森の狩人
最近不思議に思うことがある。
ラット達の動きが活発なのだ。
仲間にそれを話すと
「ラットなんて獲物にならねーもの見てねーよ。」
と言われたが。
人王領。
魔王が管轄する領ではあるが住んでいるのは人間が多い。
彼女、人王ハーティ ディザスターも元は人であり強力な魔力と不死とかした身を持ちその美貌から傾国の美女とも言われている。
そんな彼女は数百年前にこの領地を管轄していた王を殺し王妃と交わり子をなしたというのを聞いたことがあるがどこまで本当かは分からない。
そもそも女と女が交わって子がなせるのか?という疑問もある。
さらに言えば今でも政治のメインは王族がしている。
その王族はハーティの血を引いていると言われているが一介の狩人たる俺には分からないことだ。
数百年前なので、これは聞いたことだが昔と比べて税などは安くなっているという。
また、奴隷制度は無くなり各村には学校が作られたらしい。
奴隷制度はなくなったが奴隷のようなものは残っている。
なんでそれが残ったなんかは知らないが今でも人身売買で生活を立てている者もいる。
さて、冒頭のラットの話だ。
俺は狩人をしている。
森に入り獲物を狩るがその時に森の様子を注視している。
危険な魔物がいる時は様子が変わったりするからだ。
ラットなど弱い魔物は特にその辺に敏感なのである。
そのラットだがここ最近はある方向に走ってることが多い。
何びきかなら偶然だろうが数日に分けて何回もとなると話は変わってくる。
今日はその方向に向かって森を探索していく。
途中魔兎などを狩りつつ森の奥に向かう。
向かうにつれて獲物の数が増えているような気がした。
途中、魔狼達とぶつかる。
複数に当たってはさすがに辛いので彼らの苦手な匂いを放つ煙幕で撒いた。
…これ以上は危険か?
そう思ったが疑問を解決しないと気が済まない達なのでさらに奥に向かう…。
「行き止まりか?」
最奥だと思われる場所。
俺はあたりを見回した。
何かあると勘は告げているがしかし何も見つからない。
「鈍ったかな?」
そう頭をかいた。
とはいえ、獲物は十分捕らえているしこの辺りは獲物が多いこともわかった。
仲間の狩人と来れば魔狼も問題ないだろう。
そう思い俺は村に帰ることにした。
視線を感じて振り返る。
白い蛇がこちらを見ていた。