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指が痛い

また、マニアックな内容になりすいません



 傷心気味のヒナコが、作業室に(こも)ってまだ3時間程度なのだが、さっそく銃の改造が終わったようだ。


「まだ一丁だけですが見てくれますか?」


「その前に、食事を取れとタカシさんは言ったぞ」


「はい、じゃあ急いで食べます!」


「ゆっくりちゃんと食べるんだ」


 タカシさんの言葉を聞き入れた、ヒナコは渋々ながらも食卓に座り食事を始めた。


「食事を温め直すかヒナコ?」


「いえ、サイ〇リヤみたいで美味しいです」


「ははっ 本当にサイ〇リヤが好きなヒナコは」


 そんなヒナコの食事風景の中、黒く美しい毛並みのアルが食卓の上に飛び乗った。


「ダメでしょ!! そんな悪いアルはパパ知りまちぇんよ!」


「アッ~~~」


「ほら! 五郎も見てるよ! お兄ちゃんなのに恥ずかしいわ~~」


 タカシさんは一人暮らしながらも、食卓の上で、お一人鍋をするのが好きで、アルが近づくと危ないので禁止していたのだ。


 タカシさんに叱られたアルは鼻の頭にしわを寄せて一言


「アッ~…………」


 と鳴きテーブルから降りて、廊下に消えて行った、居間にでも行ったんだろう、その後を五郎が慌てて付いて行くのが見える。


 どうやらアルは機嫌を壊したようだ、廊下を歩くアルは付いて来る五郎の姿を見て、確かに(つぶや)いた。


「アルお兄ちゃ…………」


 そんな呟きを知らないタカシさんは、頭を書きながらヒナコに苦笑いの表情で。


「アル、機嫌悪くしたってさ」


「本当に可愛がってるんですね」


「まあ家族だからな、アルの機嫌直しに行って来る、食事が終わったら居間に来てくれ」


「わかりました、機嫌が早く直ればいいですね」


 タカシさんは足早に居間に行き、アルの姿を見つけると。


「アルさっきはゴメンな、機関車トーメスでも一緒に見ような」


「アッアッ~~♡」


 アルに対して、しつけも大事だがいまいち、しかり切れない甘いタカシさん、アルのお気に入りのDVDを棚から出しプレーヤーに入れる。


 しかし、機関車トーメスはツボに入る、あの顔が正面を向くだけで、コッチ見んな的な笑いがこみ上げてくる。


「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ~~~!!!」


「アッひゃひゃひゃひゃひゃ~~~~!!!」


「ワフ~??」


 タカシさんの膝の上で、爆笑するアルを五郎は不思議そうな顔をして見ている。


 五郎にも、いずれこのシュールな笑いの良さがわかるさ。


「あひゃ 連結しながらコッチ見んな~ あひゃひゃ」


「アッアッひゃひゃひゃ♡」


 機関車が連結しながら、この角度のドヤ顔はたまらない。


 こんな世界になっちまったが、家族でこんな日常的な空気と幸福感を感じれる事ができるとは。


「楽しそうですね」


「おう! ヒナコも来たか、コッチ座れ」


「その前に武器の説明をしたいのですが」


「…………そうだったな」


 食事が終わり、居間に来たヒナコは片手にライフルを持っていた、あれが改造した猟銃なのだろう。


 ハイパワーな猟銃エアライフルである、ウルバリンをどう改造したのか気になるタカシさん。


 ヒナコがタカシさんを搬入用の倉庫にあるバイクの前まで連れて来て説明を始める。


「まず、バイクを見て欲しいんですが」


「ああっ! タカシさん号がデラぶっさいくに!!」


 バイクのリアシートに、業務用中型エアコンプレッサーが固定してある、いつの間に…………


「このエアーが出るホースのコネクタを、ライフルに接続して使ってもらいます」


 エアコンプレッサーのホースをライフルに接続して、使用すると今までのエアライフルの威力が12倍程度にパワーアップしてるとの事だ。


 無論、エアーライフルの耐久性が持たないので、各部を強化してあるらしい。


 威力が12倍って、どんだけの圧力をかけるんだろうと圧力計を見ると、ペンキで黒く塗りつぶされている、見るな、気にするなって事だろう。


「大まかに理解はしたが、これではバイクの付近でしかライフルが撃てないじゃないか? 普段は通常通りライフル内にエアーを補充して使うのか?」


「いえ、通常時の時は、この小型のエアータンクを腰に装着してもらい、ここからエアーを取り込むのですが小型ですので威力は4倍といった所です」


 なるほど、小型のエアータンクを腰のベルトに通して、ホースをライフルに装着するわけな。


「なあヒナコ、エアータンクは回収した物品の中にあったが、エアコンプレッサーはどうしたんだ?」


「作業室に沢山あった物の、一つを使わせてもらいました」


「なるほどね、修理保全用に色々と置いてあるからな」


 ヒナコの父親のファイルに目を通した時は、凄そうな物としか認識してなかったが、改造後の実物を見ると凄さを実感する。


 ヒナコの父親も、火薬が使えない世界を想定してこんな設計図を残すとは、本当にただのマニアか疑問は残る。


 時刻は9時半を回った所だ、ヒナコの姉のユカさんが張り紙を見て自宅に居る可能性もあるので、様子を見に行きたい。


「ヒナコ、あのなユカさんが自宅に戻っている可能性があるから、少し様子を見てくるな」


「じゃあアタシも行きます!」


「う~ん、ヒナコはアルや五郎の面倒でも見ててくれよ」


「わかりました、あの子達の面倒を見ながら残りの作業も進めます…………」


 ヒナコは、自分が足手まといな事に気がついているから、ワガママを言わないのだろう。


 賢く、物分かりが良すぎる子なので、逆にタカシさんが気を使いそうになる。


 ヒナコは、ライフルの最終チェックをしている試し撃ちもまだなので不安もあるのだろう。


 タカシさんはベルトにエアータンクとポーチを装備する、ポーチの中には装弾済のマガジンが20個入っている。


  そして、ヒナコからチェックの済んだライフルを受け取ると、タカシさんはバイクのエンジンを回し。


「そんじゃあ、ちょっと行って来るわ」


「色々とすいませんタカシさん、アタシの姉の事なのに」


「気にするなユカさんは、Gカップなんだろ」


 そう言葉を残しタカシさんは搬入用のエレベーターから地上に昇って行った。


 このシェルターから、ヒナコの自宅まで3キロ程の距離だ、化け物がいなければ20分もあれば帰ってこれるだろう。



 いなければだが…………



 バイクを走らせること6~7分でヒナコのマンションが見える位置にまで来てバイクを停止させた。


 前回は道もわからず走ったため、時間がかかったが今回は最短時間で来れたと言っても間違いじゃない。


 最短でこれたのは良いが問題が一つある、この先の道に緑色の化け物が二匹いるのが見える事だ。


 いつまでも緑色の化け物ではアレなので、今後はゴブリンと呼称しようと思う。


 タカシさんは、バイクにまたがったまま、サイドカーに置いてあるライフルを手にして、リアシートのエアコンプレッサーからホースコネクタをライフルに装着した。


 エアコンプレッサーのスイッチを入れると、静音タイプな為かエンジンが響く音と、重なってもさほど気にならない。


 距離は目測で60m前後だ、ゴブリンがバイクのライトに気が付きこちらに向かって来るのが見える。



 タカシさんは、ライフルをコッキングして構えスコープごしに狙いを付ける。



 深く息を吸い呼吸を止めて、1・2のドン



 引き金を引くと、パァンと乾いた銃声の元、銃弾がゴブリンの横をかすめた。



 外した!



 バイクにまたがりライフルを撃つ姿勢は、膝射(しっしゃ)と呼ばれるスタイルに近い。


 膝射(しっしゃ)とは、小銃の射撃姿勢の一つで、片ひざを立てて座り、その上にひじをのせて射撃をする事なのだが。


 安定感がある反面、銃口が左右に揺れやすいので、ゴブリンの横をかすめたのだ。


 なっ何だ今の銃声は! 弾の初速度が音速の壁を破った音だ。


 火薬の実銃でも、弾が音速の壁を破るからパァンと銃声が鳴るのだ、火薬の発火音じゃ銃声はしないもんなのだ。


 以前、動画で化け物みたいな、アメリカ製のエアライフルの弾が、音速の壁を破り銃声のする動画を見た事があるが。


 こいつはそれ以上の代物だ、問題点は反動が強すぎる事だろう、この威力でライフルの耐久性は平気なのか?



 タカシさんは素早く次弾を装填して、ゴブリンの頭部を狙い撃つとゴブリンの頭部がはじけ飛んだ。


 続けて残りのゴブリンの胸部を狙い撃つと銃声の後、胸部に風穴が開いた。


 確かにスゴイ威力だ、だが好きか嫌いかで聞かれれば、好きになれそうもない。



 指が痛てぇんだよ…………



 大口径のマグナム弾でも、撃ったような痛みだ。


 タカシさんがアメリカ勤務の頃、会社帰りに通っていた本場のシューティングレンジで、撃ったマグナムの経験だが。


 グローブ無しで撃つと、20発で引き金を引いた指の感覚が無くなり、50発で指の皮膚が裂け血が滲む。


 そんな話をすれば、海外旅行で射撃場に行った経験の人には、笑われるかもしれないが。


 観光用のシューティングレンジの弾は、弱装弾と呼ばれ火薬の少ない弾なのだ、観光客に気持ちよく的に当ててもらう配慮の一つだ。


 そんな痛みは好きく無い、今度からグローブしよ…………


 周囲を警戒すると化け物の姿は他に、見当たらない。

 

 ライフルのスコープで、ヒナコの自宅マンションを見ると上層階の踊り場にブタ鼻をした、毛の無いゴリラがチラリを見えた。


 銃声に驚き様子を見ているようだ、残念ながらここからでは死角になり、バイクの上からでは狙えない。


 向かいの3階立てのマンションを見ると、都合よく屋上から縄はしごが垂れ下がっている。


「あそこなら狙えるか…………」


 向かいのマンションの縄はしごを登り、屋上に着くと、屋上の地面に大きくSOSの文字が書かれている、ここにも避難民がいたのだろう。


 タカシさんは、タバコに火を付け一服しながら、屋上に転がっていた缶コーヒーの空き缶を拾い。


 空き缶の上にタバコを立てて風の流れを読む。


「南風が少し強いな」


 向かいのマンションまで100… 嫌120mといった所だろう。


 今はバイクのコンプレッサーは使えないので、腰に装備している小型のエアタンクのホースをライフルに装着して。


 狙う距離も距離なので、プローン(伏射)の姿勢を取る。


 寝そべってライフルを構える姿勢は、安定して楽な体勢に見えるが、基本3姿勢の中でも一番しんどい。


 左ひじ、右手首、首、肩全てに負担がかかり結構痛い。


 この猟銃ウルバリンにも、伸縮性のバイポット (二脚)があるが、競技者の悲しい習性が使用を拒むのだ。


 使えば、体は楽になり射撃も安定するのは、理解してるけど、何か気持ちが悪いの。


 そんな訳で手をプルプルさせながら、向かいのマンションに狙いを付けると、数が増えてやがる!


 20匹近い、ブタ鼻ゴリラが、もういいオークって呼んじゃう! オークが少々興奮気味にウロウロしている、銃声が不味かったか。


 早速オークの駆除を開始するタカシさん、距離があるのでどうなるかは予想もつかないが。



 チャーシューメンと



 一匹目を狙い撃つと、パァンと銃声がして狙いが外れた。


 これ小型エアタンクの時は、4倍程度のパワーアップじゃないのか? 4倍どころじゃないぞ、また弾が音速を超えて銃声がしてるじゃない!


「どんだけ無茶なカスタムしたんだ? 銃が爆発とかしそうで正直怖いわ」


 少々不満を口にしながら、着弾地点を見て微調整をして撃つとまた外れた、意外と命中率が悪い。


 マガジンを交換して、再び撃つとオークに命中して倒れたスコープごしに見ても、絶命しているのが確認できる。


「こんな感じに当たるのか、バイクの時よりも威力は低いが十分な威力だな」


 一度命中させ感覚をおぼえたタカシさんは、目に見えるオークを次々と倒していく。


 10分程度で目に見えるオークを倒し切り。



 駆除完了だな…………

 


 

明日も18時頃を予定しております。 ヒナコの名前が、フナコになっており

大急ぎで編集しました、誰やフナコって!! 逆にきになるじゃない

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