チュートリアルを始めましょう(3)
蛇系ダンジョン。
「さて、さすがにスネーク1匹では防衛にはなりません。」
「なってるけど?」
さっきからちょこちょこラットが来るがハクが食べてくれている。
「なら、召喚の方法は教えなくていいわね?」
「嘘です。ごめんなさい。教えてください。ハーティ様。」
私が手を合わせてそう言うと仕方ないと言わんばかりのため息をついて彼女は言う。
「召喚は魔術です。とはいえ誰でも実はできます。」
「そうなんですか?」
「ええ、それなりの魔力があれば…ですが。」
なんか察した。
「つまり私にはそれがないと…。」
「と言うより持ってないのが普通なのですけどね。」
そうでなければこの世は魔術師ばかりですよ。とハーティ様は笑う。それはそうかもしれない。
「ですが、あなたはイリスと繋がってますのでイリスに魔力を貯めておけば使うことができます。」
そう言うとハーティ様はどこからか本を取り出した。
「この本のこのページの文を読んでみなさい。」
私は渡されたページを見る。
…私文字読めないんだけど。
村には学校はなく識字率は数パーセントだった。
簡単な足し引きはできるが文字は読めなくても話せるので生活に差し支えはなかったが…。
と不思議なことに本が読めた。
「なんで?」
私の言葉にハーティ様は首をかしげた。
「どうかしたの?」
「私文字読めるんですけど。」
「読めるのは普通ではないの?」
彼女は、そういうが最低でも聖女領の田舎は読めない方が普通だ。
そう話すと
「聖女領は遅れてるのね。」
と彼女は言う。
よほど戦火が激しくない限りハーティ様の領では読めるようになっているらしい。
「計算も文字もかけて人としてやっていける。」
それがハーティ様の考えらしい。
私は感心しながらも文字を読んでいく。
「蛇よ。私の声に答え、ここに来たれ。」
と魔法陣が展開されていく。
その中心には蛇が何びきかいる。
スネークなのか、魔蛇なのか。
私にはわかりかねる。
「魔蛇。5匹が召喚されました。」
イリスが淡々と告げる。
「残り魔力は900です。」
…蛇1匹にどれだけ使ったの?
「10となります。」
へぇー。と魔蛇たちを見るとハクにしめ上げられてた。
物理的に。
何やってるの!?
「上下関係を叩き込んでるのではないかしら?…スネークにそんな知恵あったかしら?」
ハーティ様の分析。
本当ならハクは結構委員長気質なのかもしれない。仕切りたがり的な。
暴力に訴えてるあたり番長かもしれないが…。
私は渡された本の表紙を見る。
爬獣召喚の書と書かれている。
魔導書って初めて見たな。
「この数あればラットなら大丈夫かしらね。」
ハーティ様のお墨付きを頂いたので次のに進めそうだ。