第17話
第17話
朝食後、ホムラたちは城下町へと足を伸ばしていた。
目的は、大会でのシャイレンドラの衣服の調達と、宝玉の探索だった。
当面の危機は回避したとはいえ、シャイレンドラが占いを行えなければ、この先どの道勝ち目はない。
この先も王位争奪戦を勝ち抜くためには、どうにかして宝玉を取り戻す必要があるのだった。
宝玉を盗んだのは、間違いなくアデルハイドだとしても、いつまでも宝玉を手元に置いてはおかないだろう。どこかへ持ち出すか、最悪すでに破壊している可能性もある。今後のためにも、それを確かめておく必要があるのだった。
話を聞いたレセルニアスも同行し、3人の宝玉探しが始まった。
しかし、道具屋、古道具屋、魔術師ギルドと、宝玉の情報が得られそうな場所を探し歩いたにも関わらず、宝玉の情報は結局得られなかった。
だが、朗報もあった。
それは、道具屋で別の占具を使っても、シャイレンドラが占いを行えなかったことだった。
もし精霊の宝玉が破壊されていれば、シャイレンドラは別の占具を使えるようになっているはず。そうなっていないということは、まだ宝玉は現存している。そのことが、ハッキリしたのだった
精霊の宝玉こそ見つからなかったものの、明るい希望を得て、シャイレンドラたちは王宮に帰還した。
「すいません。レセルニアス様にまで、余計なお時間を取らせてしまって」
王宮に帰り着いたところで、シャイレンドラは改めてレセルニアスに感謝した。
「い、いえ、お気になさらず。むしろ、おかげで、こうしてあなたとさらにお近づきに、いえ、なんでもありません」
レセルニアスは、気恥しそうに口ごもった。そのとき、
「レセル様!」
金髪の少女が、レセルニアスに駆け寄ってきた。上物のドレスで着飾った容姿は、見るからに貴族の令嬢だった。
「ロッテ殿、そんなに走られますと、転んでケガをしてしまいますよ」
レセルニアスは、ひとつ年下の公爵令嬢に、穏やかに声をかけた。
「だって、少しでも早く、レセル様とお話したかったんですもの」
ロッテがレセルニアスに笑いかけた。
「あ、紹介が遅れました。こちらは、アンダンテ公爵家の第1公女、ロッテ・ニナ・シルファ・アンダンテ殿です」
レセルニアスは、シャイレンドラに公爵令嬢を紹介した。すると、公爵令嬢の顔から笑みが消えた。
「……レセル様、どなたですの、この方?」
「彼女は、シャイレンドラ・アリスノート殿です。今度の王位をかけた勝負で、わたしの推薦候補として、お力をお貸しいただくことになった占い師です」
「まあ、そうでしたの」
ロッテは警戒を解くと、
「はじめまして、シャイレンドラ・アリスノート様。ロッテ・ニナ・シルファ・アンダンテでございます」
ロッテは悠然と自己紹介した。
「お目にかかれて光栄に存じます。シャイレンドラ・アリスノートでございます」
シャイレンドラもロッテに挨拶を返すと、
「では、レセルニアス様、わたくしはこれで」
レセルニアスが引き止める間もなく歩き去ってしまった。
「あ……」
名残惜しそうなレセルニアスを見ながら、ロッテの胸中にはシャイレンドラへの嫉妬の炎が燃え上がっていた。そして、同時に確信していた。
あの女は、レセルニアスの側に置いておいてはいけない女だと。




