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プロジェクト・タカシ

最近は、モールス信号変換アプリがあり助かりましたw



 隅田川の反対岸のホームセンターから、見える謎の点滅、規則性があるように思えてならない。


 モールス信号だろうと検討は付いてるが、あいにくタカシさんは解読ができない。


 解読ができない以上は現地に行ってみるしかない。


 上空からプロペラ音が聞こえて来た、子供らがドローンで追いかけて来たのかと、空を眺めるタカシさん。


 ドローンは無人のようだ、ヒナコが遠隔操作をしているのだろう。


 ドローンを見ると、荷物バンドに無線機が挟まっている、タカシさんはパジャマのまま外出して手ぶらなので、無線機もって来てなかったな。


 ドローンから無線機を受け取り、イヤホンを耳に入れるとヒナコの声が聞こえてくる。


「タカシさ~ん、聞こえてますか??」


「ああ感度良好だ」


「体調が悪いのに、黙って外出しましたね」


「もう体調は万全だから心配ないぞ」


 うん、怒っている声だ………


 お叱りは、後で受けるとして、まずは気になる発光信号の事だ。


「ヒナコ、怒るのは後にして、カメラで川の向こう岸に見える、点滅を見てくれ」


「点滅ですか? 今、確認します」


「光に規則性があると思うけど、何だかわかるか?」


「モールス信号ですね、父に教わったので簡単な物なら解読できるので、少し待ってください」


 さすが終末マニアの娘、この手の知識は助かる。


「--・・- ・-・ ---- --・-- --・- -・・・ ---- ---- -・-・ ・- -・--・」


 こんな感じに規則正しく、一定の間隔で、繰り返す点滅を見てヒナコが震える声で、解読結果を告げる。


「ひなこあねはここにいる…………」


「間違いないのかヒナコ…………」


「はい…… 間違いないです………」


 ユカさんが生きている、手がかりも無く時間を浪費する日々の中でやっと、ユカさんに会えそうだ。


 こんなに近くにいるのは、喜ばしいが、何故あの場所からモールス信号を送り続けている?


 あの場を動けない、何かしらの理由があるのかも知れない。


 とりあえず手ぶらはマズイ、タカシさんは無線でヒナコに喋りかける。


「大丈夫かヒナコ! 落ち着くんだぞ、今すぐ戻るから」


「はい、姉ですよね? 間違いないですよね?」


「ああ、多分だが間違いないと考えていい、何かトラブルがあり、あそこにいると思った方がいい」


「そのトラブルは、化け物ですか? 人間ですか?」


「わからん、すぐ戻るから、ライフルの用意を頼むぞ!」


 そう、交信を終えタカシさんはアクセルを回す、スピード違反なんて取り締まる人間がいない世界だ、大目にみて欲しい。


 スピードメーターは140キロを超え、パジャマが風を受けボタンが外れて。


 パジャマがバサバサとマントを、なびかせるように疾走するタカシさん。


 後輪を滑らせながらコーナーを曲がり、ハードラックと踊りそうな勢いである。


 シェルターに帰還に帰還すると、ヒナコが準備を終えて待っていた。


 ヒナコが用意していてくれた、洋服に着替え、破損しているが無いよりはマシと防弾チョッキを着用して。


 猟銃ライフルモンスーンの、点検を素早く済ませるタカシさん。


「ヒナコ、子供たちはどうしてる?」


「アタシの部屋で寝ているはずですが、起こしますか?」


「いや、そのまま寝かせておこう、ヒナコ準備はいいか」


「はい、問題ないです!」


 バイクBMWは故障して乗り捨てて、しまっている為にドゥカティに二人乗りでシェルターから地上に出かけた二人。


 ドゥカティには、サイドカーも、装備したエアコンプレッサーもない、後でBMWから回収してドゥカティにも流用できたらしたい所だ。


 後部シートにヒナコが乗車しているため、急く気持ちはあるが比較的、安全運転で目的地に向かっている。


 現地では、面倒なトラブルが待っているに違いない、自宅マンションに戻れない何かがある。


 楽に会えそうな予感がしない、ヒナコもシェルターに置いて来るべきだったか。


 一角との死闘を思い出し、二度と同じ思いはしたくないと、思うタカシさん。


 ホームセンターに到着して、エンジンを切ると辺りは静けさが漂い、逆に不気味な感じがする。


「不気味な感じがしますね、タカシさん」


「ああ、気を抜くなよ…………」


 6階立てのホームセンターの入口のガラス戸は、既に破られた形跡があり。


 誰かが侵入したのは間違いないだろう、店内に入ると月明りが差し込んで意外と明るい。


 店内は一階から6階まで、吹き抜け構造になっており。


 商品の大半が家具な、ホームセンター内は、木の香りがほんのりとしている、階段で二階に上がると空調が止まり、よどんだ空気に獣臭が交ざった臭いがする。


 ゴブリンを駆除した時によく嗅いだ臭いだ、化け物がいるのか…………


「ヒナコ、化け物がいる可能性が高いぞ」


「そうですね、この臭いですから注意しましょう」


 化け物との交戦は、なるべく避けたいので二階を散策しないで3階への階段を上るタカシさん達。


 音をたてずに、慎重に階段を上っていると、階段に寝転び熟睡している化け物の姿がある。


 随分とアンバランスな体形をした、化け物だなひょろっとし体形で15頭身はある、キャプ〇ン翼みたいだな…………


 タカシさんが腰からナイフを抜き、口を押さえて喉元を切り裂くと、ヒュコッと喉から空気が漏れ。


 抵抗する間もなく、化け物は息の根を止めた。


「ヒナコは見ない方がいい………」


「いえ大丈夫です、先を急ぎましょう」


 4階に上がると、先程の化け物、キャプテンと呼称すると決めた化け物が、フロア中にいる。


 幸いな事に、眠りこんでいるようなので、そっと階段を上り続ける。


 五階の踊り場に着くと、とうとう起きているキャプテンがタカシさん達の姿に気が付き、仲間に知らせるような警戒音を叫んだ。


「キィィィーーーイィィー!!」


「やかましいわ!」


 ドカッ!!


 タカシさんが、キャプテンに怒鳴り階段下へと蹴り落とす。


「ヒナコ! こいつら軽いし弱いぞ!」


「タカシさん、マズイですさっきの警戒音で、キャプテンが大量に向かって来ます!! 逃げ場がないですよ!」


「超、任しとけヒナコ!!」


「あっ タカシさんの鼻がニンニクみたいな形になってる?」


 弱い相手と知ってジャ〇キー顔なタカシさんは、展示してある商品の木製小型ベンチを持ち上げ、ヒュンヒュンとカンフースターのように素振りをすると。


「シルビア、離れるなよ!」


「ええ~ とアタシヒナコですが、離れません! これも様式美なんですか?」


「そうだ!」


 そんなセリフを言いながらタカシさんが、木製ベンチを振り回しながら、次々と的確にキャプテンを殴りつけ昏倒させている。


 ジャ〇キーに椅子を持たせるな、そんな言葉があるくらい金曜ロードショーファンなら、常識であり。


 男の子なら、親に叱られながらも、椅子を振り回す練習をするだろ?


「サモ〇~ン」


 ドカッ!


「ユン〇ョウ!」


 ドコッ!


 と奇妙な掛け声を出しながら、キャプテンを倒しつつ6階の階段を上り屋上の鉄扉を開けると。


「誰も居ない………… 」


「お姉ちゃん…………」


「建物のどこかにいるかも知れない、戻るぞヒナコ!」


「そうです、そうに決まってますよね、タカシさん?」


 その言葉に答えられずに鉄扉を開けて、階段に戻ろうとした時、階段の踊り場に置いてある、掃除用具の入ったロッカーが。


 ガタリと音を立てた気がする…………


 ヒナコを下がらせ、ロッカーをそっと開けると女性の姿があった。


「お姉ちゃん!!」


「ヒナコ! ヒナコやないか!?」


「お姉ちゃん助けに来たんだよ!」


「でも、化け物だらけで、出るにでられんわ」


 驚きを隠せないユカさんに、ヒナコが飛びつくように抱き付く、良かったなヒナコ……


 確かに、ここはどうやらキャプテン達の巣のようだ、タカシさんも随分と奴らをぶっ飛ばしたが、下の階にはまだ数多く残っている。


 脱出は厳しいのだが、ちゃんと脱出ルートは考えてある。


「再会の感動中にすまない、ルートは考えてあるんだが」


「そうや、アンタ誰なんや、どうしてヒナコとおるん?」


「お姉ちゃん! タカシさんはアタシを助けてくれた恩人なの警戒しなくて平気だよ、すっごく良い人だから」


「アンタ、タカシさんって言うんか、後で話を聞かせてもらうで」


 カワイイ妹とオッサンが居れば警戒するのはわかるが、そんな目付きで見なくても、いいだろうと思うタカシさん。


 タカシさんは姉妹を連れて、6階のフロアまで戻ると建物の真ん中にある、吹き抜けを見つめる。


 見つめる先には、天井から垂れ幕が垂れ下がっている、これに捕まり降りれば、3階まで一気に下る事ができる。


「二人とも、この垂れ幕に捕まって、3階まで一気に下りるぞ」


「無理や! 何ゆうてるの!」


「そうですタカシさん、さすがにこれは無理です!」


「浪漫を理解してない姉妹だな、タカシさんが怖く無くなる魔法の言葉を教えてやる、 ほら!急げ! あいつらが階段を上って来るぞ!」


 下の階を見れば、タカシさん達の姿を見つけたキャプテンの大群が、階段を上がって来る姿が見える。


 そんな光景を目にして、覚悟を決めた姉妹が垂れ幕に、手をかけた。


「よし二人とも、いい根性してるぞ!」


「ホンマに平気なんか?」


「ひっ 地面があんなに遠くに…………」


 タカシさんも垂れ幕に捕まり、3人同時に滑るように、一気に3階まで降りる。


「ポリス〇トーリー!!」


「ポリス〇ト~リ~?」


「ポリス〇トーリーや~!」


 そんな恐怖を吹き飛ばす、魔法の言葉を叫びながら、3階フロアに着地するタカシさん達


「死ぬかと思ったわ!」


「怖かった…………」


「おい、まだ脱出のメインはこれからだぞ!」


 ライフルのストックで、3階の窓ガラスを割ると。

 

 タカシさんは姉妹に、脱出方法と、魔法の言葉パート2を伝える。


「ははっ 無茶苦茶やでアンタ、もうどうにでもなれや!」


「アタシも覚悟を決めます」


「行くぞ!」


 姉妹の覚悟をした言葉を聞き、ニヤリと笑うタカシさん。


 三人は、3階から垂直に飛び降りて…………


「プロジェクト・タカシーー!!」


「プロジェクト・ユカやで~!!」


「プロジェクト・ヒナコーー!」


 三人が落下した先には、ホームセンター入口の上に設置されたビニール屋根へと落下して。


 衝撃を和らげてくれた、ビニール屋根を突き破り、そのまま地面に激突するタカシさん達。


「二人とも怪我は無いか?」


「ヒナコ、アンタこんな無茶な人とおったんか」


「無茶だけど、頼れるでしょお姉ちゃん!」


 二人とも怪我がないようなので、バイクに駆け寄りエンジンを回すタカシさん。


「お喋りは後だ、早く乗れ!」


「3人乗りは道交法違反やんか…… まあ言ってもしかたないんやけど」


「乗りました、タカシさん!」


「お前らしっかり捕まれよ!」


 そう言いながら、バイクの後輪をスピンさせながら矢のように発進して、その場を離れるタカシさん一行。


 ユカさんの胸が、タカシさんの背中にポヨンと感触が伝わる、確かにGカップだな、生きててくれてありがとうユカさん。



毎日更新を基本にしてましたが、所要があるため、次回は6日の18時頃の更新しております

石丸博也吹き替えの ジャッキー最高w

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