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笑いのツボはそれぞれ

今話は、少なくて申し訳ない


 

 外の世界に出て、一日で少女ヒナコと子犬の五郎のお仲間ができ、シェルター内の雰囲気も少し変わってきた。


 備蓄倉庫を探したら、20年保存が効くドックフードの缶詰なんて物があり、五郎にあげてみたら喰いつきが悪い。


 他のペットフードは無いかと探すと、乾燥オートミールがあったのでお湯で練り上げて五郎に与えると、もの凄い勢いで食べ始めた。


 五郎が生後何か月かはわからないが、まだ離乳食が必要な時期のようだ。


 分量がわからず、ボールに入るだけ作ってしまったのだが、五郎は完食してしまった、逆にお腹を下さないか心配だ。


「五郎ポンポン痛くしてないか?」


「ハッハッハッハッハ ぺろり」


「そうなの? 大丈夫なんでちゅね♡」



 気を抜くと五郎相手に、赤ちゃん言葉を使っているタカシさん、ヒナコよそんな目で見るな…………


 お腹の膨れた五郎は、その場でクルクルと回り、凄いウ〇コをモリモリしている、タカシさんのする量より多いぞこれ。


 ウ〇コを処理する前に、健康状態を知りたいのでウンウンをチェック! 専門家ではないので虫がいるか? 何かマズイ物を誤飲してないかなどだが。



 うん………… マズイ物を誤飲していたようだ



 ウンウンを割り箸で器用にほぐすと、緑色の肉片の塊がある、消化不良でそのまま出て来たらしい。


 緑色の生物の死体でも食べた可能性が高いので、暫くは体調を壊してないか注意してみるか。


「さてタカシさん達も食事にするか」


「やった食事を待ってたんです、お父さんが備蓄していた缶詰は乾パンが多かったので、違う物なら何でも食べます!」


「ここにある食料も、ほとんど缶詰かレトルトだけど、そこそこウマイぞ」


「さっきのタカシさんが行ってきた、備蓄倉庫ですよね? 早く見に行きましょう、アタシも気になってたんです!」


 五郎を見るとスヤスヤとお眠なので、タオルケットをそっとかけて、ヒナコと備品倉庫に向かう。


「うわ~!! 何ですかコレ? テレビで見たア〇ゾンの倉庫みたいじゃないですか!」


「そりゃ全部は搬入が終わってないが、70人が5年暮らせる物資だからな、タカシさんも初めて見た時は驚いたさ」


「服もあるオシャレ……」


「服も好きにしていいが、まずは食事だ何が食いたい?」


 ヒナコは段ボールを開けて服を見ていたが、慌てて食料品の備蓄ゾーンに着いて来た。


「ドリアの真空パックがある! 冷凍のサラダも、ハンバーグまである! タカシさん、まるでサイ〇リヤですね」


「まあ金持ちがストレスを感じないように、数百種類の食材や加工食があるらしいからな、サイ〇リヤだな」


 ついヒナコの言葉を聞きサイ〇リヤ発言が、妙にツボに入ったタカシさん。


「タカシさんは、お金持ちなんですね」


「いや、タカシさんはテストモニターをしてたんだ、ここで過ごす環境によりストレスをどのように感じるか、健康状態に変化は無いかなどテストしてたのさ」


「そうだったんですか~ じゃあアタシがこんな所にいたらマズイんじゃないですか?」


「かまわないさ、どうせ誰も来ないだろ、来るならもっと早く来るだろうし」


 タカシさんはシェルター内にある、管理室からマスターキーと予備の鍵はすでに頂いてる、ついでに電子開錠の暗証番号も変更させてもらっている。


 ネットやテレビが止まって48時間たった頃、建築会社も管理会社も対応不可な状況にある事を懸念して、すでにこのシェルターを私物化していたのだ。


 モニター段階だったとはいえ、マスターキーや電子開錠のマニュアル説明書を置いて置く、危機管理のなさに少しあきれるタカシさん。


「タカシさん! エビ! エビですよ!!」


 冷凍庫に行っていたヒナコが、五郎ほどのサイズのエビを頭の上まで(かか)げ上げて、タカシさんの元へ走って来た


「おお~ でっかいエビだな! それでエビフライでも作るか?」


「ここまで大きいと大味なので、茹でて食べましょう!」


 子供らしかぬしっかりとした意見だ、タカシさんがアホに見えてきたぞ。


「そういえばヒナコは何歳なんだ?」


「12歳ですよ」


「12歳!? ランドセルか? 随分としっかりしてるから中学生くらいと思ったぞ」


「しっかりしてますか? 両親の仕事が忙しくて一人でいる事が多かったので、そう見えるのかな?」


 いや十分すぎるぐらいに、しっかりしているだろタカシさん予想では14歳で、後二年でお嫁に行ける歳かなと思っていたが、言葉に出せないタカシさん。


 イヤ別に14歳が好きなわけではなく、14歳という言葉の響きが好きなのよ、何か14歳って特別感があるじゃない。


 食材をカートに入れて自室に戻り、遅い時間なので軽く調理して。



 ごきげんな夕食です…………



 タカシさんは茹でたエビを、スクっと切りわけ



 ガプ・・ と噛みつき



 ナポ・・ と口に入れる



 モニュ・・ モニュと噛みしめ



 ゴキュ・・ と飲み込む



「次はTボーンステーキだ…………」


「誰に喋ってるんですか、タカシさん?」


「気にするな、ヒナコも沢山食え」


 ヒナコは不思議そうな顔していたが、食事を続けながら。


「そう言えばタカシさん、頂きます言いました?」


「…………イヤ言ってないな」


「ちゃんと言いましょうよ」


「そうだな、少し遅れたが、頂きます」


 食事前に頂きますなんて、一人暮らしが長すぎて忘れていたぞ、ヒナコは本当にしっかりした子なんだな。


 タカシさんは、Tボーンステーキを手づかみで口入れ、骨ごとバキバキ食べると、ヒナコは目を丸くして。


「Tボーンステーキって、骨まで食べる物なんですか?」


「ああ様式美であり、テーブルマナーだぞ」


「そうだったんですか、ではアタシも………… 無理です骨が噛み砕けまひぇん」


「子供は無理すんな、大人の食べ方だから気にしなくていいぞ」


 Tボーンステーキの骨が噛み砕けずに、涙目のヒナコにアイスティーを差し出すタカシさん。


 久しぶりに和やかな食事をしたタカシさん、誰かと食べる食事も悪くないと思える。


「ああそうだ、食後は風呂にでも入れよ」


「お風呂あるんですか!? 家に居た頃はお風呂も沸かせず入ってないんです!」


「そうか苦労したな、ゆっくり入ればいい」


 ガスが使用できても点火するのは、電気なタイプの風呂だったのだろう、まあ今時は電気で点火するタイプが主流なんだが。


 風呂場に行くヒナコを見送り、タカシさんは今日の収穫物を確認する。


 警官から頂いた拳銃とホルスター それと実はヒナコの父親の部屋から拝借したファイルがある。


 ファイル名が、私が考えた最強武器だったので、少しこじらせた父親だったのだろう。


 普通なら黒歴史なので封印しておく(ぶつ)なのだが、少し内容をみると実用性がある設計図に見えたので、持ってきたのだ。


 実に終末世界マニアらしい一品だ、自室の横にシェルターの保全修理のための、作業室があるので移動をしてみる。


 CADや旋盤、溶接設備、保全資材などが所狭しと並んでいる。


 ヒナコの父親のファイルを見ても、素人のタカシさんには作れないのだが、拳銃の加工は出来そうなので、来ているのだ。


 拳銃を万力に固定して、電動サンダー でグリップ部分を一回り小さく加工する。


「うん、イイ感じだな! やはり日本人の手には少し大きいんだよな」


 拳銃のグリップを握ると、しっくりきて手に馴染む。


「後は発射機構か…………」


 リボルバー拳銃をバラシ、各部を加工して簡単なギミックを取り付け完成!


 早速、試し撃ちとばかりに、拳銃のハンマーを下ろし引き金を引く!!



 ニュルン…………



 ぺしょ…………



 日本警察が古くから使用していた、ニューナンブ60の銃口からニュルンと、ところてんが発射され、地面にぺしょっと落ちた。


「あひゃひゃひゃひゃひゃーーーー!!!」


 クククッ 実に滑稽だ、50年近い配備実績のある拳銃から、ところてんって、笑いが止まらない。


「あひゃひゃひゃひゃひゃーーーー!!!」


「何してるんですかタカシさん…………」


「いや、たんなるお遊びです気にしないで」



 酢醤油味なんだぜ…………



 湯上りのヒナコが、冷たい視線でタカシさんを見つめている。


「タカシさんって、少しお父さんと同じ臭いがする…………」


「かっ 加齢臭かいヒナコさん?」


「じゃなくて、同じタイプの人に見えるって事です」


 じゃあイイ男なんだな…………




次話は、明日の18時を予定しております

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