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真の天才

 ライラ先生に連れられて学校内を進んでいく。そうして着いたのは一つの教室だった。



「今、いるかしらね」



 彼女はそう呟いて扉をノックする。数秒待機するが返事はない。



「不在のようですけど」


「いいえ、いるわ」



 ライラ先生は断言して教室の扉を開く。じゃあさっきのノックはなんだったんだという話である。



 教室の中は一般的な教室とは様相を異にしていた。どちらかといえば、そう、研究室である。実験道具とおぼしきものが散乱している。つまり研究室は研究室でも限界に近い方の研究室である。



 そして、そんな中、ライラ先生の言ったとおり彼女はいた。



「うんにゃにゃにゃにゃにゃ!!わっかんないなぁ!!これほんとどうなってんだろ!!面白いな~!!おっっほほほほほほ!!」



 なんか、やばいやつおるって。



 ライラ先生が彼女を紹介しようとした意図が分からず、一瞬正気を疑ってしまうほどに彼女は“変”であった。



 まず一つ目、彼女半裸である。申し訳程度に白衣を羽織っているものの、それ以外は何も身に纏っていない。ちなみにおっぱいはめっちゃでかい。最高じゃん。



 次に二つ目、水色の髪の毛がぼっさぼさで伸び散らかされている。幸い、伸ばした髪によって彼女の半裸の体のうち見えてはいけない所が良い感じに隠されている。おそらく彼女白衣を羽織っているのは自身の髪の毛が体に当たってちくちくするのを避けるために違いない。



 ということは、髪の毛さえ切ってしまえば彼女は…………これ以上はやめよう。初対面の女性相手に何を考えているんだ俺は。



 そして最後に彼女はフラスコのようなものの中で爆発を発生させていて、当然それは爆発の威力に耐えきれず破壊されるのだが、彼女の体に一つの傷もついていないのである。



 確認できたのはそれだけだった。なぜならその後すぐにライラ先生の魔法によって目隠しが入ったからである。まあ、十歳の子に見せていい代物ではないよね。そして同時にライラ先生の溜息が聞こえた。



「マツバくん。ちょっと待っててね」



 ライラ先生はそう言うと教室の中へ入っていったようだ。大人しく待っていること数分くらい、目隠しが取られた。



 そこにはとりあえず服を着た(着させられた?)彼女が不機嫌そうな口のとがらせ方をして座っていた。顔の上半分は伸びた髪の毛によって邪魔されて見えない。



「ライラちゃん酷い…………勝手に入ってきて邪魔するなんて!」


「そんな格好でいる貴女が悪いんですよ。それとライラちゃんではなく、ライラ先生と呼びなさい」


「ふ~んだ!やだよ~!」



 いくつ年上かも分からないライラ先生をちゃん付けで呼ぶとは恐れ入った。度胸があるのか、それともただ子ども過ぎるだけか。今のところ後者に見える。



「マツバくん、待たせてごめんなさいね。紹介するわ。この子はリヴァディア=ブライトン。きっと貴方の助けになってくれるわ」


「え~!やだやだ!なんであたしがそんな面倒なことをしなきゃいけないわけ~?」


「そんな風には見えないんですけど」



 名前から貴族である事は分かるのだけれど、どうも貴族らしからぬ様子である。



「リヴァディアさん。彼に力を貸すことは貴女にも利があると思います。マツバくん、先ほどと同じようにしてみてくれますか?」


「あ、はい」



 先ほどと同じというと、ボヤを出せばいいのだろう。頼まれたとおりに魔力を操って炎が犬を形作る。



「……………………は?」



 全く興味がない様子の彼女は仕方なしといった感じでこちらを見ていたが、ボヤを見た瞬間、唖然として僕を見ていた。おそらく、僕という存在が彼女の目に映ったのは、ここが初めてだったに違いない。



 彼女はおそるおそるボヤに近づいて、急にその手をボヤへと突っ込んだ。当然彼女の腕は窒素の膜を貫通し、炎へと到達する。火傷は必至だった。



「は!?」



 これには俺も度肝を抜かれて、思わず魔法を解除してしまった。



「「何してるんだよ!?(の!?)」」



 二人の声が重なる。どうやら彼女には魔法を解除したことがお気に召さなかったらしい。



「どうして消しちゃうのよ~!!」


「危ないからに決まってんだろ!?馬鹿じゃねえの!?」


「大丈夫だって!右腕の一本くらい!」


「んなわけねえだろ!ってか腕大丈夫か!?見せろ!」



 俺は取り繕った上辺が剥がれるのにも気づかないほどに焦っていた。こんなつまらない理由で人を傷つけたことにされてはたまらないからだ。



 思わず彼女の手をとって見ると、そこには火傷の跡一つなかった。安堵すると同時に疑問が浮かぶ。彼女の手は間違いなく炎に到達していたはずだ。



「なるほどなるほど…………全く分かんないなぁ」



 彼女の水色の目がきらめきを湛えたまま俺を見つめているのが分かる。どうやらロックオンされたらしいことは彼女のことをよく知らなくても分かった。



「それはこっちのセリフですよ。何故火傷していないんですか」


「君がその魔法の絡繰を教えてくれたら、教えてあげなくもないよ」



 なるほど交換条件というわけか。まあ、こっちの仕掛けについては教えても問題ないから、交渉に乗ることにしよう。



「リヴァディアさん、これで私の言っていたことが分かったかしら?」


「うん!これは面白いね。力を貸してあげなくもないかな~!」



 ライラ先生が話を軌道に戻す。そういえば俺はここに金稼ぎの方法を相談に来たんだった。ただ、彼女が何者なのか、それがまず気になるところだ。



「ライラ先生、彼女は一体…………?」


「ちゃんとした説明がまだだったわね。彼女はこの学園きっての天才で、世間からは彼女一人で魔法界を十年進歩させたと言われているわ」


「そうそう、あたしってば、天才なのだよ~!」



 どうやら俺みたいな紛い物ではなく、本物の天才との遭遇であるらしかった。

最近なろう作品のアニメをよく見てるんです。誰かオススメとかあれば教えてください。


あと、くっそ遅筆なのにブックマークとか評価入れてくれる人マジでサンキューです。

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