー歴は夜魅さんが一番なんだよ!!」

「はいはい」


 本当は話すつもりなんてなかった。

 一生隠して、いつかは嫌われることを望んだ。

 でも、少しくらいは夜魅(じぶん)に正直になっても良いでしょう。


「それでそれで!! 雛森ちゃんでいいのかな? そのことはどうだったの!!」

「すみません。 凛子とパートナーになった日以来は覚えてなくて」

「違うよー、私は夜魅さんとしての雛森ちゃんがどうだったか聞いてるの」

「ふ、わかりました。 あまりいい話とは言えませんよ」

「別に!! 私は雛森ちゃんと仲良くなるための話が聞けるかも―って!」

「はいはいわかったから」

「ん?」



 目が覚めると、時刻はとっくに十四時を過ぎていた。

 もぞもぞと、体にまとわりつく布団をどかす。


「…………」


 毎日の時間を布団の中で過ごす日々。

 別にどこかが悪いわけではない。

 ただ、自分のテリトリーから出たくない。

 外の世界は自分を否定するものであふれているから。

 そんなことないと、世の中の人たちはいうだろう。

 でも、現実は全く違う。

 世の中は、統一化しなければ自分を保てないってことが分かる。

 同じものでも、中身が他と違うだけでさげすまされる時代なのだ。

 沢山言われた。 何回も何回も言われた。

 それは甘え、逃げてるだけ、自立しろ、男なのに、気持ち悪い……

 頭に響く雑音が聞こえては消え、消えては聞こえを何度も繰り返す。

 何度も消した。 それでも響いてくる雑音の数々。

 分かっているんだ、世の中はそんなに甘くないことだって。

 だから自分みたいなやつは普通じゃない。

 だから社会に適合できない。


「好きなだけなのに……」


 テーブルに置かれている錠剤をのみこむ。

 今までの不安、恐怖、夢、好きなことのほとんどが、胃の中に放り込まれたブラックホールに吸い込まれていく。

 次第に、自分の中には壁が広がり、それと同時に何か大事な物が消えた気がした。

 それは、恐怖だったり、はたまた自分自身かもしれない。

 気づけば、半年以上も薬を服用している。

 昔の性格については思い出せない。

 話に聞くと、もっと活発で行動がおかしかったと母親から言われた。

 もちろん、昔だけの話じゃなく、今現在も言われていること。

 ただ、母からは、「昔より断然よくなってる。 このままなおっていくといいわね」と言ってきた。

 それと同時に、薬を飲む量が増え、次第に薬を飲んでない自分と、薬を飲んだ自分、どっちが本当の自分なのか分からなくなってしまった。

 もちろん、薬を飲まない方が本当の自分かもしれない。

 でも、半年間も飲み続ければ、次第に自分とゆう自分はいずれ消え去る。

 社会に不要な性格、症状を、薬によって抑え、消される。

 そしてアイデンティティーの消失……


「あ、これ可愛い」


 テレビに映る衣装や、ネイル、はたまたアクセサリーに目が離せない。

 私は可愛い物が好きだし、自分も可愛くしたい。

 それでも、世間はそれを許さない。


――ピンポーン 


 いきなり家のインターホンが鳴り、体がビクついた。

 恐る恐る画面を見る。

 そこには、今朝に見た美稲さんの友達らしき人だった。


「な、何用でしょうか……」

「いきなりごめんね! 夜魅さんに頼まれて買い物手伝ってあげてって言われて」

「け、結構です……ひ、一人でも行けますのでお引き取り――」

「そういえば、夜魅さんから伝言で、一緒に行ってあげないならもう関わらないよって言われてるんだよね!!」


……えぇ

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