怖いのは人
少し投稿時間が遅れましたw何とか書き終えたのですが、一発書きで今回も荒い文章なのはご勘弁下さい、後で必ず時間を作り修正しますので
タカシさんは、今まで一時の感情に身を任せて行動する癖があり何度も反省をしているが、今回は違う冷静に自分の意思で行った行動だ。
まともな正義感や倫理観なんて物は、持っちゃいないが子供が傷つくのだけはいただけない。
「聖・吉田様! 貴様何んて事をしてくれる~んだ!!」
「安心しろ、お前も後で殺してやる……」
タカシさんは、喚く男の横を素通りして配送センターの住民達に声をかける。
「もう一度言うぞ、子供を殴ったクソ野郎はどいつだ?」
「なななっ 何を言ってるんですか! 子供に暴力を振るう非常識な人間は、ここにはいませんよ!」
タカシさんが配送センターの住民を睨みつけると、代表者のジジイを含め数人の大人が下を向いている。
複数人いたようだ、まともな世界なら良き父や母、まともに働いて社会に貢献している、常識から外れない大人たちだったのだろう。
後方で震えている子供達の身内も、この大人達の中にいると思える、顔にアザがある少年と住人の男の顔があまりにも似ている、親が子を殴ったとすればやりきれない。
そんな事を考えていると、背後から足音と共に。
聖・吉田教団の男がナイフを片手に迫って来る声が聞こえる。
「聖・吉田様の敵討ちで~す! 死になさい背教者~!!」
「今死にたいのか?」
タカシさんは、ナイフの刃先が体に触れる寸前に、体を反転させ釘打ち機のトリガーを引き男の胸を討ち抜いた。
至近距離で撃ち抜いたので、男の胸部を貫通して釘が背後の木に刺さるのが見える。
ギリギリだったな……
感触的にこの釘打ち機の特性を判断すると、射程距離はせいぜい10m前後が限界なようだが、接近戦では十分なアドバンテージを誇る武器に仕上がっている。
吉田教団と思わしき集団は残り4人か、全員が一度に襲ってきても対処はできるが厳しい物があるな。
タカシさんは先程、胸を撃ち抜いた男の死体を蹴り上げ声を上げる。
「右の頬を殴られたら、左の頬を突き刺せだったかな!」
そう言葉を、吉田教団の男達に向けて告げながら、腰から抜いたナイフで教団員の死体の頬を刺す。
こちらの釘打ち機という戦力はすでに見せている、さらに徹底抗戦する意思を教団員たちに、見せつける意図があるのだが奴らどう動く?
タカシさんの常軌を逸した行動を見ている、教団員たちと視線が交差する。
やがて教団員の一人、キツネ目の男があきらめるように声をだした。
「わかった降参だ! 俺らは引くから襲って来るなよ!」
「大人しく引くなら、こちらからは攻撃はしないが、ここに再び来ないと誓えるか?」
「ああ誓うよ、アンタとは殺し合いをしても割りに合わない」
「ならさっさと行け……」
教団員たちが完全に見えなくなるまで、見送ると背後にいる配送センターの住民は安堵の表情を浮かべ笑みが見る。
どれだけおめでたい連中なんだと、思うタカシさんは。
「何、気を抜いてんだボケ! 次はお前らの番だ頭が膿んでんのか!!」
「えっ? 助けて頂けたのでは無いのですか?」
「そんなわけあるか! 次はお前らだよ!!」
喉元過ぎれば熱さを忘れるなんて言葉があるが、教団員たちが去り自分達の身が安全なんて、保障がどこにあるんだと言いたい。
住民代表のジジイの言葉にも平和ボケもここまで来ると笑えない、身勝手を凝縮したようなジジイだ、無抵抗主義を掲げその裏では鬱憤を晴らすために子供を殴る。
「今から子供を殴った奴を殺す、まずはジジイお前だ」
「ひぃぃい~! 私は殴ってないぞ! なぐったのはあそこにいる連中だ! 殺すならあいつらにしてくれ」
「ほほぅ~ ジジイお前は子供を殴ってないんだな? そこのお前ら、そう言うわけで死ね……」
タカシさんが住人たちを睨みつけ、釘打ち機を向けると。
先程、タカシさんに責められ下を向き俯いていた大人数人が、次々と声を荒げだす。
「ウソ言ってんじゃねーよ! イラついて殴っていたのはお前だろ!」
「何言ってるんですか! 私は殴ってませんよ! むしろ止めに入ったではないですか!!」
「責任とって代表のお前が死ねばいいんだー!」
そんな住人の会話を聞いてると、住民代表のジジイも顔を赤くして口角からツバを飛ばしながら、責任の所在を擦り付け合う大人たち。
どちらが殴ってないでは無く、どちらも子供を殴っていたように聞こえる。
タカシさんとて殺人鬼じゃない、怒りのあまり殺すと発言したが、お灸をすえる程度で済ませる気でいた。
本気で殺してやろうかとも考えたが、殴った大人たちの中に子供の身内がいるっぽいので、いくら酷い親でも親は親、子供の目の前で殺すのは忍びない。
住人たちの中には、このくだらない言い合いに参加してないまともな大人も結構な数いるようなので、後は彼らに任すか。
ガチンッ ガチンットリガーを二回引くと、代表者のジジイの両足を釘を地面に縫い付けタカシさんはこの場にいる大人全員に聞こえるよう大声で告げる。
「あひゃああー! 足が足がーーー!!」
「いいかお前ら! 今後は子供を殴るな! また後で様子を見に来るが、その時子供に生傷が増えてたら皆殺しにするぞ!」
そう言いながら、住人の顔を一人一人見渡し、釘打ち機を向ける。
見せしめのために、ジジイの両足を撃ち抜いたが、この程度の脅しをしておかないと、同じ間違いをするバカ共に見えるのでしかたがあるまい。
後は、良識のある連中に任せればいいだろうと、住民たちに背を向けバイクを駐車した地点に歩き出すタカシさん。
背後から、少年の声と思える声が聞こえた。
「オジサン! ありがとうーー!」
タカシさんは振り向きもしないで、片手をあげその場を立ち去った、子供のケアや食料事情を確認しないままだったが。
出会う子供の全てを助けてやる事はできない、こんな世界だ地力でこの苦境を乗り越える事も、必要だと考えるのはズルい考えだけど、しかたがないだろ……
◇◆◇
バイクでシェルターに帰還する道のりを疾走するタカシさん。
心がすさんでカサカサだよ、嫌な物を見ちまったな…………
「あっ 肝心なガスボンベを忘れてたわ………」
ユカにお使いを頼まれガスボンベを探しに配送センターまで行ったのだが、今更、戻るのも気が引ける。
帰りの道々にある商店を回って帰るか。
そう思っていた時期が、タカシさんにもありました。
道路に横転している、トラックのロゴを見ると、あの配送センターのロゴが入っている。
バイクを停車させ、横転しているトラックのコンテナを開けると様々な品の段ボールが積み込まれている。
「段ボールがこれだけあるんだ、一つくらいガスボンベの段ボールもあるか?」
トラックのコンテナから、段ボールを一つ一つ降ろすタカシさん、途中ミネラルウォーターの段ボールを発見したので。
段ボールを開け、ミネラルウォーターを取り出すと硬水の水のようだ口に合わないが、たまにはいいかと栓を捻り一口飲む。
「美味いな……」
緊張感が抜けずに喉が渇いている事にも気が付いてなかったようだ、もう一口飲んで頭から水を被るタカシさん。
「生き返るな~」
最近の暑い気候のせいか、汗ばんだ体が一気に冷えるのが心地いい。
中断していた作業を再開すると、一箱だがガスボンベの段ボールを発見することができ一安心だ。
「これでユカに嫌味を言われんですむな」
バイクに段ボールごと運び、荷台に固定してエンジンを回すバランスは悪いが、走行には支障が無いレベルなのでアクセルを絞りバイクを走らせると。
ゴブリンが十~数匹、南に移動している、タカシさんの進行方向に姿があるので通行の邪魔である。
バイクのハンドルに、これ見よがしなボタンが付いている。
このボタンって説明は聞いてないが、アレのボタンだよな…………
バイクの速度を緩める事無く、ゴブリンの群れに直進しながらボタンを
ポチっとな…………
バイクの左右に設置された連発式クロスボウから、サブマシンガンのように大量の矢が飛び出る。
進行方向にいたゴブリンを一瞬にして、ハリネズミの様な姿に変えながらバイクはゴブリンを追い越していく。
バックミラー越しに、ハリネズミの様なゴブリンの姿を見て凄い威力だと感心するが、バイクに装備しなくてもと心底思うタカシさん。
下品な装備だが役に立つ、でもな嫌なんだよバイクにこんな物付けるのはドゥカティなんだぜ、イタリアなんだぞ! 女にはこの浪漫が理解できないのだろう。
しかしアレだな、本当に怖いのは化け物じゃ無く人間の心が一番怖いわな……