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ただ、待つのみ  作者: ちょん
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 茨城県立水戸(みと)高校に入学した俺。家からチャリで二十分。四月九日の今日はその入学式だ。

まぁ〜、入学式といえば、「新しい友達できるかな〜」とか「どんな生活が待っているのだろう」とかみんなウキウキしてるに違いない。だが、俺にとって入学式とはそんな生温いものではない。やらなきゃいけないことがある。

 おおっと、その前に学生である俺がオタクってものを教えてやる。

 一つ、学生じゃなくてもそうだが自分が好きなことを恥じてはならない。

 一つ、イベントごとには欠かさず参加。

 一つ、好きなもののためには金を惜しまない。(お金がない時は別)

 一つ、家では勉強よりもアニメやゲーム、漫画、ラノベに時間を費やす。


 最後、語り合えるオタク友達が欲しい!!


 そう、この学校で俺はオタ友を作りたい。中学校の入学式の日、クラスで一番最初の自己紹介をした時に原稿用紙に書いてきたアニメへの熱い思いをスピーチしたのだがクラスみんなに引かれ、それが学校中に広まってしまい悪い意味での有名人になってしまった。だがそんな俺に一人だけ友達ができた。


「あの~。もしかして今読んでるその本ってラノベ?」

 ユウヤは前の席で本を読んでいる子に声をかけた。

「・・・」

 前の席の男の子が振り向いた。

「いや違うならいいんだ」

「この本ラノベっていうの?初めて読むからわからなかった」

「う、うん。たぶんそれ”イラストクリエイターズ”でしょ?。面白い?」

「まぁー、絵はきれいだし、セリフが多いけどキャラによってしゃべり方変えてるからわかりやすい。でもやっぱり、独特のストーリーもいいかな」

「そうでしょ! イラストって入ってるタイトルだけあって絵がめっちゃ綺麗でなんか引き込まれちゃうんだよね! それに加えて内容も完璧! 男だけのサークルで話が進んでいくと思ったらまさかの高三の始めに二人もかわいい女の子が参加して、サークル内恋愛に発展するとこなんてもう最高。・・・・・・あれ?」

 また、俺はクラスのみんなにひかれていた。

 でも、

「うっ・・・ぷぷぷっ、あははははh!!」

 思いっきり笑われた。

「俺なんか変なこと言った?」

「いや、ぷぷっ!その、ぶふっ!キモイなって」

「ひどくない?!」

 俺今めっちゃ傷ついたわ!まぁ、キモオタってのは認めるけど。

「みんなめっちゃ引いてるし!ぶふっ!あっははははははhhhh!!」

「いや、さすがに笑いすぎだろ」

「―――ネタバレもされたし・・・な」

「その件に関しましては本当に申しはけなかった・・・」

こうして俺と暁人(あきと)は友達になった。

回想終わり!


「え〜、皆さんご入学おめでとうございます。これから皆さんには新たな生活が待っています。さて、皆さんは......」

 さぁ、さぁ、入学式が始まった。校長が話をしているが今の俺はそんなの聞いてる余裕はない。今日この後行われるであろう自己紹介についてどのようにするか考えなくてはならない。しかし、どうしたもんか。浮かないようにして、オタ友をつくるために変なスピーチをするのはリスクが大きいかな?それなら、オタクの可能性があるやつだけに声をかければいいんじゃない?


「入学生代表、吉田咲です。今回はあたしたち入学生のためにこのような会を開いていただきありがとうございます。これから私たちはこの学校の一員となるわけですが......」


 いつの間にか入学生代表挨拶になっていた。どうせ、普通のスピーチをするだけだろう。俺なら、アニメの銘台詞を使うけどね。たとえば”イラストクリエイターズ”で言うなら『おれたちは、何のために絵を描いている?周りから評価してもらうため?それとも、ただ頼まれたから?違う。俺たちは自己満足のために絵を描いているんだ!!』って言ってやる。ちょっと変えるけど。


「・・・・・・わたしたちはなんのために勉強してきたのですか?」

 ん?

「周りから評価されるため?それとも、ただ親に勉強しろって言われたから?違います。私たちは自己満足のために勉強してきたのです!」

「ぶふっ!!」

 言いやがった!!あいつ言いやがった!!まさか本当に言うとは思わんかった。

「これで入学生代表挨拶を終わります」

 みんなに拍手されながら彼女は一礼して階段を下りていった。

 俺は吉田咲というやつになにか同じものを感じた。

これからもよろしく

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