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助手or奴隷

「何~?君お金なんかに興味あるの?ちょっと凡俗でがっかりなんだけど」


「俺のことを何だと思ってるんですか」


「何って…………人?」


「合ってるけど、理解がざっくりしすぎている!?」



 間違ってはいないが間違っている。あんたも人なんだから目の前にいる存在を人か人以外かで判断するなよ。



「それで、さっきのお話って、助手として雇っていただけるということですよね?」


「え?違うけど」


「はい?でもあたしの犬になれってさっき…………」


「うん。だから君私の奴隷にならない~?君はあたしのいうことを絶対遵守する代わりに、君の一生は私が面倒みてあげる。買いたいものがあれば買ってあげるし、欲しいものがあれば手に入れてあげる」



 なんだそれは…………要は奴隷という名のヒモになれってことか!?そ、それはちょっと魅力的なのではないだろうか。社会人を経験した大人なら誰しも一度は夢見たことがあるのではないだろうか。誰かの庇護下で悠々自適な生活を送りたい、と。


 いやいや、待て。そんなうまい話があってたまるか。ちゃんと確認せねば。



「あ、あの~ちなみに月にいくらもらえるとかって…………」


「ん?あたしが払える分ならいくらでも」


「いくらでも」



 こ、これは早々に人生イージーモード突入なのでは!?



「うん、だからその代わり君はあたしの研究材料になってもらったり~、ちょっといい感じに変形してもらったり~、あ!腕!そうだ腕一本増やしてみない!?」


「残念ですがこのお話はなかったことに…………」



 リヴァディアさんの今後のますますの成長をお祈りしています!


 ダメだ、この女倫理観がぶっ飛んでやがる。犬は犬でもいつの間にか誰かと体を融合されるタイプの犬かもしれない。


 身の危険を感じて部屋から去ろうとすると、彼女に後ろから抱きしめられて動けなくなる。年の差と体格の差があって力を込めても動けそうにない。


 それと背中に当たるなんかめっちゃええ感覚に本能くんが「今動いたら多分後悔するで」と言ってくれてたから。



「ちょっとちょっと~まだ話は終わってないでしょ~?」


「奴隷になることはお断りしたはずですが!」


「うん、残念だけどそれは別にいいよ~。君もあたしと同じならきっとあたしのものにはならないと思ってたし」


「腕を増やそうとする女と一緒にされたくない!」


「え~でも、便利じゃない?腕増えたら」



 確かに腕が三本あれば、料理を三つまで持てるようになるから、配膳が早くなって楽かも…………と一瞬頭に過ぎったが、普通腕が三本ある人間が働いている店に客は通わないと気づいて考え直した。



「ま、君はまだ気づいてないだけだよ。多分一年後には腕か足の一本は増えてるんじゃない?」


「怖ろしいことを言うな!?」


「それより、まだ君の話を聞いてあげてないじゃん。ほら、君は魔法について教えてくれる。そのかわりにあたしは君にアドバイスをする。そういう約束だったでしょ?」


「急にまともな話に戻るじゃん!あ、お願いします」



 話の内容に緩急がありすぎて直球ストレートの話題に振り遅れてしまうじゃないか。いいピッチャーになるよ君は。



「えっと、俺、学校に通いながらどうにかしてお金を稼ぎたいんですけど。何かいい方法はないかなって」


「君は随分お金に固執するんだね。そんな才能を持ってるのに、そういうとこは非常に凡俗だ」


「僕は、平民ですから。それもどっちかといえば貧乏な方の。うち父親がもう他界してまして、母親が一人で僕を育ててくれてるんです。だから早くお金を稼げるようになって母には楽をさせてあげたくて…………」


「ん?ちょっとまって今なんて言った?平民?」



 そのリヴァディアさんの声は先ほどに比べるとずっと低かった。もしかして平民に対して何か思うところがあるのかと不安になっていると、彼女は先ほどから僕を抱きしめていた腕をほどいた。


 そして僕をくるっと一回転させると、改めて顔をじっと見つめられる。



「君、ほんとに平民?名前なんだっけ」


「マ、マツバです。姓はありません」


「じゃあ君はどうやって魔法を覚えたの?」


「えっと、頑張って…………?」


「一人で?」


「一人で」



 彼女はしばし黙りこくった。何か怒らせることをしただろうか。なんか体がぷるぷる震えているし、怒りを抑えているようにも見える。



「ずる~~~~~~い!!!!!!!!!」


「は?」


「ずるい!自分一人で魔法を覚えちゃうなんてずるいよぉ~~~~~~!!!!!!!」


「ずるいって何ですか。別に一人だろうが誰かに教えてもらおうが変わらないんじゃ」


「大違いなの!!!!今あたしの研究それで詰まってるんだから!!!!」


「えぇ…………?」


「詳しいことは省くけど、あたしはもう君を離すわけにはいかないってことだけは分かった!よし、君今日からあたしと一緒にここに住もう!」


「は?嫌だが」


「ちょっと待ってて学園に申請してくるから!」


「待て待て待て!出ていくな!話を聞け!せめて外に出るなら服を着ろ~~~~~!!!!!!!」

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